「復刻シネマライブラリー」 リーフレットの解説を執筆したロッド・テイラー、アーネスト・ボーグナイン、ルチアナ・パルッツイ主演の西部劇が12月10日から発売に。
マカロニウエスタンの影響を受けた“本家西部劇”。回想を取り入れたミステリー的な要素もある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B07KQ967K5
「復刻シネマライブラリー」 リーフレットの解説を執筆したロッド・テイラー、アーネスト・ボーグナイン、ルチアナ・パルッツイ主演の西部劇が12月10日から発売に。
マカロニウエスタンの影響を受けた“本家西部劇”。回想を取り入れたミステリー的な要素もある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B07KQ967K5
1967年、パラマウント製作の西部劇。主演のロッド・テイラーが製作も兼任している。
インディアンが狙う砦に取り残された、ガンマンのチューカ(テイラー)、騎兵隊の隊長のバロア大佐(ジョン・ミルズ)、鬼軍曹のハンスバック(アーネスト・ボーグナイン)、スカウト(偵察)のトレント(ジェームズ・ホイットモア)、メキシコの貴婦人ベロニカ(ルチアナ・パルッツィ)と姪のヘレナ(ビクトリア・ベトリ=アンジェラ・ドリアン)らの動静を描く。
主人公のガンマンはメキシコ人、ニューロティック(神経症)的な登場人物たち、少々残酷な殺りくシーンなどにマカロニ・ウエスタンの影響が感じられる。監督のゴードン・ダグラスは、この後、同じくマカロニ風の西部劇『鷲と鷹』(70)を撮っている。
公開時のキャッチフレーズは「殺しの匂いがする。さすらい無宿のガンマンが、北から西へとやって来た」。やっぱりマカロニ風だ。
全体的に暗く、救いのない話の中で、ボーグナインの、一見鬼軍曹だが、実は…というキャラクターや、『007サンダーボール作戦』(65)でボンドガールを務めたルチアナ・パルッツィの美貌が見どころとなる。
『鷲と鷹』↓
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/88e5ff36cc4bce3f04e82f5f7240a53f
プレスシート(67・パラマウント)の主な内容
解説/ストーリー/ロッド・テイラー、アーネスト・ボーグナイン、ジョン・ミルズ、ルチアナ・パルッチ、ジェームズ・ホイットモア、監督ゴードン・ダグラス
原稿作成のため、1955年、パラマウント製作のこの映画を見る。
1803年、アメリカ政府は仏領ルイジアナを1500万ドルで購入する。時の米大統領トーマス・ジェファーソンは、ルイス(フレッド・マクマレー)&クラーク(チャールトン・ヘストン)に探検隊を組織させ、新たな領土の調査に向かわせる。
西部開拓の原初と呼ぶべき探検の様子を、クラークと、ガイドとなったインディアン女性サカジャエア(ドナ・リード)とのラブロマンスを絡めながら描く。と、聞いて、とても面白そうな映画を想像したのだが、実際に見てみると、探検物としても、ラブストーリーとしても、甚だ中途半端な出来だった。
監督は、撮影監督としては超一流だが、監督としては今一つのルドルフ・マテ。
うーん、これはちょっと困ったぞ。
パンフレット(55・外国映画社(フォーレン・ピクチャー・ニュース))の主な内容
解説/監督ルドルフ・マテ/ストーリー/フロンティア精神を描く時代劇(原安佑)/この映画の製作チーム ウィリアム・H・パイン、ウィリアム・C・トーマス/フレッド・マクマレイ、チャールトン・ヘストン、ドナ・リード、バーバラ・ヘイル
リーフレットの解説を執筆した
ゲーリー・クーパー主演の『軍法会議』(55)と、ジェームズ・スチュワート主演の『戦略空軍命令』(55)のブルーレイが25日に発売される。
どちらも東西冷戦下に作られた軍隊関連物だが、今となっては時代の証言者的な側面もある。
クーパーとスチュワートという大スターの存在感が光る映画だ。
https://www.amazon.co.jp/dp/B07CYRZYGG
https://www.amazon.co.jp/dp/B07CYVS6V2
