むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

『避暑地の猫』宮本輝(講談社文庫)

2019年05月17日 | 読書
 別荘の地下室で金持ちと、母・姉がエッチなことをしていることを知った使用人の17歳の少年が殺意を抱くとは、いかにも陳腐な設定です。
陳腐な設定は、とっつきにくいが、読み始めるとおもしろいという利点があります。
そして、この作品を文学に昇華しているのは、人間の愛と憎、真面と狂気の間で揺れ動く心理を描き切っているからでしょう。
ちょっとしたきっかけで、ころころ変わる人間の心情が描かれていて、なおかつ人物像に破綻がないのがさすがなところです。
 
コメント
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