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映画の王様

映画のことなら何でも書く

宮沢賢治を訪ねて花巻へ

2023-02-19 09:55:23 | 雄二旅日記

 『銀河鉄道の父』を試写で見て、30年ほど前の旅のことを思い出した。

(1994.4.25~26.)

 この旅は、全くの偶然から発生した。それは、自分と同じく、現在失業中で、暇だけはある友人のEから「どこか行きたい所ある?」と聞かれて、何となく「花巻かな」と答えたところから始まったのだ。

 ところが、意外にもEが「実は俺も一度行ってみたかった」と同調した。そしてセッティング好きのEが、早速花巻近郊の温泉宿を予約し、あっという間に東北新幹線の車中という感じだったのである。

 そして、新幹線に乗ること4時間、無味乾燥な新花巻駅に到着。やはり東京人としては遠いというのが実感だった。

 駅前に、近づくと「トロイメライ」が流れる「セロ弾きのゴーシュ」の彫刻碑があった。

「先生、そうお怒りになっちゃ、おからだにさわります、それよりシューマンのトロイメライをひいてごらんなさい。きいてあげますから」
「生意気なことを云うな。ねこのくせに」
セロ弾きはしゃくにさわって、このねこのやつをどうしてくれようとしばらく考えました。
「いやご遠慮はありません。どうぞ、わたしはどうも先生の音楽をきかないとねむられないんです」

 ここからバスで故四王山にある「宮沢賢治記念館」に向かう。この記念館の存在を、NHKの衛星放送で知らされた時から、自分の中で宮沢賢治の存在がクローズアップし始め、この旅へとつながったのだった。

  展示は「科学」「芸術」「宇宙」「宗教」「農」の五つの分野に分かれ、賢治のマルチタレントぶりがうかがえるが、賢治が生きていたら、さぞや照れたのではあるまいかと思った。賢治の直筆を見ながら、「うちの孫の字の方がうまい」と話していたおばあちゃんの一言が印象的だった。隣接するレストラン「山猫軒」は、残念ながらあまりうまくなかった。

 初日の目的はこれにて終了。花巻からバスで40分あまりの鉛温泉の藤三旅館で一泊。混浴風呂でのお婆軍団に驚かされたものの、なかなかいい温泉だった。


 2日目は、賢治ゆかりの場所を求めて、花巻市内を散策。まずは賢治がイギリス海岸と名付けた泥岩層が露出する北上川へ。あいにく水量が多くて、その全貌は見られなかったが、まるで風の又三郎の如き突風が、満開の桜を散らす中、自然が作り出した遺産を見ているような気がして、しばしたたずむ。

 

 その後、墓参を経て「ぎんどろ公園」へ。ここには「高原の詩」の碑があった。

 海だべかと おら おもたれば やっぱり光る山だったぢゃい ホウ 髪毛風吹けば 鹿踊りだぢゃい

 最後は「羅須地人協会」へ。高校の授業が行われている中で、いい年をしたおっさん2人が、衆目にさらされながらの見学となり、ちょっと恥ずかしかった。

 表の黒板に「下ノ畑ニ居リマス 賢治」の文字あり。

 この後、タクシーで新花巻駅まで戻り、また4時間かけて東京に戻るのだ。

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渋谷PARCO劇場「笑の大学」

2023-02-08 09:33:21 | 雄二旅日記

 昨日、取材で渋谷に行き、PARCO劇場の前を通り掛かったら、三谷幸喜作の「笑の大学」のポスターがあった。そうか今日が初日か。

 これは、戦中を舞台に、劇団の座付き作家と警視庁保安課検閲係という、敵同士ともいうべき2人が、台本の検閲という作業の中から、図らずも傑作台本を作り出してしまうという、検閲制度を揶揄した快作喜劇。

 今回は、2人を内野聖陽と瀬戸康史が演じる。見てみたいが、チケットが取れないだろうなあ。


映画『笑の大学』(役所広司、稲垣吾郎)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/b35c3e7ffa3517670677b6d0e73b06a4

舞台『笑の大学』(西村雅彦、近藤芳正)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8462f6f390749f3bb1299617464c4fbb

