広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

森林パトカー

2012-07-30 23:47:42 | 秋田のいろいろ

フジテレビ系で放送されていた「ひらけ!ポンキッキ」は、NHKの「おかあさんといっしょ」と並ぶ我が国を代表する子ども番組。
番組で流れた音楽(歌)は、おそらくほとんどがオリジナル曲。おかあさんといっしょとはまた違った民放局らしいもので、見て育った者としては懐かしく思い出される曲も多い。(フジ系列局を受信できない地域の皆さんには申し訳ないけれど)

その1つに「はたらくくるま」という歌があった。
でも、僕はこの曲はリアルタイムでは知らない。
夕方の再放送があるおかあさんといっしょと違って、平日朝8時から1回だけの放送だったポンキッキは、小学校に進学すると長期休み以外は見られなくなったことが理由かもしれない。
はたらくくるまは、ちょうどそんな昭和末期~平成初期辺りに作られた歌のようだ。
※フジテレビ本体では夕方に再放送していたことがあったそうだ。リニューアルして「ポンキッキーズ」になってからは夕方に本放送していた時期(1994年と1999年以降)もあった。


はたらくくるまは、「はたらくくるま(1986年頃に作られた?)」「はたらくくるま2」「はたらくくるま3」と、3つの曲がある(以下、1、2、3とします)。
いずれも曲自体(メロディ)は同じで、作詞:伊藤アキラ、作曲:越部信義。

それぞれでアレンジ(編曲)と歌手は異なる。※発売元が異なるCDやビデオでは、さらにまた別の編曲者・歌手の場合もある
1と2は作曲の越部氏が編曲も担当。「おもちゃのチャチャチャ」を作曲した越部氏は、同時期のおかあさんといっしょの番組内の音楽も多数手がけていて、我々の世代ならいくつもの曲を必ず聞いた経験があるはずで、1と2はいかにも越部さんらしい曲であり、すんなりと耳に入る。
歌は1が のこいのこ、2が子門真人。
それぞれ「パタパタママ」「まる・さんかく・しかく」と「およげ!たいやきくん」「ホネホネロック」という、ひらけ!ポンキッキ史上に残る名曲を歌った人たちなので、これも納得。

そして3は、編曲:西脇辰弥、歌:窓花さなえ。
1や2とはかなり雰囲気の違うポップな曲になっていて、個人的には違和感を感じる。


今度は歌われている「はたらくくるま」たちについて。
1番につき4種類が出てきて、1曲につき3番まであるので、4種類×3番×3曲=36種類の“くるま”が出てくる。
「ゆうびんしゃ」とか「パネルバン」とか、はたらくくるまが大勢出てくるけれど、中には「こううんき(耕耘機)」のような「くるま」ではなく「自走式作業用機械」に過ぎないのではないかと思われるものも出てくる。

それが特に顕著なのが3。
「たうえき(田植機)」はまだしも、「ポテトハーベスター」というマニアックな農業機械、挙句の果てに野球場の「リリーフカー」まで出てくるありさま。
個人的には「はたらく”くるま”」は公道を走れることが最低条件であるべきだと思う。

ほかにも3では、2で「テレビちゅうけいしゃ」が出てきたのに「えいせいちゅうけいしゃ(衛星中継車))」が出てくるのも気になる。
ポンキッキで曲に合わせて使われた3の映像にもやや問題があり、「ひこうじょうまでまっすぐリムジンバス」という歌詞の映像に、空港と街を結ぶ路線バスの「リムジンバス」ではなく、旅客ターミナルから離れた位置に駐機する飛行機との間で客を輸送する「ランプバス(車体幅などの仕様上公道は走れないはず)」の映像を使う(羽田・成田空港の場合、リムジンとランプバスは同じバス会社が運行しているのだけど)など、子どもに誤解を与えかねない。
申し訳ないが、はたらくくるま3は、作りがやや雑な気がしてしまう。


さて、ここから本題です。
その「はたらくくるま3」の2番の歌い出しは「♪やまみち らくらく しんりんパトロールカー」。
映像は、白いボディの「ダイハツ・ミラ」が、舗装されていない凹凸がある林間の道を走る様子。
車体に文字などはなく、屋根の上にはスキーキャリアのようなものとスピーカーが載っている。要はただの軽自動車。四駆だろうけど。

「しんりんパトロールカー」すなわち「森林パトロールカー」とは、おそらく山林の維持保全に使われそうだから、営林署(現・森林管理署)にあるのだろうか?
ネットで「森林パトロールカー」を検索すると、はたらくくるまに関するもの(歌詞そのものや、森林パトロールカーとは何ぞやという疑問)ばかり、「森林パトカー」だと海外の森林警備隊のことなどにヒットしてしまい、画像検索では黄色い道路パトロールカーや警察のパトカーが多く、よく分からない。

