大御所の価値

吉田戦車のツイッターが炎上した件について。

別に吉田戦車はやなせたかしをディスっていたわけじゃないんですよね。やなせたかしに無料でデザインを頼んだ自治体のことを言ってると私は思いましたけどね。

やなせたかしは地元貢献するためにキャラデザインを無料奉仕で受けていたわけですよね。それを聞きつけて「あそこが無料だったんなら、うちもやってくださいよ！」みたいに押しかけるのは役人としては正しくても人としてどうよって話ですよね。

で、ここからは本当に私個人の意見なんですが。もし地元に無料奉仕していたのがやなせたかしじゃなく、井上雄彦とか大友克洋とかだったら、絶対にほかの自治体は無料で働いてもらおうなんて考えなかったと思うんですよ。

なぜなら。やなせたかしのイラストの魅力って、親しみやすさだからです。この「親しみやすい」っていうのは裏を返せば「誰でも描けそう」ということなのです。もちろん「描けそう」と「描ける」は別ですからね。

うちの上司も「2歳の娘もよくアンパンマンを描くよ」と言っていました。つまり2歳児でも見ただけでアンパンマンとわかるものが描けるのです。だから自治体もこんなこと考えちゃったんじゃないかな。「こんな俺にも描けそうなものに金なんて出したくないね」って。もともと役人とクリエイターってあらゆる事で真逆な存在ですからね。

よく芸術家っぽくなっちゃう漫画家がいますけど、結局あれは自分の商品価値を上げる活動なんですよね。格調高くすることで安く見られないようにするのです。

そう考えるとどんなジャンルでも巨匠となりたがる大御所の気持ちもわからなくはない。