広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

甘寿司/ごはん工場

2020-05-26 00:24:29 | 各地お土産・食べ物
秋田市内のとあるスーパーマーケットで売っていた加工食品。
2種類 ※ラップ越しですみません
全国的に多くのかたが「巻き寿司」、特に「太巻き寿司」と認識されると思う。
ただ、具が少ないと感じるかもしれないし、左の海苔巻きはともかく右の黄色いもので巻いたのは珍しく感じるかもしれない。【29日追記】あと、海苔が外周だけでなく内側にも「の」の字に巻きこまれているのも珍しいでしょう。
商品名は「のり巻き寿司」と「玉子巻き寿司」。

このような巻き寿司は、秋田では伝統的なもので、道の駅や産直、主にローカルなスーパーでは売られている場合がある。

黄色いものは、海苔の代わりにたまご焼きで巻いている。※たまご焼き「を」でなく「で」です。
たまご焼きで寿司を巻くのは、全国的にもたまにあるようだが、画像検索してみると、海苔ほどではないにせよ薄っぺらなたまご焼きが多い。
しかし、これは厚さ5ミリ以上あり、スポンジのようにふかふかしていて、厚焼き玉子とは違う。原材料欄を確認しないでしまったが、卵以外のものも入っている。
製造元によっては、黄色の表面に焼き目がまだらに入っていたり、もっとふかふか(スカスカ)している場合もあり、小麦粉が入ったカステラのようなものもある。

ほかにも特徴がある。中に巻く量が少なめの具材は、かんぴょう、しいたけ、たまご焼き、紅しょうが、ゴボウやニンジンや菜っ葉の漬物、桜でんぶ辺りが典型的。最近はカニカマもあるかな。生魚系はまず入らない。

さらに、寿司飯も違う(たまご巻きも海苔巻きも)。
もちもちして、甘い。
これも未確認なのが悔やまれるが、もち米を使い(うるち米も使っている可能性あり)、酢のほかに砂糖で味付けられている。
一般的な酢飯も砂糖は入るが、量が違う。秋田では何にでも砂糖を入れて甘くする土地もあってその一環なのだろうが、ご飯のツヤと保存性を良くする目的もあるようだ。
海苔巻きはぐるぐる巻くだけでなく、場合によっては着色した寿司飯も使い、花や幾何学模様など凝った断面を作ることもあるそうだ。

このような甘い太巻きのことを「甘寿司(あまずし)」と呼ぶ人もいる。全国的には存在しない言葉のようだ(物自体が県外にはないだろうから)。
大館市に本社のあるスーパーマーケット「いとく」では、「昔ながらの甘寿司」というシールを貼って、「のり太巻(甘寿司)=2015年のものを確認」「玉子太巻(甘寿司)=2020年のものを確認」の商品名のものがあった。玉子太巻きは、上の写真のものよりやや薄く、表面に焦げ目がある。中に巻かれているものにも小さいながらたまご焼きも入っているようで、たまご焼きをたまごで巻くのは珍しいと思う【9月2日追記・でもごはん工場のも、よく見たら、芯の辺りに少し玉子が巻かれているようだ】。※いとくの甘寿司はこちら
能代市のホームページでは、郷土料理の紹介で「甘寿司」を掲載。海苔巻きで花をかたどり、30年ほど前までは冠婚葬祭のお膳に欠かせないものだったとしている。2本分でうるち米5合、もち米0.5合、砂糖400グラム、酢80cc、塩小さじ1。
なお、人によっては、「甘寿司」を甘くないものも含めた細巻きや助六寿司など、「生寿司」でない寿司の意味で使う人もいるようだ。【2024年6月25日追記・ここでの「生寿司」は江戸前寿司や握り寿司を意味し、「なまずし」と読むつもりで用いたのだが、北海道や東北辺りの方言のようだ。また、「しめさば」もしくは酢締めしたした魚(寿司ではなく切り身状態)のことを、西日本などでは「生寿司」と書いて「きずし」と呼ぶらしい。】

このような巻き寿司は、どちらかと言えば、農村部、年配の人のものという感じがする。コンビニではまったくなく、スーパーでもどこでもあるわけではない。青森の甘い赤飯ほどメジャーではなさそう。
個人的には、子どもの頃から写真と同じような甘い太巻きを見てはきたものの、好きじゃなかった。甘くてかつ酸っぱく、さらに具の紅しょうがの辛さまで混ざった複雑な味と、ごはんが密着してる食感がどうも苦手だった。
でも、そうじゃない太巻きを食べる機会は少なく、甘くない太巻きを初めて認識したのは、昭和末頃、当時あった持ち帰り寿司店「小僧寿しチェーン」が始めた恵方巻きだったかもしれない。※恵方巻きが全国に広まったのは、平成に入ってからコンビニやスーパーによるものが大きいが、小僧寿しはそれ以前から売っていた。【2021年2月3日補足・小僧寿しでは恵方巻の呼称は用いず、「縁起巻」と呼んでいたそうだ。この記事参照。】



さて、この巻き寿司を買ったスーパーは、JR東日本東北総合サービス運営の秋田生鮮市場保戸野店(関連記事)。
製造元は「株式会社 秋田ごはん工場」。

外旭川字八幡田、今はなき旧道経由神田線の斎場入口バス停の所(生鮮市場の保戸野八丁からは4つ先)にある。ここ10年か20年か、いつの間にか聞くようになって、ローカルスーパーの惣菜や弁当ではけっこう見かける。
生鮮市場でも、この製造元の弁当や総菜はごはん工場製が多い。その弁当のラベルを見ると、

「株式会社秋田ごはん工場 保戸野店 惣菜」??
いつの間にか、ごはん工場の「保戸野店」ができていたということらしい。所在地は生鮮市場と同じ。
記された電話番号は、生鮮市場とは別で、検索するとかつては生鮮市場「惣菜部」の番号だったようだ。
ということは、生鮮市場の惣菜部門を切り離し、ごはん工場に委託する形で「保戸野店」ができたのか。太巻き寿司のように物によっては本社から運んで来ていることになるが、逆に保戸野店から他の店舗へ輸送して売るようなものはあるのだろうか。
売り場に境目があるわけではないし、会計も一括だし、まったく存在は意識していなかった。

【2022年5月25日追記】その後、秋田ごはん工場の甘寿司(いなり含む)のパッケージには、「懐かしい ふるさとの味」という赤いシールが貼られるようになった。

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2 コメント

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Unknown (FMEN)
2020-05-27 23:06:00
沖縄ののーまんじゅうみたいです。
秋田の巻きずしは梅じそ巻なイメージです。
死んだ祖母が得意にしてました。
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のの字 (taic02)
2020-05-29 00:43:33
そうでした。全国的な太巻きは海苔は外周だけで、内側には巻き込まないんでしたね。
うちでは永谷園すし太郎で作るくらいで、巻き物は「せきや」製が多かったはずです。
梅じそ巻きはごはんも赤いのでしょうか。あまり食べたことがないですが、これからは産直で、餅菓子ばかりでなく寿司もチェックしておきたいです。
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