goo blog サービス終了のお知らせ 

映画の王様

映画のことなら何でも書く

『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』

2020-12-30 07:44:10 | 映画いろいろ

 ところで、どちらかと言えば、東宝映画の方に親しみを感じる身としては、忠臣蔵といえば、東宝版の『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』(62)の方が印象深い。

月曜ロードショー『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』(1985.12.)のオープニング解説を採録。

 荻昌弘です、今晩は。私、『月曜ロードショー』の解説を担当させていただいて、そろそろ満16年になるんですけれども、忠臣蔵映画をお送りするのは今夜が初めてでございます。特に今夜お楽しみいただきます、この忠臣蔵、東宝が創立30周年を記念して作った豪華版で、『花の巻・雪の巻』、いつもより時間を延長してお楽しみいただくわけです。

 まあ、本当に情理兼ね備えた老練な八住利雄による脚本、そして、アクションからメロドラマまで、もう本当に往くとして可ならざるはなしというベテラン稲垣浩の演出、そして絢爛豪華な山田一夫のカラー撮影、いゃあもう役者さんに至っては、当時の東宝の総力を上げて…、今夜のあなたはもう本当に一画面一画面、いわば日本の大スターの、当てっこ、ということになります。

 いゃあ、それにしても、あの華の元禄時代、主君の切腹、そして御家の取り潰しという、こういう悲運に遭いました、赤穂の浪士たちが、仇の吉良邸に討ち入って、足軽の寺坂吉右衛門、何故か門前から立ち去って、それを数えるか数えないかで四十七士とも四十八士とも言いますけれども、その赤穂浪士の物語、これぐらい、フィクション、ノンフィクションの総合として私たちの心に生き続けている大ドラマっていうのはないわけですねえ。

 一体この忠臣蔵っていうのは日本人にとって何なのか、もうそれは単なる仇討ちではない、つまりこれは、今般この世にとどまっている、主君の魂というものを、鎮める、いわば「これは宗教的な祭りであったのだ」ということを、最近丸谷才一さんが指摘しておられますけど、そのぐらい深く考えなければ、この忠臣蔵と私たちっていうのは解決がつかないところがあるわけです。

 特にこの日本映画界にとっては、もう一説には、これまで100本以上の忠臣蔵ものが出来たと、こう言われているぐらいに、まあかつては、忠臣蔵さえ作ればその映画は当たると、こう言われましたし、また本格の忠臣蔵映画を作るには、その映画会社が最極盛期になければならない、ということもまた言えたわけですねえ。今夜の東宝映画はそれを立証します。

 荻さんは、エンディングの解説では、あるイギリス人が赤穂浪士のけなげさをアーサー王の円卓の騎士に例えていたと語っていた。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« BSシネマ『忠臣蔵』 | トップ | 『ニュー・シネマ・パラダイス』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

映画いろいろ」カテゴリの最新記事