田中雄二の「映画の王様」

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『インサイド・ヘッド2』

2024-07-16 10:40:57 | 新作映画を見てみた

『インサイド・ヘッド2』(2024.6.30.オズワルドシアター)

 少女ライリーを子どもの頃から見守ってきた「ヨロコビ」「カナシミ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」の感情たちは、転校先の学校にも慣れ、新しい友人もできたライリーが幸せに暮らせるようにと日々奮闘していた。

 そんなある日、高校入学を控え、人生の転機に直面したライリーの頭の中で、謎の警報が鳴り響く。戸惑うヨロコビたちの前に現れたのは、最悪の未来を想像してしまう「シンパイ」、誰かをうらやんでばかりいる「イイナー」、常に退屈&無気力な「ダリィ」、いつもモジモジして恥ずかしがっている「ハズカシ」という、ライリーが大人になるための新しい感情たちだった。

 人間の中にある感情たちの世界を舞台に描き、アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞したディズニー&ピクサーの『インサイド・ヘッド』(15)の続編。

 前作に続いてメグ・レフォーブが脚本を書き、『モンスターズ・ユニバーシティ』(13)のストーリースーパーバイザーを務めたケルシー・マンが監督を担当した。
 
 前作の、感情たちをキャラクターとして擬人化するという発想は面白いと思ったが、今回は主人公のライリーが思春期を迎え、さらに複雑な感情を抱くところがポイント。アイスホッケーをプレーするライリーの姿と彼女の中の感情たちの葛藤を並行して描くことで、サスペンス的な要素も引き出していた。

 とはいえ、正直なところ、思春期の女の子の気持ちは自分のようなおじさんには分からないと思っていたのだが、見ているうちに、自己嫌悪に陥ることが多かった大昔の思春期の頃を思い出してちょっと切なくなった。

 これならライリーの成長に沿って何本も映画が作れるのでは、嫌、それでは感情が増え過ぎて収拾がつかなくなるか、否、消える感情もあるかなどと、いろいろなことを考えさせられた。

 ピクサーアニメは、子どもを描くふりをしながら、実は大人向けに作られていることを示す1本という感じがした。


 『インサイド・ヘッド2』を見終わって、『47歳 人生のステータス』(17)のマイク・ホワイト監督にインタビューした際の、彼の言葉と通じるものがあると思った。

 「何かが引き金となって、いろんな気持ちが浮かんできて、それがアップダウンすることがあります。例えば、嵐のときは家から出られませんよね。そんなときは、頭の中で気持ちが激しくアップダウンします。じっとしていても、気持ちはアップダウンするわけです。その人間を外側から見れば、たいしたことはしていなくても、内側から見れば、それこそ生死に関わるような強烈なドラマが起きているんです」

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/4a1b27de7678a80bb6bd8e3aa2024910

 


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