原稿作製の下準備のため、ジョン・ウェイン製作・主演の航空映画『男の叫び』(53)と『紅の翼』(54)を見る。
『男の叫び』は、カナダ北部の雪原に不時着した輸送機の機長(ウェイン)の沈着冷静な行動と、彼らを捜索する仲間たちの動静を描く。モノクロ・スタンダード画面がかえってドキュメンタリータッチを盛り上げている。
この映画は、短い回想シーン以外は全く女性が登場しない。ひたすら輸送機乗組員の5人と捜索隊の面々の姿を追った、まさに“男たちの映画”だと言える。最近はこういう映画はあまり見られなくなったなあ。
一方『紅の翼』は、ホノルルからサンフランシスコに向かう旅客機が墜落のピンチを迎える中での、乗員・乗客の人間模様を描いたもの。70年代に作られた『エアポート』シリーズの先駆ともいえる映画だ。
乗客それぞれのドラマを回想を挿入しながら見せていくのだが、その間、画面にあまり動きがないので、室内劇を見ているような気になる。また、よく言えば丁寧に描いているが、色々と盛り込み過ぎて全体のテンポが悪くなっているのは否めない。
両作とも、監督は、航空映画の名匠といわれたウィリアム・A・ウェルマン、原作・脚本は元パイロットのアーネスト・K・ガン、撮影は名手アーチー・スタウトとウィリアム・H・クローシア というスタッフは同じだが、『紅の翼』の方はシネマスコープでカラー、そして音楽をディミトリ・ティオムキンが担当しているところがミソ。
特に、副機長役のウェインがしばしば口笛で吹くテーマ曲は公開当時大ヒットしたらしい。確かに耳に残るいいメロディで、さすがはティオムキンという感じがした。
また、この映画は、クレア・トレバー、ラレイン・デイ、ジャン・スターリングといった、いささかとうが立った女優たちの演技が見ものだが、こちらはフライトアテンダント役のドー・アヴドンの方が気になった。
どちらも航空映画の部類に入るが、続けて見ると、片や硬派な男たちのドラマ、こなた華やかな群像ドラマという対照の妙が味わえる。いろいろと苦労は多かったようだが、ウェインのプロデューサーとしての手腕がなかなかのものだったことを改めて知らされた。
『男の叫び』パンフレット(53・新世界出版社(AMERICAN MOVIE WEEKLY))の主な内容
解説/飛行機映画とウェルマン(双葉十三郎)/監督ウィリアム・ウェルマン/物語/ニューフェース紹介フェリスウェンガー/撮影余話/アメリカ各紙の批評/この映画の主題歌/ジョン・ウェイン/助演者についてアンディ・デヴアイン、ロイド・ノーラン、ウオルター・エーベル、ハリー・ケリイ・ジュニア/最新ハリウッドごしっぷ
原稿作成のため、ユル・ブリンナーがずっと頭にターバンを巻いたままで活躍する『ザーレンからの脱出』を見る。
舞台は石油を産出するアラブの某国。警察に捕らわれた地下組織のリーダー、シャリフ(ブリンナー)を救出するため、彼を信奉する大学生アーメッド(サル・ミネオ)らが囚人護送車を襲う。襲撃は成功し、彼らはザーレン石油会社の救急トラックを、乗っていた看護師のライラ(マドリン・ルー)もろとも奪い、町を脱出する。
砂漠を越え、国境の向こうへ逃れようとする一行は、シャリフ、アーメッド、ライラと、極悪人のタハール(アンソニー・カルーソ)、妻殺しのハサン(ジェイ・ノベロ)、そしてアメリカ人の横領犯ヒューストン(ジャック・ウォーデン)という“いかした顔触れ”だ。
一台の救急トラックを舞台にした、呉越同舟のアドベンチャー・ロードムービー。監督はイギリス出身のロナルド・ニームで、この映画がアメリカ進出の第1作。イギリス映画伝統の冒険劇と西部劇のタッチを融合させ、93分という短い時間内にテンポよくまとめている。
危機の連続の中で、右か左かの決断を迫られる脱出行は、後年のニームの監督作『ポセイドン・アドベンチャー』(72)に通じるところもある。特に、ブリンナーとウォーデンの対立関係が、ジーン・ハックマンとアーネスト・ボーグナインに重なって見えて面白かった。
パンフレット(62・大阪映画実業社)の主な内容
かいせつ/物語/監督ロナルド・ニーム/ユル・ブリンナー、マドリン・リュー、サル・ミネオ、ジェームズ・メイスン/製作ノート