『ニッケル・オデオン』(76)(1987.11.15.)
先日、タビアーニ兄弟がハリウッドの草創期を描いた『グッドモーニング・バビロン!』(87)を見たので、ピーター・ボグダノビッチ監督この映画を再見してみた。
とはいえ、こちらは『グッドモーニング・バビロン』の時代よりも少し前、つまり、ハリウッドがまだ存在していない、10セント小屋の活動写真(ニッケル・オデオン)の時代を、ひたすら明るくドタバタコメディ風に描き、いかにもボグダノビッチらしい映画愛にも満ちている。
ただ、ボグダノビッチといえば、『ラスト・ショー』(71)や『ペーパー・ムーン』(73)でノスタルジーを描きながら、そこに自らの映画に対する思いを巧みに入れ込んでいたのだが、この映画は、ストーリーにまとまりがなく散漫な印象を受けるのが残念だった。そして、この映画の興行的な失敗後、ボグダノビッチはほとんど映画を撮っていない。
思えば、彼の落ち込みはこの映画から始まったのかもしれない。ここらあたりが、評論家上がりの彼の限界だったのだろうか。それでも、『ラスト・ショー』や『ペーパー・ムーン』を遺したボグダノビッチにオレは感謝する。
『グッドモーニング・バビロン!』とこの映画を見ると、D・W・グリフィスがアメリカ映画史に遺した遺産は実に大きなものだったのだと、改めて知らされた思いがした。
『グッドモーニング・バビロン!』
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