原稿作成のため、ユル・ブリンナーがずっと頭にターバンを巻いたままで活躍する『ザーレンからの脱出』を見る。
舞台は石油を産出するアラブの某国。警察に捕らわれた地下組織のリーダー、シャリフ(ブリンナー)を救出するため、彼を信奉する大学生アーメッド(サル・ミネオ)らが囚人護送車を襲う。襲撃は成功し、彼らはザーレン石油会社の救急トラックを、乗っていた看護師のライラ(マドリン・ルー)もろとも奪い、町を脱出する。
砂漠を越え、国境の向こうへ逃れようとする一行は、シャリフ、アーメッド、ライラと、極悪人のタハール(アンソニー・カルーソ)、妻殺しのハサン(ジェイ・ノベロ)、そしてアメリカ人の横領犯ヒューストン(ジャック・ウォーデン)という“いかした顔触れ”だ。
一台の救急トラックを舞台にした、呉越同舟のアドベンチャー・ロードムービー。監督はイギリス出身のロナルド・ニームで、この映画がアメリカ進出の第1作。イギリス映画伝統の冒険劇と西部劇のタッチを融合させ、93分という短い時間内にテンポよくまとめている。
危機の連続の中で、右か左かの決断を迫られる脱出行は、後年のニームの監督作『ポセイドン・アドベンチャー』(72)に通じるところもある。特に、ブリンナーとウォーデンの対立関係が、ジーン・ハックマンとアーネスト・ボーグナインに重なって見えて面白かった。
パンフレット(62・大阪映画実業社)の主な内容
かいせつ/物語/監督ロナルド・ニーム/ユル・ブリンナー、マドリン・リュー、サル・ミネオ、ジェームズ・メイスン/製作ノート
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