今年、2冊目の中村文則作品となりました。
この作家の作品は暗いので、他の人にお勧めするには向いていないと思います。
だけど、自分にとっては中毒性がある暗さです。
芥川賞の『土の中の子供』のところでも書きましたが、死にたいくらいダメ人間の中でも生命力を感じるのが自分にとって魅力となっています。
この作品は、死亡率80%の難病に罹った高校生が、世界を憎んで死んでいく途中で奇跡的に回復して、親友を発作的に殺してしまうところから始まります。罪の意識に苛まれながら生きていく中で、他のダメ人間に出会いながら、殺人の重みを背負っていない・いるの違いでまた苦しむことになります。
かなり読者を選ぶと思いますが、精神的健康に自信がある方は一読してみてはどうでしょう。