広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

柑橘いろいろ1

2012-03-09 23:43:32 | 動物・植物
この記事の続きで、「独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所カンキツ研究興津拠点」(以下、「試験場」)の一般公開について。この記事は旅行記ではなく植物カテゴリーにします。

研修棟の裏側の屋外では、テントを張って試食と販売、情報展示がされていた。ここの紹介はまた後で。
この後が、個人的にもう1つのお楽しみだった、試験場の圃場というか見本園(正式名称は不明)の自由見学。

試験場の背後は山。国土地理院の地形図によれば頂上の標高は359.2メートル(=秋田県男鹿市の寒風山とほぼ同じ)で、東海道新幹線と東名高速道路がそれぞれ「興津トンネル」で通っている。
その山の大部分はミカン畑だからいわゆる「みかん山」というヤツなのだろうが、その一部は試験場の園地。
研修棟の裏側から、その山の中腹まで登ってぐるりと回って戻ってくる小径があり、それに沿って何種類ものカンキツ類が見本として育てられている。NHK静岡放送局のニュースによれば「10ヘクタールの畑で1500種類のかんきつ類を育て」ているとのこと。
一周する距離としては1キロにも満たないが、標高差は40メートルほどあるようだ。(研修棟が標高10メートル弱、最高地点が50メートル)
登り始める。右隣は静岡市立清水興津中学校
坂の傾斜としては、秋田市の千秋公園並みか。ゆっくり歩けば大したことはない(車椅子やベビーカーはきついでしょう)が、それが延々と続く。
いろんなカンキツ類が実っている
ほとんどがいい塩梅に色付いているけれど、もちろん、園内の果実は採ったり食べたり持ち帰ったりはできない。見るだけ。
おじさんが腕を伸ばしてるけど、見てるだけです
カンキツ類がほとんど生育しない地域に住む者としては、ただのミカンの木でも充分もの珍しいが、名前を聞いたことがあるだけ、あるいは聞いたこともないような種もたくさん。

どの木にも名札がかかっていて和名(カタカナ)と学名が記載されていた。
「フクレミカン」なるものと、「シークワーシャー」もあったが、果実は木についたまま干からびていた。
左の小さい果実の木がタチバナ(橘)
日本固有種。静岡県沼津市が北限の自生地とのこと。
日本人の姓にもなるほど、日本人に密着したカンキツ類といえるだろう。そういえば、「橘一家」が主人公の漫画「あたしンち(けらえいこ作)」の読売新聞日曜版での連載が、今度の日曜で終わるそうだ。

タチバナの隣は、
大きめの果実

表面がゴツゴツ!
「オウカン」だそう。これは調べても、漢字も特徴もよく分からない。
「晩王柑」というのはあるが、それはブンタンの一種らしくてもっと大きくてツルツルしてるので関係なさそうだし。

植えられているカンキツの種名はサンキツ、ポンキツ、ソウキツ、ウジュキツ、シカイカンなど、「○○カン」とか「○○キツ」というのが多い。「○○柑」「○○橘」というのは想像に難くないが、肝心の「○○」の部分が分かりにくい。
マンキツ
「慢橘」だそうで、中国原産。ウンシュウミカンの先祖らしい。

ビンキツ
一瞬、「デコポン(不知火)」かと思うが、別。(形や表面が違う)
「瓶橘」で、なるほど、形が瓶っぽい。詳細は不明。

洋風になって、
クレメンティン
クレメンテイン神父が育成したミカン。多少、流通しているようだ。
ほかに「クレオパトラ」というのもあった。

クネンボ(九年母)
室町時代に日本へ伝わったそうだが、ウンシュウミカンに押されて廃れたという。

おなじみの種も。
ヒュウガナツ(日向夏)。別名「小夏」「ニューサマーオレンジ」
ユズの突然変異と考えられているそうだ。

イヨ(伊予)=イヨカン

カボス
カボスって、青いのしか見たことがなかったけれど、熟すと黄色くなるのか。

坂の途中にもオレンジ色(橙色・ミカン色とも言えるが全部カンキツ類だ)のジャンパーを着た試験場のスタッフがいた。

試験場の見学者は、農家や研究者のような人、地元の人、JRのウオーキングイベントのついでに来た人の3パターンに分かれるようだ。年配の人の割合がやや多いが、小さな子を連れた家族連れなどそうでない人も少なくない。
カンキツ類にあまり興味のなさそうな人でも(入場するからには、みなさん多少の興味はあるでしょうけれど)、変わった実がなっている木の前では、みなさん立ち止まって見ている。
その1つが、上の写真の木。
こんな形
前回も少し取り上げた「キクダイダイ」。
表面に筋が入っているのを菊の花に見立てた命名。「ダイダイ」という名だけど、どうも熟しても橙色にはならないらしい。
NHKの記者の目にも留まったようで、夕方のローカルニュースでは「江戸時代から観賞用として育てられた「キクダイダイ」という名前の実はその名の通り、上から見ますと全体的には黄色で浮き上がった脹らみがまるで菊の花のように見えます。」と伝えている。

カンキツ類の紹介は、今回はここまで。
やっと半分くらいなので続きはまた後日。果実の色や形だけでなく、木への付き方、葉っぱも違うのが(なんとなく)分かった。


前回紹介した、ワシントンのポトマック河畔へ送られた桜の片割れが、興津に残っている。
カンキツ類に混ざって、その薄寒桜があったけど、
 
1分咲きにもなっていなかった。

だいぶ高くまで登った。
方向的には富士山側?
この日は曇りがちで見えないはずだが、見えるとすればこちらが富士山の方向。たぶん。
興津地区では、興津駅前など平地からはさった峠に隠れて富士山が見えず(見えても頭がちょっとだけ)、海側か山奥へ行かないと見えないはず。このくらいの標高の場所ではどうなのか?
試験場隣の清水興津中学校の校歌(真壁仁・作詞)には、「駿河の海」「三保の岬」「清美の浜」さらに「蜜柑いろづく」など、興津に似つかわしいフレーズが出てくるが、「富士山」は出てこないから、やっぱり見えないのだろうか。

目を転じると、
ふもとの試験場施設と興津の町、さらに駿河湾が光る
見下ろす斜面にもミカンの木が見えるが、ここは見学者は立ち入りできなかった。見本園ではなく、研究用の木なのかもしれない。
プラタナス並木がまっすぐに見え、続々と入場者が来る。海には船が浮かぶ

続きます

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2 コメント

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見ているだけで (mugi-shochu)
2012-03-10 16:22:54
2月だけに歩いている人達は冬の装いですが、雪もなく緑が沢山なせいか寒さを感じませんね。
見ているだけで酸っぱくなり唾液が出てくるぐらい柑橘類は苦手です(笑)。
柑橘類の話を聞くだけでもダメ。
匂いを嗅ぐだけならなんともないのですが。
と言っているうちに唾液が出てきた。
返信する
それはそれは (taic02)
2012-03-11 00:00:50
mugi-shochuさんには、地獄(?)のような場所ですね…

静岡としては寒いほうだったようですが、実際、秋田の感覚では春の陽気でした。10度くらいあって薄手のコートを着て行って正解だと思いましたから。

僕はカンキツ好きのなので、試食コーナーで大いに感銘を受けてしまいました。
今まではミカン以外はほとんど食べたことがなかったのに、最近はスーパーに行って、デコポンとか買ってしまいます。
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