秋田市が秋田中央交通に委託して運行(赤字分は市税から補填)する、秋田市中心市街地循環バス「ぐるる」。
あきた芸術劇場 ミルハスに乗り入れるようになった2022年6月にダイヤが改変され、2022年10月からは車両の行き先表示が更新されてロゴマークが入るなどしている。
おそらく、その10月の表示データ更新時に、新たなコマ(データ)が1つ追加されたようだ。
起終点となる、買物広場バス停で待機中のエルガミオ1522号車。その表示は「回送中」かと思いきや、
「休憩中」!?
英語表示は、回送と同じ「OUT OF SERVICE」。
オレンジ色LED・小型表示器のポンチョ1344号車でも、同じ内容。方向幕式の834号車は未確認だが、おそらく入っていなそう。
それに、フロントガラス向かって右下に、紙が掲出されている。これも今までなかった。
「休憩中」「恐れ入りますが、乗務員の労働時間管理上必要な休憩のため、ご乗車はしばらくお待ちください。」
834号車ではこれだけを出すのだろう。
乗り場のポールにも、同じ趣旨の「お客様へのお願い」が出ている。
「法定労働時間」としている
ぐるるは、1日に2台が運用に入るが、どちらか片方または両方が、買物広場で待機していることが多い。昼休みなど乗務員の休憩中も、車両は買物広場に置くのが原則のようだ(まれに秋田駅西口にいることもあり、厳密には決まっていない感じ)。
6月のダイヤ改正により、乗務員の拘束時間は増えたと思われるので、その分、休憩時間も増えたはず。
買物広場からぐるるに乗車しようと待っている客にしてみれば、「あそこにぐるるの車がいるのに、乗せてくれないの?」と疑問を抱くこともあろう。
従来、待機中は「回送中」を表示していることが多かった。
「このバスには乗れない」という点は伝わるものの、日本語として「回送」=「その場に停まって休憩」では、意味が通りにくい。英語の「OUT OF SERVICE」はまだしも。
そこで、乗れない理由を明確に示すために、「休憩中」のコマを作ったのだろう。
ネットなどでは、全国各地のバス会社で、始発バス停で発車のだいぶ前から待機・休憩しているバス(※)に、乗客が乗せるよう要求したり、休憩時間に車内で飲食やスマホ操作や読書している運転士について、バス会社にクレームを付けられることがあるそうだ。
※暑い時、寒い時、雨雪の時など、「いるんだったら乗せてくれ」と思う気持ちは分かるし、運転士の裁量でそうしてくれることもあるが、法令の定めは定め。
全国的には、回送とは別に休憩中を知らせる行き先表示を用意しているバス事業者が、ちらほら存在する。
平成エンタープライズ(埼玉県)「休憩中」、伊豆箱根バス「待機中 OUT OF SERVICE」、岐阜バス「休憩中 Not in Service」、富士急シティバス(静岡県)「OUT-OF-SERVICE ごめんなさい・休憩中です」など。
さらに、ドイツやベルギーでは、湯気を上げるコーヒーカップの絵と「Pause」「Break」を表示するバスがあるとのこと。
ぐるるでも、犬のキャラクターの寝顔とか、「お待ちください」とかも表示すれば、楽しいのに。
今のところ、秋田中央交通の一般路線バスは、従来どおり「回送/回送中(※)」や次の運行の行き先表示で待機しているので、「休憩中」のコマは使っていないと思われる。【6日訂正・一般路線バスでも「休憩中」を表示できるようだ。ただ、秋田駅周辺では、今のところ目撃していない。】
※秋田中央交通の場合、「回送」はコード番号を入力して表示させた時、「回送中」はテンキー横のダイレクトボタンで表示させた時らしい。
したがって、上記のような全般的な問題への対応ではなく、車両の運用や待機場所が特殊なぐるる特有の事情への対応として、「休憩中」が加わったのではないだろうか。あと、関連するのかどうか、以下のような出来事もあった。
6月のミルハス乗り入れ&ダイヤ改正時に、もう1点、ひっそりと変更されたことがあった。
買物広場での乗り場が、5番から4番に移った。
6月撮影。移動後の5番乗り場
5番乗り場掲出の移動告知
以前の4番は、秋田県の失策・EVバスの充電器が設置され、乗降場所としては使っていなかったはず。
5番は、以前から手形山・秋田温泉方面と臨海営業所線の乗り場でもあったようで(知らなかった!)、変更後も変わりなし。
6月撮影。移動後の4番乗り場。ポンチョは「回送中」を表示
買物広場のぐるる乗り場には、2021年5月頃にダルマ型ポールが新たに置かれた。それには「買物広場マル5」と番号まで表示してしまっていたが、今回の変更にともない、「買物広場」だけのシールを上貼りして対応。
6月以前、待機(休憩)中のぐるるは、その4番付近によく駐まっていた。乗り場変更後は、必然的に従来よりも少し後方のカーブした部分で待機するようになった(冒頭や上の写真の位置)。コーンが置かれるのは、目印なのか、他の通過車両を支障しないためか。4番乗り場の上屋にミラーを接触させない目的もありそう。