森林パトロールカーなんて本当に存在するのかと疑問に感じかけて、やっと1つ見つけたのが、林野庁 関東森林管理局 下越森林管理署の「下越森林管理署の国有林(http://www.rinya.maff.go.jp/kanto/kaetu/kokuyuurin-kaetsu/pdf/220501.pdf)」という資料。
それには「森林官用パトロールカー」が紹介されていて、「森林を管理するため、森林官が使用しているパトロールカーです。」とある。写真も出ていて、専用の塗装がされたSUVタイプの普通乗用車。
はたらくくるま3の映像とは異なるが、「しんりんパトロールカー」ってこの「森林官用パトロールカー」のことかもしれない。
【2015年9月6日追記】コメントをいただいたように、映像の軽四駆も正式な林野庁の車両だったとのこと。


で、その「森林官用パトロールカー」、実は秋田市中心部でたまに見かけるのです。
これ
上記関東森林管理局 下越森林管理署のパトロールカーとは、塗装は同一だが車種は違い、表示は「林野庁 東北森林管理局」。


2009年などに紹介したように、秋田駅に近い秋田市中通五丁目には、林野庁の出先機関で福島県を除く東北5県の森林管理署を統括する「東北森林管理局」がある。(1999年までは秋田営林局。ちなみにかつての秋田営林署である秋田森林管理署は秋田市河辺和田にある)
運輸局とか厚生局とか「東北◯◯局」という国の機関のエリアをまとめる組織は仙台に置かれるのが普通だけど、秋田にあるのは、秋田が林業県であるからだろう。

上の写真は、秋田市中心部の駐車場で撮影した。この場所に駐まっているのを何度か見かけている。毎回確認しているわけではないけれど、一度見た時は八戸ナンバーの車だった。
おそらく、管内の森林管理署の職員が秋田の管理局へ出張で来て、近くのホテルに宿泊しているのだろう。運が良ければ南大通りなどを走っている姿を見ることもできる。


緑色がアクセントのボディ、「山火事用心」というステッカー(撮影時は山火事防止月間だった)、さらによく見ると車体やタイヤホイールに細かい泥汚れみたいなのが付着している。
山道を走って来ましたって感じ?
これこそまさに「しんりんパトロールカー」の姿じゃなかろうか。軽乗用車ではなく、SUVタイプの車であることも「やまみち らくらく」っぽい。


しかも出来過ぎていることに、この車種は「スバル・フォレスター」。
車名の由来は「森に住む人」「森をはぐくむ人」という意味であるようだが、Foresterにはズバリ「林学者, 山林学の専門家, 森林監督官, 林務官」という意味もある。(goo辞書・プログレッシブ英和中辞典では最初に出ている)
道路パトロールカーにも使われる、日産エクストレイルなんかでも良さそうなのに、東北森林管理局は意識してあえてフォレスターを選定・発注したのだろうか?

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14 コメント

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Unknown (しん りん)
2015-09-04 22:12:14
現職の森林官です。
私が林野庁という省庁自体知らなかった少年時代、ちょうど「はたらくくるま3」が出た頃は(まだ営林署の頃です)、アルトやミラが現場に導入されていました。

YouTubeに映像をアップされている方がおられますが、よく見るとミラのドアに国有林マーク(緑の円の中に白抜きで三本の木が描かれている)が入っているので完全に営林署の車両です。
紹介なさっておられる写真と同じく白地に緑唐草の森林官車両塗装の初代エスクードが登場するバージョンもあります。

ちなみに私の足もスバル・フォレスター。調査やパトロール、業者の監督などで月に1000km近く未舗装林道を走ります。
普通車の調達は全国の森林管理局からの要望を林野庁で一括して入札にかけるのですが、最近はエスクードとフォレスターの二強です。たまにエクストレイルも入ってきますが。
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ミラもやはり (taic02)
2015-09-06 22:38:58
貴重な情報をありがとうございます。
ミラのドアのマークまでは気が付きませんでした。
車種もデザインも違うけれど、あれも森林パトロールカーで間違いなかったのですね。
エスクードが映るのは、ポンキッキではないバージョンでしょうか。

年月が経ったとは言え、軽からSUVへ代わったのは大きな変化でしょうね。
秋田では、県や市の道路管理のパトロールカーも、かつてはバンタイプだったのが今はSUVが主流です。かつては高級車扱いだったSUVも価格がこなれて、購入しても理解が得られるようになったということかもしれません。

