フジテレビ、やればできるじゃないか
「ある日突然、電気がなくなったら…」という発想から生まれたコメディータッチの“SF(少し不思議な)話”。一組の家族のサバイバルの様子(東京から自転車で鹿児島を目指す)を通して、物質に依存し過ぎている現代社会に警鐘を鳴らす。音のない世界、不思議な現象によるパニックを用いて東京を大掃除するという点では、広瀬正の『ツィス』を思い出した。
監督は“ハウツーもの”が得意な矢口史靖だが、今回はどちらかと言えば変化球。小日向文世と深津絵里がコミカルな味を生かした好演を見せる。終盤はいささか失速するが、概ねよくできていると感じた。フジテレビ、やればできるじゃないか。