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熱海経由で三島へ

2023-01-09 22:23:01 | 雄二旅日記

 熱海経由で静岡県三島市を訪れた。これまで伊豆長岡や修善寺を訪れた際に、伊豆箱根鉄道への乗り換え駅として利用したことはあったが、下車したのは初めてだった。市内各地に湧水があるため、ここが水の街と呼ばれていることは知らなかった。

 源頼朝とゆかりがある三嶋大社に詣でた後、名物のうなぎを食べる。高かったが美味なり。

 三島駅と三嶋大社の間にある、桜川に沿った水上通りに、三島の地に関わりのある文学者や、その作品の記述が刻まれた文学碑が建ち並ぶ「水辺の文学碑」というのがあった。太宰治や司馬遼太郎が、的確に三島について描写していたが、井上靖の『少年』の一節には、かつて三島に映画館がたくさんあったことが記されていた。

 白滝公園の横には、「よいしょよいしょ」という掛け声とともに、三島のおいしい水(富士山の湧水)をくんでくれる「めぐみの子」という、からくり人形があった。何だかけなげに見えて困った。

 また、柿田川の水源地には、徳川家康が隠居所として駿府城から移り住む計画を進めていた「泉頭城」(現・柿田川公園)があったらしい。最近では、小松菜奈、坂口健太郎が出演した『余命10年』のロケが行われたという。


熱海
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/3baa108c333565b98225225785611c25
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/c693f91891eebb371bda6f2674c844e4
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/7e51f84f28f222f3152849918a2262ed

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広島、岡山、倉敷

2022-12-21 22:06:14 | 雄二旅日記

 妻の実家がある広島に行ったついでに、岡山に立ち寄り、改装なった岡山城を見学した。この地に最初に城を定めたのは、戦国大名の宇喜多直家で、本格的に築城したのは息子の秀家。だが、関ヶ原の戦いで敗れた秀家は八丈島に流罪となり、代わりに城に入ったのが、関ヶ原で西軍を裏切った小早川秀秋だったのは皮肉だ。秀秋の死後は、池田氏が代々引き継いだのだという。

 城の外観は立派になったが、いささか近代化し過ぎた感がある。城内も博物館のようになっていたので、ちょっと興ざめした。


 
 その後、倉敷のアイビースクエアで一泊。この辺りは美観地区と呼ばれ、古い蔵や家が建ち並ぶ。『るろうに剣心』(12)など、映画やドラマのロケ地としても有名だ。ちょうど大原美術館の休館日に当たり残念無念。

 アイビースクエアは、最近、どこかで見たと思ったら、「西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ15 尾道・倉敷殺人ルート」(98)という2時間ドラマの再放送でだった。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/e5e6f2006842b4e2f0954a4f3e89a9c9

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東映東京撮影所&大泉学園駅アニメゲート

2022-11-21 23:58:02 | 雄二旅日記

 

 取材のため、久しぶりに東映東京撮影所を訪れた。最寄りの大泉学園駅はすっかり様変わりし、北口の駅前広場はアニメゲートと呼ばれ、キャラクターモニュメント、アニメ年表、地域と撮影所の歴史を表すグラフィックウォールなどが展示されていた。

 『白蛇伝』「鉄腕アトム」「狼少年ケン」「ジャングル大帝」「魔法使いサリー「リボンの騎士「ゲゲゲの鬼太郎『長靴をはいた猫』「ひみつのアッコちゃん」…。そうか虫プロも西武池袋線の沿線にあったのだ。

 撮影所のごちゃごちゃした感じは相変わらず。『レジェンド&バタフライ』の大型看板が掛かっていた。何しろ、東映70周年記念作品だもんな。

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「ジャズ・コレクターズ・クラブ」コンサート

2022-11-16 23:46:50 | 雄二旅日記

 神保町のジャズ・オリンパスで月に一度開催されていた「ジャズ・コレクターズ・クラブ」のコンサート。ここのところコロナ禍でずっとお休みだったのだが、約3年ぶりに復活したので顔を出してみた。

 今回は「JAZZ FOR VARIETY」と題されたアラカルト。ジャズには無知なので、「BESAME MUCHO」「SUMMERTIME」「VOLARE」「TONIGHT」など、知っている曲は半分程度だったが、毎度のことながら、大きなスピーカーで聴くジャズは格別だった。