そんな変更があって間もない、暑い日。
買物広場4番からぐるるに乗車したことが2度あった。休憩中表示が設定される前。
上の写真のような状況で、1台が、運行中の表示を出して待機位置にいた。じゃあ、もう1台が到着して、それが引き続き次の周回に入るのかと、待っていたのだが…
1度は、待機中かと思っていた車の運転士さんが、わざわざ降りてきて、「お客さま。時間調整中ですがご乗車できますのでどうぞ」と迎えに来てくれた。ほかのお客は何人も乗っていて、涼みながら発車を待っていた。
もう1度は、待機中かと思っていたバスがパッシング。別の運転士さんだったが手招きして、やはり乗せてくれた。
冷房中でドアを閉めていたのと、1522号車は側窓が黒いので他の客が乗っているのが見えなかった。
つまり、ダイヤ改正で余裕ができたため、買物広場到着後、引き続き次の周回に入るまでの(営業運行途中での)時間調整=発車待ち時間が増えた。その間は、4番乗り場に着けるのではなく、4番手前の待機位置に、客を乗せたまま停まることになったらしい。
でも、その意味が分からない。乗客にも運転士にも、余計な手間をかけさせてしまっている。
4番は空いているのだし、4番に停まっても他車のジャマにはならないだろうし。まさか運行途中&客を乗せたままで休憩はしないだろうし。謎。
買物広場でしか見られない、レア表示なのでしょう
「休憩中」表示を作ったのは、乗り場ではない同じ位置にバスがいるのに状況が異なる、運行途中での「時間調整の待機」と、運行していない「休憩」とを明確に区別するという意図があるのだろうかとも考えた。だったら、やっぱり時間調整は4番ですればいいのでは…
「休憩中」表示は労働環境と乗客への分かりやすい説明という点では、改善策の1つではあろう。だけど、もっと根本的な点で、改善の余地があるのでは。
あきた芸術劇場 ミルハスに乗り入れるようになった2022年6月にダイヤが改変され、2022年10月からは車両の行き先表示が更新されてロゴマークが入るなどしている。
おそらく、その10月の表示データ更新時に、新たなコマ(データ)が1つ追加されたようだ。
起終点となる、買物広場バス停で待機中のエルガミオ1522号車。その表示は「回送中」かと思いきや、
「休憩中」!?
英語表示は、回送と同じ「OUT OF SERVICE」。
オレンジ色LED・小型表示器のポンチョ1344号車でも、同じ内容。方向幕式の834号車は未確認だが、おそらく入っていなそう。
それに、フロントガラス向かって右下に、紙が掲出されている。これも今までなかった。
「休憩中」「恐れ入りますが、乗務員の労働時間管理上必要な休憩のため、ご乗車はしばらくお待ちください。」
834号車ではこれだけを出すのだろう。
乗り場のポールにも、同じ趣旨の「お客様へのお願い」が出ている。
「法定労働時間」としている
ぐるるは、1日に2台が運用に入るが、どちらか片方または両方が、買物広場で待機していることが多い。昼休みなど乗務員の休憩中も、車両は買物広場に置くのが原則のようだ(まれに秋田駅西口にいることもあり、厳密には決まっていない感じ)。
6月のダイヤ改正により、乗務員の拘束時間は増えたと思われるので、その分、休憩時間も増えたはず。
買物広場からぐるるに乗車しようと待っている客にしてみれば、「あそこにぐるるの車がいるのに、乗せてくれないの?」と疑問を抱くこともあろう。
従来、待機中は「回送中」を表示していることが多かった。
「このバスには乗れない」という点は伝わるものの、日本語として「回送」=「その場に停まって休憩」では、意味が通りにくい。英語の「OUT OF SERVICE」はまだしも。
そこで、乗れない理由を明確に示すために、「休憩中」のコマを作ったのだろう。
ネットなどでは、全国各地のバス会社で、始発バス停で発車のだいぶ前から待機・休憩しているバス(※)に、乗客が乗せるよう要求したり、休憩時間に車内で飲食やスマホ操作や読書している運転士について、バス会社にクレームを付けられることがあるそうだ。
※暑い時、寒い時、雨雪の時など、「いるんだったら乗せてくれ」と思う気持ちは分かるし、運転士の裁量でそうしてくれることもあるが、法令の定めは定め。
全国的には、回送とは別に休憩中を知らせる行き先表示を用意しているバス事業者が、ちらほら存在する。
平成エンタープライズ(埼玉県)「休憩中」、伊豆箱根バス「待機中 OUT OF SERVICE」、岐阜バス「休憩中 Not in Service」、富士急シティバス(静岡県)「OUT-OF-SERVICE ごめんなさい・休憩中です」など。
さらに、ドイツやベルギーでは、湯気を上げるコーヒーカップの絵と「Pause」「Break」を表示するバスがあるとのこと。
