広く浅く

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広告の小火と書体

2018-03-15 00:13:07 | その他もろもろ
新聞やチラシの広告から3つ。
14日付秋田魁新報11面・株式面の下に出た広告。
「小火おわび申しあげます」
火事を出した元が、迷惑をかけたことをお詫びする広告。全国的には知らないけれど、秋田では、企業や店が火元の場合はまれに出される。頻度としては年に数度くらいかな。

今回は、秋田市向浜の木質バイオマス発電所で、屋外にある燃料用ヤシ殻置き場から出火したことについて、発電所の運営会社によるおわび。
7日に出火して、大きく燃え広がることはなかったもののくすぶり続け、完全に鎮火したのは125時間経った12日。秋田市消防本部からのべ600人が出動したそうだが、消防がどこへ出動しているかを知らせる自動音声のテレホンガイド(関連記事)では、出動した時刻のみで日付を伝えることができず、8日以降も単に「10時○分向浜一丁目でその他火災事案(だったかな?)が発生し消防隊が出動しております【16日訂正】活動中です」と伝えていた。

社員が軽いやけどをしたものの、ほかに大きな被害はなかったのがなによりだけど、この火事がなければ、ここにこんなものがあったとは(なんとなくは聞いていたものの)意識しなかったし、さらにヤシ殻(パームヤシ=アブラヤシの殻だそう)を輸入して発電していたことなど知るよしもなかった。
秋田県内で産出された木の切れ端(チップ)とともにヤシも使っているそうで、油分が多いから効率がいいようだ。NHKの報道によれば、燃えなかったヤシ殻は乾かせば使えるそうで、その点でも被害は大きくはなさそう。
でも、どうして火が出たのかは、素人目には謎だ。

そしておわび広告。
まず、恥ずかしながら「小火」が読めなかった。「小社」みたいにへりくだっているわけではなく「ボヤ」と読むのだそう。同社のホームページでの状況報告でも「小火」と表記している。

ここでボヤとは?
goo辞書・デジタル大辞泉では「大きくならないうちに消し止めた火事。」。総務省消防庁の定義では、そもそも建物火災に対してしか使わない用語らしい。
燃え広がらなかったとはいえ、足かけ6日間も消防が出動した火事はボヤなんでしょうかね…
【15日追記】じゃあどう表記すればいいかとなるが、「火災のおわび」ってところでしょうか。出火原因が分からない現段階では「出火のおわび」も若干そぐわない印象もするので。いずれにしても自ら「小火」扱いしては、事態を矮小化しようとしているように受け取れなくもない。


13日の秋田魁新報の健康食品の全面広告。

川柳を募集して、その優秀作を紹介するもの。16作品が掲載されているのだけど… ※以下、写真がゆがんでいます。
左上・右下と右上・左下で違いが
句ごとに枠で囲まれて、応募者の名前とともに掲載されているのだが、16句のうち3句だけフォント(書体)が違っているのだ。

新聞や各種印刷物などの広告は、デザイン会社がパソコンで作っていることが多いはずだけど、近年はモリサワ製のフォントを使っていることが圧倒的に多い。
これは、年間・1台につき5万円くらい(?)払えば、同社のすべてのフォントが使い放題という仕組みがあるため。もちろんモリサワの書体は古くから使われて親しまれ、読みやすく美しいデザインであることもあるだろう。素人ですが、個人的にはモリサワのフォントはおおむね好き。

この広告もモリサワのフォント。
13句は正楷書体(正楷書CB1もしくは新正楷書CBSK1?)、3句は教科書体。
 いずれも左が教科書体・右が楷書体
どうして3句だけ書体が違うのか、分からない。入賞と佳作とかレベルが違うわけでもないし、投稿者の年齢とか性別で違うわけでもなさそう。
我々素人のワープロ文書では、単語や文をコピー&ペーストした時に、書式もいっしょにコピーしてしまい(後で変更することも忘れて)、教科書の重要語句かのように、明朝体の中に不自然にゴシック体を混ぜてしまうような失敗をしてしまうことがある。画面では分かりにくいし。
まさかこの広告でも、同じことをやってしまったのだろうか。
広告を受けた魁では、そこまでチェックする義理も忠告する必要もないが、原稿段階で広告主とか制作会社の誰かが気付かないものなんでしょうかね…