 ところが、50年以上続いたこの会も、諸事情から次回でいったん幕を閉じるとのこと。淋しい限りだ。

ジョニー・マーサーとクリント・イーストウッド
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/e4c7683333c5804b490165c61fecc25c

『真夏の夜のジャズ』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/77f7e807e49418cea61c07426d233b87

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「鎌倉殿の13人 大河ドラマ館」

2022-11-09 19:53:03 | 雄二旅日記

 鶴岡八幡宮の境内にある「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」で開催中の「鎌倉殿の13人 大河ドラマ館」を見に行った。

 館内は、各キャストのコメントと演じた人物の紹介パネル、セットを再現したジオラマ、実際に使われた衣装や小道具、撮影や制作の裏側を紹介するオリジナル映像などのコーナーがあり、思ったよりも盛りだくさんで、見るのに結構時間が掛かった。

 改めて、三谷幸喜は、登場人物の一人一人が印象に残るような脚本を書いていると思った。

https://taiga-kamakura.jp/

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「名優ポール・ニューマン特集 碧い瞳の反逆児」

2022-10-27 08:35:57 | 雄二旅日記

 新宿ピカデリーの前に「名優ポール・ニューマン特集 碧い瞳の反逆児」の看板があった(横長の写真は『暴力脱獄』(67)だ)。

 

 『明日に向って撃て!』(69)『熱いトタン屋根の猫』(58)『ハスラー』(61)『暴力脱獄』というラインアップ。

 ニューマンについては、昔、担当していた『MOVIE』という映画雑誌で特集をした際に、いろいろと調べて書いたので、思い入れがある。

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「東京国際映画祭2022」開幕

2022-10-24 19:22:08 | 雄二旅日記

「東京国際映画祭2022」が開幕した。ポスターデザインはコシノジュンコ。

 オープニング作品は、瀬々敬久監督の『ラーゲリより愛を込めて』。クロージング作品は、黒澤明の『生きる』をリメークしたオリバー・ハーマナス監督の『生きる LIVING』

 日比谷の地下道で「~キネマ旬報の表紙で振り返る~あの映画の“熱狂”を再び!」というのをやっていた。

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「脚本家 黒澤明」(国立映画アーカイブ)

2022-10-18 22:59:28 | 雄二旅日記

 京橋の国立映画アーカイブで開催中の「脚本家 黒澤明」を見た。

 黒澤が影響を受け、映画化もした作家には、ドストエフスキー(『白痴』51)、シェークスピア(『蜘蛛巣城』57)、山本周五郎(『椿三十郎』62『赤ひげ』65『どですかでん』70)らがいるが、彼らに加えて、映画化はしていないがバルザックの影響が大きいことに触れていた。

 『隠し砦の三悪人』(58)『七人の侍』(54)を例にして、菊島隆三、小国英雄、橋本忍、そして『デルス・ウザーラ』(75)『乱』(85)の井手雅人との“共同脚本”の執筆の様子を生原稿などで再現しているコーナーには興味深いものがあった。

 谷口千吉監督の『銀嶺の果て』(47)など、他の監督たちに脚本を提供した作品を見ると、改めて監督としての黒澤明のすごさを知らされる思いがした。

 また、エドガー・アラン・ポーの『赤死病の仮面』の映画化を試みた『赤き(黒き)死の仮面』はぜひ見てみたかったと思った。

 昔、『全集・黒澤明』(岩波書店)というシナリオ集を買い集めて、6巻全て持っていると思っていたら、その後7巻が出て、そこには『黒き死の仮面』も収録されているという。不覚。


 ところで、常設展示に、1991年に広島県の民家の蔵から可燃性の35㎜フィルムが発見された伊藤大輔監督、大河内傳次郎主演の『忠治旅日記』(27)を映すコーナーがあり、思わず見入ってしまった。

国立近代美術館フィルムセンター→国立映画アーカイブの10年
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/5ceb3483aa8859baad9430f066fd6770


 帰りに東京駅前で、鉄道の父・井上勝像をパチリ。これは2代目だという。ちゃんと東京駅の方を向いているんだなあ。ちなみに、井上の墓は、死後もなお鉄道を見守っていたいという本人の意向に沿って、東海道線と山手線に挟まれた北品川の東海寺大山墓地にある。

 東京駅構内のステーションギャラリーでは、「鉄道と美術の150年」を開催中。これも見に行かねば。

 

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