田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『遥かなる国から来た男』『真昼の暴動』

2018-10-25 09:25:09 | 1950年代小型パンフレット

 神保町を歩いていたら、またもや旧作映画の小型パンフレットを見付け、また何冊か買ってしまった…。



 『遥かなる国から来た男』(56)は、2014年の2月に、フィルムセンターで行われた「テクニカラー・プリントで見るNFC所蔵外国映画」の中で初めて見た。亡くなった師匠が「いい映画だから機会があったら見ろ」と言っていたので、以前から気になっていた一本だった。

 舞台は、クリスマスが近い雪の降る小さな田舎町。町に住む気の弱い酒場のピアニストと瓜二つで正体不明の男が町に現れ、混乱が起こるが、結果的には彼がピアニストの恋を成就させるというもの。

 マルセル・カルネ監督がクリスマスの奇跡を描いたファンタスティックなミュージカルコメディーで、シャンソン歌手のジルベール・ベコーが二役を、フランソワーズ・アルヌールが2人の間で揺れるマドンナ役を演じている。扉を使った古典的な二役の入れ替わりギャグ、シャンソン風の音楽が印象に残る。

 『素晴らしき哉、人生!』(46)にも似た“天使”の存在、あるいは『天使のくれた時間』(00)同様、一人二役の秘密を子供だけが知っているという設定など、クリスマスの奇跡を描いた映画には共通点が多いと感じた。

フランソワーズ・アルヌールのプロフィール




 『真昼の暴動』(47)も、同じく師匠に勧められた映画。これも2014年の11月に、フィルムセンターで行われた「MoMAニューヨーク近代美術館映画コレクション」の中で初めて見た。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/57f63658424002e3b551e559e73741f5

 他は『日本人の勲章』(55)『ゴーストタウンの決斗』(58)『ララミーから来た男』(55)『5つの銅貨』(59)。男くさい『日本人の勲章』の表紙は脇役のアン・フランシスだが、これはこれで良し。どれも好きな映画で、安価だからいいのだが、集め出すときりがないから…。

『遥かなる国から来た男』パンフレット(57・外国映画出版社)の主な内容
解説/監督マルセル・カルネ/物語/カルネのシャレたファンタジー(大黒東洋士)/この映画のシャンソン/ジルベール・ベコー、フランソワーズ・アルヌール

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『ヴェノム』

2018-10-25 07:12:44 | 新作映画を見てみた
 舞台はサンフランシスコ。正義感の強いジャーナリストのエディ(トム・ハーディ)は、仕事も恋人(ミシェル・ウィリアムズ)も失い、やけになって人体実験の噂があるライフ財団の研究施設に潜入する。ところが、そこで被験者となった知り合いのホームレスと接触したため、エディの体に“何か”が寄生する。やがて宇宙からやってきた“何か=ヴェノム(毒素)”とエディは一つになり、共生し始める。



 凶悪なルックスとキャラクターを持った悪役的なダークヒーローの誕生編。マーベルシリーズの常だが、やはり最初のものが一番面白い。善悪のはざまで揺れるエディをハーディが好演している。監督は『ゾンビランド』(09)のルーベン・フィッシャー。そのせいか、この映画もグロテスクなのに笑えるところが多々ある。

 日本の『寄生獣』(14)との類似点が多いが、原作は『ヴェノム』が84年で『寄生獣』は88年だそうだ。
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