【5月2日追記】この後、5月1日付の全国紙に、同じ形式の広告が出た。デザインは同じながら、掲載句は異なり、カラー印刷。フォントは、どの句も楷書体で統一されていた。


最後は、別の健康食品会社(これは誰もが知る大手)の折込チラシ。【2020年1月9日の新聞広告でも、以下と同じ状況になっている。】
利用者の声
これもモリサワのフォントのようで、ここは教科書体。
大きい文字と小さい文字が使われているが、実は両者で微妙にフォントが違う。
「で」で分かる
大小で「で」の濁点の位置が違う。大きいほうは手書きで一般的な「て」の外側、小さいほうは活字では一般的な「て」の内側というか下。

僕は教科書体が好きで、中でもモリサワとイワタの教科書体が好き。(他社の安い教科書体では、楷書体もどきみたいなのがあっていただけない。)
イワタの教科書体は、国語の教科書でおなじみの光村図書の小学校の教科書で使われている文字(光村教科書体と称している)と、ほぼ同一だと思われる。
モリサワとイワタの教科書はとてもよく似ているのだが、全体にイワタのほうがより角ばったラインなのと、「で」の点の位置が違う。モリサワは「て」の内側(上の川柳もそうなっている)にあり、イワタが外(教科書体の意義からすれば手書きと同じ外側にあるのがより本質なんだろう)なのが基本。

大きい「で」は、どうしてモリサワなのに濁点が外側にあるのかといえば、学参書体(関連記事)だ。
学参書体とは、活字体で手書き文字と異なる形状になる部分(しんにょうなど)を、手書きに似せ、子どもが戸惑わないように配慮した書体。
教科書体は、それ自体がもともと教育用であって、既にしんにょうなども手書きと同じデザインだから、その学参書体というのはピンと来ないけれど、こういう(この程度の)違い。とても分かりにくいが「き」なども、線の角度やバランスがわずかに違うようだ。
【16日追記】余談だが、昨年からブームの「うんこ漢字ドリル」の本文(出題文やお手本)には、モリサワの教科書体が使われているようだが、「で」の点の位置から判断して学参書体ではない。

明朝体やゴシック体の学参書体は、デザイン性を犠牲にした教育用であって、一般向けに使うべきではないとする人もいる。教科書体の場合は、そこまでの違いはないけれど、フォントとしてはやっぱり違うものであって、学参でない書体と同じ紙面で混在させるのはいいことではないと思う。
これはチェックするのは難しいけれどやはりプロでも気付けないもので、作成する人は書体の統一感ということを意識しないものなんでしょうかね…

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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こんばんは (秋田市4227ファン)
2018-03-15 23:00:39
『小火』を『ボヤ』と読むのは勉強になりました。クイズ番組に出そうな感じですね。確かに自分のスマホでも変換されました。
自分のウチは消防署の近くで火事のサイレンが鳴ると秋田市のケータイサイトで確認しますが、日時と住所のみで詳しい場所までは出ていないので少々ビミョーな感じです。何丁目何番地、若しくは何処の周辺と表示されれば分かりやすいと思うのですが・・・。
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こんばんは (taic02)
2018-03-16 00:06:16
「大火」と書いて「たいか」と読むのは知られているので、うっかり「しょうか」と読んじゃいそうです。ひっかけ的な難読熟語です。

昔のテレホンガイドでは、自動音声でなく肉声で録音したもので、詳しい番地や場合によっては建物名も言っていたと記憶しています。今は個人情報保護で大雑把な場所までになったのかもしれません。
といっても火事となれば心配です。せめてほんとうに火事で出動している場合だけでも、もう少し詳しく伝えてくれてもいいでしょうね。
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