和菓子の恩

どんたくの季節に入るので街に出てきました。連休ヒマだし。

人がいるわいるわ。老若男女が佃煮にできる程。おまけにもう春が退場し、夏がフライング気味に登場しているのか、かなり汗ばみます。一枚脱いでくればよかった。

とくにやりたいこともないのでデパートをぶらり。デパートぶらりはよかったが、地下に降りたのがまずかった。場所はいわゆるデパ地下、食品街。

惣菜からお菓子まで食べ物なら大抵のものが売っているこのコーナー。あきらかに物見遊山といった風情のわたくしを呼び止めたのは和菓子屋さん。オイシイですよどうですか、只今お試しいただけますよ、と小さな皿に入った和菓子を出してくる。

いや、結構！　毅然とそう言えればよかったのですが、ベテラン店員独特の、腰は低いけど押しが強い勧めによって、ついつい手が皿に伸びてしまう。やはり銘菓らしく美味かったです。あんこが口の中でサラーっと溶けるのですよ。そしてもっちりとした餅の感触がたまりません。

おまけに隣にいた若い店員さんがベストタイミングで梅昆布茶を出してくれる。うん、甘いもので口を満たした後は、しょっぱめのものがいいんだよね。おまけに話弾んでやがるし。もういりませんなんて口に出せないよ。甘さとしょっぱさが拒否させてくれないよ。

結局一つ買わされてしまった。私の後にやってきたおばさんは試食してからやんわりと断ったのに。男っちゅうのは手をつけてしまったらなかなか断れないんですよね。手を付けたら男として責任をとらねばいかんのですよ。何の話だ。

でもまあ、こうして買った和菓子。今こうして食べていてもかなり美味なので結果としてはよい買い物だったなあと思う現金な私なのでした。