季節の臭い

この季節。どこからともなく、焦げ臭いにおいが漂ってくるときがある。工事現場とかが近いとそんな臭いがしてくるかな。

「におい」というのは時として目で見たり耳で聞いたりするよりも強く記憶を呼び覚ます事がある。

私は生まれつき鼻が鋭敏だったためか特にその傾向が強い。そのにおいを嗅ぐ事によって昔を思い出したりしてしまう。

ただ、においというのは「匂い」とも書くし「臭い」とも書く。後者の「におい」は余り嗅いでいて気持ちのいいものではないものだろう。

春は地面に散ってつぶれた花びら。少しすえたような臭いに春を感じる。

夏は腐ったスイカ。暑さの中に漂うカブトムシのような臭いに夏を感じる。

秋は銀杏。熟れた実が地面に落ちて撒き散らす何ともいえない臭いに秋を感じる。

冬は工事現場。年末調整の工事中に舞う埃の臭いに冬を感じる。


ふっとその臭いが漂うと、ああ。もうこの季節なのだなと感慨深くなるのでした。