山道を月1000キロ、どうかお気をつけて。
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はじめまして。/はたらくくるま3は疾走感&パンチの強さが歴代で一番好きです。 (88ヒーロー(元ネタ:ハチマルヒーロー))
2016-03-05 23:45:27
こんばんは。はじめまして。
自分もポンキッキ&ポンキッキーズ世代でして、はたらくくるまシリーズも1&2は父親に録画(VHS)してもらって何度も見ていたのですが、残念なことに3は父親が忘れたのか録画してもらえませんでした。
中古のCDなども近所の各店舗を探したのですがどこにも見当たらず、仕方なく携帯の着うたでダウンロードして聞いております。

3は車がマニアックだ、曲調がポップ、映像の不自然さが歴代でもっとも激しいと言われますが、昭和後期のバブル時代に製作された1&2と違い、平成前期のバブル崩壊直後、ポンキッキの番組そのものも往年の栄光が失われ衰退が始まっていた時期の作品でしたので、それは致し方ないことだと思います。
むしろ自分は、当時越部さんに代わり編曲を担当した西脇さんによる、1&2になかった彼らしい”疾走感”と”パンチの強さ”に加え、のこさん&子門さんとはまた違う窓花さんの前衛的なボーカルが、シリーズものにありがちなマンネリ感を削ぎ落としていて非常に好みでした。

そのあたりに限っては、歴代至高であると20年を経た現在でも強く思っています。

ちなみにエスクードの森林パトロールカーが登場するのは、『うたの科学館シリーズ のりものの歌』で、編曲は赤坂 東児(あかさか とうじ)さんです。
(自分は「ふね・ひこうき」と「でんしゃ・きかんしゃ」しか持っていません。)
映像の不自然さは本家よりやや軽減されていますが、ボーカルが1&2に続き堀江 美都子さんで明らかにマンネリ化しており(メロディそのものも1&2で使い回され、まったく同じものでした)、赤坂さんの編曲もメロディこそ本家ほぼ同等ながら、疾走感やパンチの強さが、西脇さんにくらべどうしてもやや劣っているようにしか感じられませんでした。
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はじめまして (taic02)
2016-03-06 21:32:04
こんばんは。コメントありがとうございます。
僕ははたらくくるま(の1)の頃で小学校中学年くらいだったはずです。対象年齢のリアルタイムで視聴していたのは、番組の全盛期だったわけで、どうしてもその頃の曲やアレンジにちかい、「1・2」に親しみを覚えてしまうのでしょう。
もっと前の「およげたいやきくん」や「ホネホネロック」は、当時の子どもの歌としてはものすごく斬新だったはずです。それと比べると、1・2はいろいろな意味でオーソドックスで真面目な作品だったと言えそうです。

「みんなのうた」などもそうですが、放送と違う歌手やアレンジだと、しっくりこないことがありますね。
ポンキッキ~ポンキッキーズの放送と同じ音源のCDや映像は、今となっては入手しづらいようで。いろいろな事情はあるのでしょうが、日本のテレビ史上に残る番組ですから、需要はありそうなものですが。
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車は1&2、曲調とボーカルは3 (88ヒーロー)
2016-03-06 23:16:34
こんばんは。
ありがとうございます。

改めて申し上げますと、自分はもちろん”正統派”の1(のこさん)や2(子門さん)も好きなのですが、曲の最大のメインにして聞かせどころである車の種類や馴染みやすさのうんぬんはともかくとして、今回の編曲を担当された西脇さんによる、これらにない躍動感・疾走感・パンチ力が盛大に感じられ、窓花さんの前衛的なボーカルも相まって、”マンネリ化”していないところに好感を持ちました。
赤坂さん編曲の堀江さんカバー版(うたの科学館)とくらべても、西脇さんの編曲&窓花さんのボーカルは光っているように思います。

シリーズ全体として見れば、車は1&2を、曲調とボーカルは3を個人的にそれぞれ高評価したいです。
1・2・3そろってCDはもとより、現在も着うた/着メロが存在するのですから、3だけが例の理由をもって特別に”爪弾かれている”ようには思えないのです。
1&2には1&2のよさ、3には3のよさが必ずあるはずです。
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違いが際立つ (taic02)
2016-03-09 20:50:18
たしかに、3は違いが際立っています。
出る杭は打たれるごとく、それが異端とみなされてしまうのでしょうけれど。
いろんな作者・歌い手があって、それらに触れることも、子どもの情操には必要ですから、全部が同じ雰囲気ではいけないと思います。

