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30年越しの鹽竈神社

2018-08-08 00:28:20 | 旅行記
昨年の夏、18きっぷで宮城県を訪れ、塩竈市の鹽竈神社を参拝しようと思ったものの、欲張った計画と雨により、塩釜の街をさまよっただけの計画倒れに終わった。
今年、改めて行くことにした。今回は欲張らず、最大の目的を鹽竈神社として。
※自治体は「塩竈市」、神社は「鹽竈神社」、JR東日本の駅は「塩釜」と表記するのが正式で、いずれも「しおがま」と読む。

鹽竈神社に行こうと思ったきっかけは、小学校の修学旅行で計画に組み入れられながら、飛ばされてしまったこと。
昭和最後の年の初夏のことであったから、平成最後の今年でちょうど30年越しの悲願(?)。

秋田を9時12分に出れば、北上線経由でとてもスムーズな接続が組まれていて、5本の列車に乗って仙台に14時23分に着く。
一泊二日だけど、初日に充分時間があるし、翌日は雨の予報だから、最初に参拝することに決めた。

昨年の記事でも触れたように、塩釜は秋田から行くと仙台よりも手前。JRは東北本線と仙石線が並走しているものの、駅は別の場所。
鹽竈神社は、東北本線と仙石線にはさまれた位置にあり、それぞれの最寄り駅は塩釜駅と本塩釜駅。公式には本塩釜下車とされているが、塩釜駅でも遠くはないし、本塩釜駅-塩釜駅-神社と循環するコミュニティバス「しおナビ100円バス」が毎時1本程度運行されている。

鹽竈神社の参道、というか小高い所にあるので登り口も複数あるらしいが、情報が少ない。
少なくとも塩釜駅寄り(バス停もこちら側)と本塩釜駅寄りに1つずつあって、片方は急な階段らしい。
塩釜駅から参道入口までは1.1キロで一気に階段、本塩釜駅からは500メートルのところから、さらに400メートルほどの緩い坂の参道があるようだ。

上記の仙台14時23分着の列車なら、塩釜14時04分着。
ところが、いろいろ考えすぎて失敗して(この顛末は後日)、15時頃に本塩釜駅に降り立つ結果となった。
門前町というほどではないけれど、街並みの雰囲気としては、塩釜駅よりも本塩釜駅周辺のほうがそれっぽい。
少し進むと、こんな表示があった。
「鹽竈神社の3つの参道」
ネット上にもこの情報がほしかった!(だから当記事でアップします)
塩釜駅寄りが「表参道」で「202段の急な階段」、本塩釜駅寄りが「東参道」で「ゆるやかな石畳の坂」、その間に「七曲坂」という「つづら折りの坂」もあった。
なお、表参道は「表坂」「男坂」、東参道は「裏坂」「女坂」とも呼ぶ。つづら折りは、地図によれば5回向きが変わる。

ということで東参道へ。
東参道入口。鳥居の先で左方向へ坂道が続く
上の写真右は近くにある塩竈市役所の分庁舎の公用車駐車場になっているようで、車体はちゃんと「車竈塩」と正しく表記している。
東参道
平坦部と数段の段差が混在する参道。参拝客がちらほら。気温は秋田市より低いこともあるが、海からの風が心地良く、汗はかかずに済んだ。アブラゼミとミンミンゼミが鳴き、ツクツクボウシも少々。

木々に囲まれて参道らしいたたずまいだけど、すぐ外には民家が見え、参道沿いにアパートも建っている不思議なロケーション。
途中(参道から入ったところ)に「旧亀井邸」という大正期の和洋折衷建築があって、無料公開されている。秋田辺りではガソリンスタンドで知られる、仙台市の総合商社「カメイ」の創業者が建てたもの。帰りに寄ろうかと思ったものの、帰りは通らなかったので見損ねてしまった。
「風致保安林」まといを持ったリス?

上の鳥居に到着
神社の博物館がある。ここで左(外)側から合流する道があった。それがつづら折りの七曲坂。
七曲坂
坂というか山道だ。高知の牧野富太郎植物園近くの遍路道を思い出した。

ここで衝撃の事実。
右側を見ると、舗装された道があって車がいる。なんとここまで車で来ることができ、駐車場があるのだった!
地図を見れば、坂から見えた住宅の中を道が通っている。秋田市のような平坦な土地にいると、坂が多い街の構造は想像が難しい。ただ、車で来ても、まったく歩かなくていいとか、高低差がないというわけでもない。

