『零戦燃ゆ』(84)(1987.8.15.ゴールデン洋画劇場)
ゼロ戦のパイロット(堤大次郎)と整備士(橋爪淳)との友情を通して、ゼロ戦の歴史と太平洋戦争の流れを描く。加山雄三が、ゼロ戦開発の海軍側主務者の下川万兵衛海軍大尉を演じる。
また、8月15日が近づくと、昨日の『子象物語 地上に降りた天使』(86)や、この映画のような、戦争映画が放送され、1年の数日間だけ、戦争について考える日々がやって来る。
だが、もはや多くの日本人が戦争についての意識を失っており、アメリカ映画が描くベトナム戦争もののような、緊張感や切実さを、日本の戦争映画に求める方が無理な話なのではと思う。
従って、この映画も、東宝お得意の戦争映画の1本として見てしまえばよかったのだが、柳田邦男の原作ということで、ゼロ戦にまつわる『ライトスタッフ』(83)的な描き方を期待してしまったのがいけなかった。
第二次大戦を扱えば、悲劇の敗戦国日本という大前提があり、それが良くも悪くも日本の戦争映画を空々しく見せ、風化させるという、逆効果を生むことを忘れていたのだ。いいかげん、作り手たちは、そこに気が付いてくれないものだろうか。
その前提を取り去れば、もっと違う形で、広い視野から戦争の罪悪や空しさなどを、捉えることが出来るはずだ。監督・舛田利雄、脚本・笠原和夫のコンビは、日露戦争を描いた『二百三高地』(80)では、それをやってのけたはずなのにと、戦争を知らない俺にいわせるようじゃ駄目だよねえ。
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