ぐるるでも、犬のキャラクターの寝顔とか、「お待ちください」とかも表示すれば、楽しいのに。
今のところ、秋田中央交通の一般路線バスは、従来どおり「回送/回送中(※)」や次の運行の行き先表示で待機しているので、
※秋田中央交通の場合、「回送」はコード番号を入力して表示させた時、「回送中」はテンキー横のダイレクトボタンで表示させた時らしい。
したがって、
6月のミルハス乗り入れ&ダイヤ改正時に、もう1点、ひっそりと変更されたことがあった。
買物広場での乗り場が、5番から4番に移った。
6月撮影。移動後の5番乗り場
5番乗り場掲出の移動告知
以前の4番は、秋田県の失策・EVバスの充電器が設置され、乗降場所としては使っていなかったはず。
5番は、以前から手形山・秋田温泉方面と臨海営業所線の乗り場でもあったようで(知らなかった!)、変更後も変わりなし。
6月撮影。移動後の4番乗り場。ポンチョは「回送中」を表示
買物広場のぐるる乗り場には、2021年5月頃にダルマ型ポールが新たに置かれた。それには「買物広場マル5」と番号まで表示してしまっていたが、今回の変更にともない、「買物広場」だけのシールを上貼りして対応。
6月以前、待機(休憩)中のぐるるは、その4番付近によく駐まっていた。乗り場変更後は、必然的に従来よりも少し後方のカーブした部分で待機するようになった(冒頭や上の写真の位置)。コーンが置かれるのは、目印なのか、他の通過車両を支障しないためか。4番乗り場の上屋にミラーを接触させない目的もありそう。
そんな変更があって間もない、暑い日。
買物広場4番からぐるるに乗車したことが2度あった。休憩中表示が設定される前。
上の写真のような状況で、1台が、運行中の表示を出して待機位置にいた。じゃあ、もう1台が到着して、それが引き続き次の周回に入るのかと、待っていたのだが…
1度は、待機中かと思っていた車の運転士さんが、わざわざ降りてきて、「お客さま。時間調整中ですがご乗車できますのでどうぞ」と迎えに来てくれた。ほかのお客は何人も乗っていて、涼みながら発車を待っていた。
もう1度は、待機中かと思っていたバスがパッシング。別の運転士さんだったが手招きして、やはり乗せてくれた。
冷房中でドアを閉めていたのと、1522号車は側窓が黒いので他の客が乗っているのが見えなかった。
つまり、ダイヤ改正で余裕ができたため、買物広場到着後、引き続き次の周回に入るまでの(営業運行途中での)時間調整=発車待ち時間が増えた。その間は、4番乗り場に着けるのではなく、4番手前の待機位置に、客を乗せたまま停まることになったらしい。
でも、その意味が分からない。乗客にも運転士にも、余計な手間をかけさせてしまっている。
4番は空いているのだし、4番に停まっても他車のジャマにはならないだろうし。まさか運行途中&客を乗せたままで休憩はしないだろうし。謎。
買物広場でしか見られない、レア表示なのでしょう
「休憩中」表示を作ったのは、乗り場ではない同じ位置にバスがいるのに状況が異なる、運行途中での「時間調整の待機」と、運行していない「休憩」とを明確に区別するという意図があるのだろうかとも考えた。だったら、やっぱり時間調整は4番ですればいいのでは…
「休憩中」表示は労働環境と乗客への分かりやすい説明という点では、改善策の1つではあろう。だけど、もっと根本的な点で、改善の余地があるのでは。
今年3月、秋田県にあのバスはどうなったんだと問い合わせた人がいらっしゃり、その回答が県のサイトにアップされていました(コンテンツ番号 64076)。抜粋すると、
「実証車両につきましては、整備から相当年数が経過しており、バッテリーを含む車両本体や充電器等の交換・整備に多額の経費を要することから、再度の営業運行は困難と考えております。」
とのこと。廃車になったのかどうかは分からないですが、とにかくもったいない話です。
充電装置は、記事中の写真ところどころに写り込んでいる、箱や太いケーブルがそれですが、駐輪場への階段のところにはメーターボックスがあり、その1つが充電器の電力量計だったようです。
だいぶ以前にそのメーターは撤去されており、今残っている充電器も、おそらく使えない状態なのでしょう。売却したり、他の場所へ移設して活用もできそうなのに、これももったいないです。
市営バスも土崎駅や交通局では「秋田駅」の幕を出してラジオ聞いて休んでる運転手が。
別に休みぐらいいいのでは?と。
サボ有るのに幕、幕有るのにサボまで出すとかよほど指摘されてるのか。
バス乗務員は、学校の先生とか小さな事務所の従業員などと同様、オンオフの区別があいまいな職業。
オンオフを対外的に明確にすることで、働く側も心置きなく休めるという利点もあるのではないでしょうか。LEDのコマを追加するのに費用はかからないし。
ただ、(運転士ではなく)バス会社側には、暑い中、寒い中、バスを待つ客の気持ちも忘れないでほしいとも思います。