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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

男鹿発酒田行き列車

2011-05-20 21:45:12 | 秋田のいろいろ
JR東日本(本社)のサイトに今日(5月20日)付で「JR東日本の「夏の増発列車」発表の延期について」というプレスリリースが掲載された。
本来であれば今日、JR各社が揃って夏の臨時列車(7月~9月)を発表する予定であったが、震災の影響で計画がまだできていないJR東日本分だけ、後回しにするというもの。

しかし、実際には、東日本エリア内でも被災地以外の臨時列車は、同資料で公表されている。
それによれば、秋田支社管内の臨時列車は2つ。(夏祭り関連の臨時列車は未発表だが、それは例年のこと)
1つはおなじみ五能線の「リゾートしらかみ」で、トップシーズンだから例年通り毎日3往復が運転される(9月上旬のみ2往復)。

もう1つが、初めての臨時列車。
「リゾート鳥海」にのって、鳥海山や日本海の美しい景色を堪能しませんか?」という見出しで、「快速 リゾート鳥海」なる列車が運転される。
・運転区間・時刻は男鹿10:01→酒田13:17、酒田15:53→男鹿19:05
・運転日は7月と9月後半の休日中心(8月中はまったく運転されない)【21日追記】7月は10日間、9月は6日間の計16回(往復)運転される。
・使用車両は「クルージングトレイン」2両編成(=先代のリゾートしらかみ「青池編成」)
・他の臨時列車にはある「全車指定席」の表記がないので、一部もしくは全部が自由席と考えられる→【21日追記】指定席・自由席1両ずつ。記事末尾の21日の追記参照

このゴールデンウイークには初設定の「弘前夜桜観賞号」として活躍した旧青池の「クルージングトレイン」編成が、この夏も臨時列車になるわけだ。
2両編成の手頃な収容力、大きな窓とゆったりした座席が重宝されているのだろう。(8月中にはもしかしたら夏祭りの臨時列車に使うのかもしれない)
だったら、塗装を変えたほうが現青池編成と紛らわしくなくて、イメージアップになりそうな気もするけど、そこまでおカネをかけたくはないのかな。


それにしても意外だったのは、男鹿-酒田という運転区間。
念のため説明すると、男鹿から追分までは「男鹿線」、追分から秋田までは「奥羽本線」、秋田から羽後本荘を経て酒田までは「羽越本線」を通る。
この経路で通しの列車が運転されるのは、極めて珍しい。団体列車ではあったかもしれないが、一般旅客向けの列車では初めてだと思う。

そして、男鹿線で快速列車が運転されるのも珍しい。JR化後初かもしれない。
男鹿線は単線のローカル線のわりには、秋田市との通勤・通学・通院等の需要がそれなりにあり、奥羽線直通の秋田-追分-男鹿の各駅停車の列車が、ほぼ1時間に1本運行されている。
その一方で、男鹿線で各駅停車でない列車はほとんど運転された実績がない。男鹿線内が全区間単線であるため、行き違いの待ち合わせが生じたり、駅通過時に減速する必要があったりして、運行が難しいのだろう。

しかし一時期、国鉄時代末期(1980年代)に、上野-秋田間を奥羽本線(福島、山形)経由で走っていた、その名も夜行急行「おが」が、そのまま秋田-男鹿間で快速列車として運行されていたことがあった。列車名の通り男鹿まで行っていたという律儀さも、ディーゼル機関車に牽(ひ)かれて寝台車を含むガラガラの長い客車が男鹿へ往復していたとう非効率さも、いかにも旧国鉄らしい。
Wikipediaや愛好家のサイトによれば、その快速区間では、(土崎?)、追分、二田、船越、脇本の各駅に停車していたらしい。
ただ、1984年前後かと思うが、うちの婆さまがこの列車で男鹿へ出掛けたのを見送りに行ったことがあった。その際、婆さまが寝台を片付けていた係の人と「この汽車、男鹿までノンストップなんだか?」「んだ。ノンストップだよ」と会話していた記憶がある。
まあ、その係の人が勘違いしていたのかもしれないし、本当にその時期はノンストップだったとしても、反対列車との行き違いのためにどこか途中駅でドアを開けずに停まっていたはず。

