むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

『新宿の猫』ドリアン助川(ポプラ文庫)

2024年05月13日 | 読書
この人が書くキャラクターは、みんな欠点だらけで、平均以下と言っていい人たちですが、一生懸命生きていて好感が持てる人たちばかり。
小さな酒場には、野良猫たちの家族図が貼ってあります。手描きのイラスト付きで、猫の名前と特徴がメモ程度に書かれているのです。それを見ながら小さな窓に姿を見せる猫の名前を当てる他愛のない賭け事(猫じゃん)を楽しむ常連たちと、不愛想なマドンナ的存在の夢ちゃん、主人公の売れない構成作家の青年とで織り成す青臭い現代の四畳半フォークの世界かな(笑)と思いきや、ラストはいきなり何十年も経ったあとに訪れる静かなる真実の告白。
人生って、そんなものだけど、思うようにはいかなくたって、よかったじゃない。と思えるほんわかラストに、さすが、ドリアンさんとうなるのでした。

コメント
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