窓花さんは、他の歌は歌われていないようですが、別作品でも聞いてみたいものです。
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車を変更すれば・・・・・・。 (88ヒーロー)
2016-03-10 01:38:37
ありがとうございます。
そのとおり、3の躍動感・疾走感・パンチ力は1&2を十分過ぎるまでに上回っていて、”異端”と言われてもほとんど気にはなりません。
西脇さんバンザイ!窓花さんバンザイ!と盛大に称賛したいです。

最後に3に登場する車たちですが、あれから20年あまり経過していることですし、もし仮にリメイク版を制作するとして、当時の映像において不自然だと思われる車のみ、ほかの車に合わせて現在の正しい車に修正さえすれば、映像と歌詞のギャップが少しなりとも解消されるのではないでしょうか。
主な車と修正点は下記のとおりです。


リムジンバス:歌詞どおりのリムジンバス(事業者不問。)に変更。
トーイングトラクター:トーバーレストラクターに変更、さらに旅客機を”牽引”する映像に変更。
森林パトロールカー:スバル フォレスターに変更。
ポテトハーベスター:GRIMME社の自走式ハーベスターに変更。
衛星中継車:NEXCO所有車に変更。


特に重要なものとして、森林パトロールカーは悪路のイメージが薄い初代ミラの不安定な走行が目立ち、ポテトハーベスターは稼動にトラクターを要する”牽引式”で車としての存在意義が怪しく、衛星中継車はモデルが大きく違うとはいえ自社(フジテレビ)所有の中継車が2度に渡って使用された、ということが挙げられます。
この点から森林パトロールカーは、実際に林野庁が導入し、なおかつ字のごとく”森林”の名を持っていて、お得意の4WD技術を惜しみなく発揮するスバル フォレスターに、ポテトハーベスターは備えつけの運転席で路上走行から収穫作業のすべてをコントロールできるGRIMME社の自走式ハーベスターに、衛星中継車はNEXCOが路上観測などに所有する車両に変更したらよいのではないかと考えたのですが、いかがでしょうか。
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20年以上経ったので (taic02)
2016-03-13 22:43:03
20年以上経って、デザインとしても機能・性能としても、映っている車は時代を感じるものばかりになりました。今の子どもたちからすれば、ものすごくレトロに見えているかもしれません。
当時も、一生懸命探して撮影したのでしょうが、若干やっつけ仕事的なシーンもありますね。

なるほど。衛星中継車は、歌詞からはテレビ中継用とは断定できません。となれば、道路管理用でも良いでしょう。
限られた歌詞では説明できない、車たちが活躍する状況が伝わる映像だと、より説得力や興味が増すと思います。
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自走式ポテトハーベスター (88ヒーロー)
2016-03-14 01:04:44
まずそうなりますね。
わかりやすいようにという配慮かもしれませんが、2に続いて自社テレビ局(フジテレビ)所有車を取り上げたのが編集上のミスであって、それ以外となるとNEXCO(当時は日本道路公団。)しかあり得ません。

ポテトハーベスターについて、説明不足を感じましたのでもう少し詳しく申し上げます。
本編で登場したのはスタンダードな”牽引式”(メーカー不詳です。)で、稼働にはトラクターを要し、実際に本編でもトラクターに牽引されて収穫作業を行っています。
しかし歴代はたらくくるまの車たちは、すべて自身に搭載されたエンジンやモーターの力で動いており、自身の動力を持たないこの牽引式ハーベスターでは、どう考えても車としての存在意義が怪しくなってしまいます。

そこで考えたのが、自走式ハーベスターでした。
こちらは牽引式と違い、字のごとくトラクターの力を借りずに自身に搭載されたエンジンで稼働し、作業を行います。
現在日本で有名なのは東洋農機のクローラ式と、ドイツに本社を持つGRIMMEのタイヤ式(輸入:日本ニューホランド)ですが、ガラス張りの運転席と4つのタイヤを持ち、丸ハンドルで操舵を行う後者が、車として扱うのに最適だと感じました。
後者のホームページにはそのPV動画があり(Youtubeでも閲覧可能です)、本体の全貌と作業例が収録され、運転席の丸ハンドルやレバーを操作するシーンなど車の要素がいくつか見受けられ、一部を抜き取って当時の本編映像とそのまま差し替えてもよいのでは?とも思わざるを得ないものでした。
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ポテトハーベスター (taic02)
2016-03-17 23:48:30
ポテトハーベスターの映像に違和感があったのは、そういうことなんでしょうね。
自走式なら、田植機やリリーフカーと同列になるでしょうか。

ポテトハーベスターは歌詞に出てくる車の中でもマイナーな部類ですから、どういう仕組みでどういうふうに活躍するのか、そういうことが分かる映像があれば、より分かりやすく楽しめるでしょうね。
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