境内はものすごく広大というわけではないものの、さすが「陸奥国一之宮」。赤系統の立派な造りの建物が並ぶ。鹽竈神社本体の中だけでも、いくつもの神様が祀られている。
正面の拝殿
拝殿が独特な構造。同じ建物の向かって左に「右宮」、右に「左宮」と、2柱の神様が並んでいらっしゃる。賽銭箱も鈴も2セット。
テレビで、長野と群馬の県境にある神社が同じような配置だったのを見たことがあったけれど、予備知識なしで遭遇したので、戸惑った。
作法は知らないけれど、両方にごあいさつするべきと考えて、それぞれ参拝。初詣の時なんかどうなるのだろう。
でも、小銭の持ち合わせが少なくて、そこは適当に… 偶然にも、財布の中に30年前「昭和63年」製造の100円玉があったので、それを入れた。

拝殿の前に囲われた、けっこう大きな木があった。
幹が二股になっている
宮城県指定天然記念物「鹽竈神社のタラヨウ(多羅葉)」。説明板によれば樹齢500年、樹高22メートル。
タラヨウといえば、葉を傷つけると色が変わって文字を書くことができ、「葉書き」の由来とも言われる、モチノキ科の常緑樹。
その由来にちなんで、全国の大きな郵便局の敷地に植えられているそうで、秋田中央郵便局にも、あまり大きくないタラヨウがある。秋田中央郵便局のタラヨウしか見たことがなかったので、鹽竈神社の大木には驚いた。
後で調べると、タラヨウが自生するのは静岡県以西。人為的に植えれば東北地方でも育つことになるが、鹽竈神社のはかなり大きいこともあって、天然記念物になっているのだろう。


鹽竈神社本体の斜め横に、別に区切られた「志波彦神社」もあった。

さらにその横からは、庭園越しに「千賀の浦」とも呼ばれる塩釜港、松島方向の海が見下ろせる。

本当は参拝の順番とか作法があるのだろうけれど、勉強不足。でも、ごく簡単ながらひと通り参拝できて、自己満足。
東参道を戻ろうかと思っていたけれど、気が変わって表参道を下りてみることにした。
ひえーっ
すごく急な階段。方角的に、階段の先に太陽が沈むとかいうことではなさそうだけど、木々に囲まれて神社ならではの趣き。
202段を下りること自体は大したことなかったけど、特に下のほうでは、1段当たりの奥行きが中途半端で、1歩では長すぎて、調子が狂いそうになった。雨の日は避けたほうが良さそう。
無事に下りられた(写真の撮影時刻によれば5分弱かかったようだ)
上の写真に写っている、小さな子ども連れのご一家は、上から下まで下りて、再び上がって行った。よくやるなぁ。
大きな鳥居「陸奥国一宮」と表示

上って参拝して下りるまで、45分ほどかかった。駅からの往復や博物館、亀井邸見学もするなら、1時間以上見ないといけない。
30年前の修学旅行の予定表では、鹽竈神社見学として30分間しか確保されていなかった。バスで駐車場まで乗り入れて、ごく簡単に見るだけだとしても、ちょっと足りないかもしれない。
そして、小学生が見たとしても、心を動かされたり記憶に残ったりはしにくそうなスポットだと思う。
そんな意味では、行程にありながら、あえて飛ばした担任の先生(学年主任兼務)の判断は、間違っていなかったとも言える。(だったら最初から行程に入れさせないとか、時間をもっと確保するとか、旅行会社との事前調整で対応することもできたわけだけど…)

旅行記は続く

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2 コメント

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塩釜 (りお)
2018-08-09 23:09:58
鹽竈神社(打ち込んでも出なかったのでコピーアンドペーストです)は、別宮→右宮→左宮の順に参拝します。初詣では別宮に行きます。
別宮に鹽竈神社の主祭神が祀られています。また、日本では格の高い人ほど左に並ぶので、こちらから見ると格の高さでは右と左が反対になるのです。

学生時代に公務員志望の友人から聞いた与太話ですが、塩竈市役所を受験しようとするときに、応募書類やそれを入れる封筒の住所などで、正式な「塩竈市」の字ではなく、略した「塩釜市」と記載してしまうと、書類の時点で落とされるとか、落とされないとか。
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作法 (taic02)
2018-08-10 00:56:07
勉強不足を棚に上げますが、そういう作法を境内に表示してくれれば、助かるのですけれどね。
今にして思えば、失礼なお参りをしてしまったようで、恥ずかしいです。

「御中」を書かないと懸賞に当たらないなんて話もありますが、同じようなまさに与太話なんでしょう。でも、相手の名前を勝手に略するのは失礼なこともまた事実。これもまた作法ですね。
一般の塩竈市民のみなさんは、おそらく略して書くことが多いと思いますが、本心はどう思われているのでしょう。
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