また、Wikipediaには「(国鉄当時の快速は)客車列車のため加減速性能が悪く、また列車交換による待ち合わせなどにより、男鹿 - 秋田間を1時間4分 - 1時間19分(1980年9月現在)要し気動車による各駅停車の普通列車より遅かった。」ともあり、駅を通過するくせに各駅停車より遅いという、なんだかよく分からない快速だったようだ。この点も国鉄らしい。※現在の各駅停車では55分~1時間くらい。

それ以後は、男鹿線で快速列車が運転された記憶はない。
数年前、それこそ「リゾートしらかみ」のオフシーズンに空いている同車両を使った団体列車が走ったことはあったはずだが。


そして、象潟以北の羽越本線を臨時列車が走るのも久しぶりな気がする。(象潟以南では、新潟との観光列車「快速 きらきらうえつ」が夏の週末に運行中)
詳細なダイヤはまだ明らかになっていないが、「リゾート鳥海」は男鹿-酒田間で3時間10分以上かかっている。
普通列車を乗り継いでも、同区間は3時間(秋田での待ち時間を除く)程度だから、臨時列車といえども快速にしてはけっこう時間がかかる印象。
酒田での鶴岡方面との接続もあまり良くない(良すぎて18きっぷ利用者で混雑するのも困るけれど)し、1万円で1日乗り放題の「JR東日本パス」の設定期間とも一致するわけでもないし、そもそもこの時間帯で男鹿と酒田方面の間での利用者っているのかなという気もする。酒田での滞在時間が3時間もないので、日帰り旅行を狙ったわけでもなさそう。この列車を設定した意図がちょっと分からない。

ネットの「msn産経ニュース」には「「リゾート鳥海」運行 JR、男鹿と酒田結ぶ」という短いニュースが出ていた。
両駅間を乗り換えのない列車が走るのは初めて。」「JRは観光をセットにした旅行商品の発売も計画している。」ということだ。

【21日追記】21日付秋田魁新報の社会面にも(妙に細長い4段の)記事が出た。それによれば、
日本海沿岸の誘客につなげるのが狙い。
1号車が指定席、2号車が自由席
羽越線停車駅周辺の名所を巡る観光プランや宿泊プランも設ける予定。
「(JR東日本秋田支社長は)「2013年秋に本県で開催するデスティネーションキャンペーンも見据えた試み。利用状況を見て、通常運行も検討したい」と話している。」
とのこと。

※ダイヤの詳細についてはこちら

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2 コメント

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男鹿半島 (taic02)
2011-05-21 19:52:06
秋田駅をまたいで運転される列車は珍しくなりましたよね。青森行きの「いなほ」も秋田止まりになったし。

観光地である男鹿半島ですが、男鹿線は根本付近が終点ですから、観光需要よりも日常生活での利用がメインになってしまいます。車窓も単調ですし。
“乗りつぶし”などで男鹿線に乗りに来る旅行者の皆さんも、予想していた客層・車窓とのギャップを感じる方が多いみたいです。
半島先端部は路線バスさえ廃止(男鹿市の自主運行化)されているようですから、新たな公共交通の整備も難しいのでしょう。斬新なアイデアで多数の観光客に来てもらえるようになるといいのですが…
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面白い列車ですね (りお)
2011-05-21 11:08:49
すごく興味深い路線です。
秋田では違う路線同士を接続して走る列車が少ないですからね。
羽越線から奥羽線に入る列車は少しありますけど…。
男鹿といえば、小さい頃からいつも「なんであんなところで線路が終わっているのだろう?」と思っていました。
国道101号線に沿わせるように線路を伸ばし、入道埼近くまで行ってほしかったです。
地形的にもできそうですし。
そうすれば水族館にも行きやすいと思うんです(車を持ってないとあそこへはいけませんよ。バスは高いし)。
男鹿は、いろんな意味で遠いですから、これを機に身近な存在になればなと思います。
まずは2次接続をどうにかしてほしいですけど。
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