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23番目のミスド

2011-12-26 23:19:08 | 秋田のいろいろ
諸般の事情により、新しい写真をアップできないので、ストックネタから。
「ミスタードーナツ」といえば、日本ではおなじみのドーナツ店チェーン。
日本における、ファストフードや本格的なドーナツそのものの走りとなったのかもしれない。略して「ミスド」と呼ばれるけれど、それはわりと最近のことだろうか?
Wikipediaによれば、アメリカのマサチューセッツ州ボストンで1955年創業、1970年にダスキンによって日本での展開が始まり(1号店は大阪府箕面市)、現在はアメリカより日本の方が規模が大きくなっているようだ。
現在は国内に1300店舗程度あり、秋田県内には10店舗(うち6店舗が秋田市内)ある。


その1つが、「ミスタードーナツ秋田広面ショップ」。
場所は秋田市広面(ひろおもて)の県道41号線・通称横山金足線沿い(裏というか脇が秋田大学医学部附属病院)のショッピングモール内の「マックスバリュ広面店」。
マックスバリュ広面店
1995年の開業当初は、旧ブランドの「ウエルマート」だった。秋田市内のマックスバリュ東北の大型店としては最古の店だろう。
店の前には、宝くじ売り場「広面チャンスセンター」がある。
オープン前の工事中にネコが通って通路の路面にネコの足跡がついてしまったが、オープン後に高額当選者が続出。多くの人がわざわざ買いに訪れて足跡に願掛けする有名スポットとなった。(現在は足跡は路面から剥がされ、腰の高さに展示されている)
12年間で26億円出ているそうです

その宝くじ売り場の隣、マックスバリュの店内入口との間に、ミスドの入口がある。
マックスバリュ店内からも出入りできるが、外からも直接出入りできる構造。
ミスド入口
マックスバリュは24時間営業だが、ミスドは9時から23時まで

そのドアの左上に数字が表示してある。
「0023」
この数字は「ショップNo.」と呼ばれるらしく、いわゆる店番号。
ミスタードーナツの全店舗対して固有の番号が開店順に割り振られており、店舗のどこか(看板の隅など)に表示されている。
チラシや公式サイトの店舗検索の各店舗の個別ページにも表示されるし、「フリーワードで探す」欄に半角で番号を入力すればショップナンバーから検索することも可能。

ということは、ミスタードーナツ秋田広面ショップは「全国で23番目に開店したミスタードーナツ」ということになるのか?
ここのミスドは、ショッピングモール開業からさらに後、2002年3月の開業だから、そんなわけはない。

じゃあ、「23店目のミスド」はまるっきりウソかといえば、そうでもない。
10年ほど前の秋田市を知る方ならきっとご存知であろう、秋田駅前にあった「鎌田会館のミスド」が関わってくるのだ。

結論から言うと、鎌田会館にあった「ミスタードーナツ秋田ショップ」は、ほんとうに全国で23番目に開店した店舗だそう。
2002年3月でその店が閉店し、同時期に広面ショップが開店したのだが、「駅前から広面に移転して改称」とみなして、ショップナンバー「0023」を引き継いだようだ。
つまり、場所と名前は変わったが、23店目のミスドの流れを汲んでいるのが広面ショップということになる。


もう少し詳しくまとめると、
秋田にミスドが進出したのは、日本進出のわずか2年後の1972(昭和47)年。北海道東北では最初だったというから、とても早かった。(「二〇世紀ひみつ基地」2007年9月8日「秋田初のミスドは鎌田会館一階に(http://20century.blog2.fc2.com/blog-entry-341.html)」より)

その場所が秋田駅西口の南側にあった「鎌田会館」1階。ご存じない方に説明すると、国鉄秋田鉄道管理局(現JR東日本秋田支社)向かいと今のフォンテAKITA(旧イトーヨーカドー秋田店)の向かい、すなわち現在の「ホテルアルファーワン秋田」。今、ホテル1階に居酒屋兼甘味処みたいな店が入っているが、ちょうどその位置かな(建物自体は解体・新築されたので、間取りは異なります)。
 (再掲)ホテルα-1秋田 ※以前はスクランブル交差点ではなかった
「秋田ショップ」という店舗名からも分かる通り、僕が子どもの頃(の初期)は、秋田のミスドといえばここしかなかった。
たまにドーナツを食べると、今のような庶民的な印象はなく、どことなくハイカラなものを食べた気がしたものだ。今で言う、お高いケーキぐらいの位置づけだったかもしれない。

その後、1980年代中頃になると、他にもミスドができはじめた。以下、カッコ内はショップナンバー。
秋田ニューシティ(旧ダイエー秋田店)隣接の「秋田大町ショップ(0360)」、古澤ビル(現在の中通一丁目再開発エリア内)の「秋田広小路ショップ(0600)」など店舗が増えていった。
1997年に改築された秋田駅ビルには「秋田トピコショップ(1023)」ができ、鎌田会館の店と合わせて、ものすごく近くに2つのミスドがあったことになるし、広小路や大町の店もそう遠くはなく、秋田市中心市街地に“ミスドネットワーク”ができていたと言えそうだ。
しかし、古澤ビルの広小路ショップは1998年に閉店。上記の通り2002年に鎌田会館の秋田ショップが閉店。そしてニューシティ解体で2007年には大町ショップも閉店と、気がつけば市街地のミスドはトピコだけになってしまった。
※2016年にはトピコショップも閉店することになった。

