平穏な繰り返しである日常が、ほんの少し動き出すには切っ掛けが必要なのであろう。
例えば、電車が一時的に止まってしまうような。
この小説は、東京の電車が、何かのために一時的に止まってしまい、少しだけ変わってしまった日常を描く短篇集となっています。
それぞれの主人公は、混雑している駅であったり、止まった電車の中であったり、その電車を止めた原因だったりします。
人それぞれの日常から追い出されてしまった人たちの戸惑いと、それ以後の微妙に変わった人生が描かれています。
はじめはボノボみたいな人たちだなと思って読んでいましたが、最後の2編は、運転見合わせ中とは、こういうことだったのだなと納得するお話なので、最初の方であきれることなく、最後まで読んでみるのが吉です。