若いころ好きだった作家のひとりです。
一風変わった物語は、砂が降りしきる近未来都市で生きる若者たちを描きます。
主人公は、体毛を失った高級娼婦のキキ。彼女は客の老人から授けられた地下工場跡の戦車の再生を試みています。
彼女を取り巻くのは、迫害された砂に耐性を持つ若者たちと、闇の権力者の老人と、売春受付の退役軍人コールたちです。
すべての夢や生活が砂で作られた人形のように崩れていく様が描かれています。
これらの登場人物は、心の底に怒りを隠した草食系という感じで、表面上はクールに割り切り飄々と生きているようですが、心の底に溜まっているドロドロした怒りが出てきそうになるとスッと退いてしまうやるせなさが特徴です。
そんなところが若いころ、カッコよく感じたのでしょう。
今、読んでも、魅力的なキャラクターたちだと思います。