陸軍の無謀な作戦により壊滅的な大損害を受けた日本軍の惨敗として語られるノモンハン事件であるが、立場が変われば見方が変わります。
この本は、現場よりに立っていた著者の体験談です。
日本軍は、ソ連軍の爆撃を受けても、国境を越えて敵の飛行場を爆撃することを許されず、攻めてくる敵機を迎え撃つことしかできない定めでした。今の自衛隊の立場にも似ています。
そんな中で、編成したばかりの部隊で、数で4倍、装備も最新のソ連軍を相手に戦い壊滅したにも関わらず、相手に大きな損害を与えた戦いであったのです。
両軍の損害は、次のとおり(Wikipediaより)
日本軍 戦死 7,696 戦傷 8,647 生死不明1,021 戦車 29輌 航空機 約160機 | 赤軍 戦死 9,703 戦傷 15,952 戦車・装甲車 397輌 航空機 251機 モンゴル軍 戦死 280 戦傷 710 装甲車数十輌 |
ノモンハン事件は、日本陸軍の暴走、狭量、無反省を謳われることが多いですが、見方を変えれば、そうとも言えないと考えさせられました。
また、領土紛争の難しさも垣間見ることができます。
尖閣、竹島、北方領土など、領土問題を抱えている日本も、もう一度、冷静な目でノモンハン事件を検証してみるのも一考であると感じました。
私もノモンハンに関してはブログを2度書いてますが、決して無駄じゃなかった、いや勝てたかも知れない。そして、太平洋戦争を回避できたかも知れない戦争だと思います。
スターリンも関東軍を非常に高く評価してました。それに、ドイツと日本で両側から攻め込まれてたら、負けてただろうとも振り返ってます。
日本軍は戦争に発展しないために、戦力も戦闘範囲も自ら限定して戦っているのに、大戦力を投入してきたソ連軍に甚大な損害をあたえています。
戦争に発展しなかったことは、日本の目的の一つだったので、その点からも評価できますね。