一方で、市街地から離れたショッピングセンター内にもミスドは増えていった。
イオン、長崎屋(現ドン・キホーテ)、マルダイなど、チェーンを問わず進出していた印象がある。
また、1998年閉店の広小路ショップの番号「0600」は、間をおいて2000年に開業した「秋田サティショップ」に継承された。(サティ自体の開店は1995年)秋田サティのイオン秋田中央店への店舗名変更に伴い、今年から「秋田南ショップ」となったが、今も看板には「0600」とキリのいい番号が表示されている。(イオン店内にある店なので、屋外からは見られません)【秋田南ショップは2020年1月31日閉店】


これら、秋田県内のすべて(と青森県の1店舗)のミスタードーナツをダスキンとフランチャイズ契約して経営しているのが、最初の店が入る建物の所有者でもある「株式会社鎌田会館」という企業。
※鎌田は「かまだ」と濁音。秋田に鎌田姓は多いが、たぶんすべてが濁音で「かまた」さんは知らない。
鎌田会館は、ほかにも「杉のや」という和風レストラン兼郷土料理店(昔は中央通りや秋田駅にあったが閉店。現在は秋田空港のみ)をやっていて、一時期ドトールコーヒーなども展開していたそうだ。ミスドがあった駅前の「鎌田会館」自体も宴会場などがあり、僕は1度だけ入ったことがある。また、大昔は秋田駅ビルで酒まんじゅうを売っていて、駅前の名物だったそうだ。本社は土手長町通りの河北ビルにある。【2012年6月15日追記】いつの間にか(今春に発見)、本社は南通宮田の秋田南中の北側に移転していた。
というか、いつの間にか、会社名が「株式会社鎌田会館」ではなく「株式会社KAMADAスマイルコーポレーション」に変わっていた!
たしかに「会館」自体が存在しなくなったのだし「かまた」と誤読される恐れはなくなったけど、このことを知る秋田の人ってどのくらいいるのだろうか。秋田における鎌田会館の知名度は相当だったのにもったいない。
公式サイトも、昔はあった(http://akita-suginoya.com/)らしいが、今はアクセスできない。いかにも、秋田の企業らしい。

考えてみれば、今の鎌田会館じゃなくKAMADAスマイルコーポレーションさんは、ミスドで持っていると言ってもいいような気もする。(多角経営的に何か別のことでもやってるのかな?)
ともかく、40年近く前における、先方が進出してくるのを待つのではなく、自らフランチャイズ契約することで秋田にいち早くミスタードーナツを持ち込み、積極的に店舗網を拡大していった姿勢は評価するべきだろう。
テレビ局が足りない、セブンイレブンがない(もうすぐできるようですが)、あれがないこれがないと言われる秋田だけど、昔の鎌田会館のように自分から引っ張ってくるような積極的な姿勢こそ、今の秋田に欠けているのかもしれない。


ところで、2年前の記事で「自治会館」を「爺(ジジ)会館」だと思った「五城目のトメさん」を取り上げた。昭和末期に秋田で流行った漫談(?)なのだけど、その最も代表的であろう話が、秋田駅前のミスドが舞台。つまり鎌田会館の秋田ショップだと考えられる。
トメさんがドーナツを買おうと店を訪れ、「アレとコレと…」と指さして言うと、店員が「(商品の)名前を言ってもらえますか?」と言われ、「オラ、五城目のトメだ」と自分の名前を言ってしまうという話。
僕は知らなかったが続きもあるそうで、さらに「(個数は)いくつですか?」と聞かれ、「オラ、今年で◯◯(←不明)だ」と、自分の年齢を答えたということです。
※トメさんの正体や年齢については、この記事後半参照。

※2016年1月には、上記の通りトピコショップが閉店し、2016年2月にはKAMADAスマイルコーポレーション自体が破産した。トピコ以外のミスド各店は、ダスキンの子会社へ譲渡されて、営業を継続する模様。この記事(トピコ閉店)末尾の追記も参照。
※2016年からは、広面店もダスキン子会社によって営業継続。店ナンバーも変わらず。2017年初めにリニューアルが行われ、面積は変わらないようだが黒色系の外観となって、3月24日営業開始。これまではなかった、飲茶も取り扱うようになったようだ。

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2 コメント

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我が家の青春? (まる)
2011-12-27 21:08:50
鎌田会館にあったミスド覚えてます!旧ダイエー近くのも。高校時代の放課後の寄り道は、ミスドとヨーカドー地下でした。帰省するたびに、もうないんだよな~とちょっと感傷的な気分になります。
ちなみにうちの両親のお見合いは、鎌田会館だったそうです。当時はそんな雰囲気のお店でも入っていたのだろうか…
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鎌田会館の上階 (taic02)
2011-12-27 22:28:04
鎌田会館は駅前の外れの位置だったたためか、ネット上にも写真があまりないようです。隣がおもちゃ屋の「なかよし」で…
木内とか広小路がかつての秋田の賑わいの中心地でしたが、ここも活気がありました。

鎌田会館の上階は畳敷きの宴会場にしか入ったことがありません。個室もあってお見合いができたのかもしれませんね。
川反にある第一会館大町店(バス通りでなく川沿いの方。階別に宴会場とか小料理屋があります)のようなコンセプトの建物だったのでしょう。

大町のミスドといえば、店の前の通路がタイル敷きだったのですが、雪国仕様でない製品なのか滑りやすかったのを思い出しました。
子どもの時に転びかけて怖い思いをして、以後ずっと冬は慎重に歩いていたものです。
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