広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

長良川河口堰

2009-06-10 21:02:31 | 
尾張大橋の翌日は「伊勢大橋」へ。その前に近くの「長良川河口堰」を訪れたので、この記事で紹介します(橋ではないですが便宜上橋カテゴリにします)。

昨日と同じく名鉄で弥富駅へ。近鉄に乗り換えて1駅の近鉄長島駅から歩き始める。
駅前の観光看板(文字を追加しました)
川に囲まれて島状態なのが分かる。温泉やレジャー施設、輪中関係の展示施設が点在するが、車でないと行きづらい

国道へ出ずに、線路沿いに500メートル進むと長良川の堤防。周りは田んぼが広がる。伊勢大橋や河口堰が見えるけど遠い。堤防を下流へ歩く。
これは河口からの距離のようだが、分かりづらい。
その点、雄物川の「日本海から/まで○キロ」のカッパ看板は分かりやすいし楽しい。東北地方整備局もしくは秋田河川国道事務所のオリジナルキャラなのだろうか?

線路から1.3キロで伊勢大橋。橋は後回しにして、さらに下流へ300メートルほどで長良川河口堰。
右に伊勢大橋が見える
1995年の河口堰運用開始当時は、その是非を巡る報道がよくされていたが、最近は見かけない。
汽水だった水域が淡水化されて漁業に影響があったり、生態系への影響が問題視されてきたが、地域住民を長年悩ませた水害対策や水の利用など人間の命や生活に関わる部分が改善されたという側面もある。遠い地に住む僕が、少ない情報で、河口堰がいいか悪いか、いるかいらないかは判断できない。

ところで、秋田県民の皆さん。
秋田駅東西を結ぶ地下トンネル「秋田中央道路」の建設費は700億円。では、この長良川河口堰の建設費はトンネル何本分に相当するでしょうか?

正解は約2本分(1500億円)。個人的には、ずいぶん安いと思った。中央道路のことを考えてしまうと。
中央道路は当初、1500億円で上下線別に2本のトンネルを掘る計画だったから、かつての秋田県はこの河口堰を秋田市中心部に埋めようと考えていたようなものだ。
でも国にとっての1500億円と秋田県にとっての700億円では重みが違いすぎる。それに中央道路がなくても洪水になるわけでも人が死ぬわけでもない。
河口堰のことは置いておいて、秋田から遠く離れた地で長良川を眺めながら、あの地下道路は必要だったのかと、また思ってしまった。

さて、長良川といえば…
鵜!
日本に生息するウミウとカワウは区別が難しい。これは光沢がないのでカワウかな。鵜飼いに使われるのはウミウの方。ほかにも鵜や白い鷺がいた。

河口堰周辺には駐車場・公園・芝生があり、自由に立ち入りできる。
急な階段下に「左岸魚道観察室/ご自由にお入り下さい」
入り口は暗幕が張られ、川に沿って長い小部屋になっている。
長良川の生き物の資料が展示されていた
河口堰の両端は魚が行き来できる魚道になっており(数種類の違う方式がある)、ここでその1つの「呼び水式魚道」を側面から観察できる。
(水族館みたいに見えるけど、写真奥から手前に向かって流れている長良川の側面)
底の方で小魚が群れていた
アユの遡上シーズンだが、潮の満ち干に影響されるそうで、この時は見られなかった。
草むらをかき分けて下流側から
以前から写真で見て気になっていたのが、上部の丸っこい物体。「操作台上屋」という堰のゲートの制御装置が入った部屋で水滴をイメージしたとのこと。昆虫の複眼のような、ロボットの頭のような、好きになれないデザイン。
敷地内の看板「セアカゴケグモにご注意」
そうそう。こんなニュースもあったな。ほとぼりが冷めるとすぐ忘れてしまうが、当事者にとっては今でも問題。
資料館「アクアプラザながら」
入館無料で河口堰や長良川の治水の歴史に関する展示がある。
展示によれば、河口堰の主目的は、
洪水を防ぐには川底を掘り下げる“しゅんせつ”が有効→しゅんせつすると海水が長良川に逆流しやすくなり生活に影響する(塩害)→そのため河口堰で海水逆流を防止する
ということだと理解した。

河口堰自体を維持管理する管理所とは別棟だが職員が常駐し、清掃も行き届いていた。予約すれば1人でも案内してくれるそう。トイレもきれいだったし、展望室(屋内外両方)もある。
屋内展望室
生茶のボタンが8つもあって午後の紅茶は1種類しか入っていないキリンビバレッジとコカコーラ自販機があった。
上屋と伊勢大橋と桑名市街

反対側、長島地区
麦畑や住宅の向こうに昨日渡った尾張大橋が見えた。
下流方向
左の道路や駐車場が川の水面より低く見える。1959年の伊勢湾台風では高潮による大きな被害があったそうだ。

河口堰本体の上は、ダムと同様橋状になっていて昼間は開放されており徒歩か自転車で対岸へ渡れる。長さ661メートルもあり、行って戻ってくるのも大変なので、見学者用レンタル自転車まであった。僕はもうここへは戻ってこないので歩き。

作業用車両が通るのだろうが、車がすれ違えるほど広い。手すりもしっかりしていて、歩いても恐怖感は感じない。
10個以上の丸い上屋が並ぶが、長島側の2個は写真のように上流・下流両側に上屋があり、残りは下流側だけ。役目が違い、この2個は「ロック式魚道」、残りがメインの「調節ゲート」。
上から見た調節ゲート下流側
運用開始時にこのゲートが落ちる(閉まる)映像が象徴的に使われていた。
丈夫な手すりがあるとはいえ、こうしてのぞき込むと怖いのはダムを見下ろした時と同じ。水は滝状にザーと流れているようにしか見えないが、ゲートで上流側水位を高くして海水が流れ込まないようにしたり、洪水時に調整したりしているとのこと。
伊勢大橋を真横から見られる。美しい

工事関係業者の車が駐まっていた
自転車を借りていた人がいたが、ミニチュアダックスフントも一緒だった。広々とした橋の上が楽しいようで、飛び回っていた。
対岸に近づいてきた。
ゲートとは違う構造の物がある
自転車は通れない狭い通路があり、上流方向へ入れた。
「閘門(こうもん)」という水位を調整して船を通す場所。魚道も兼ねる。

対岸に到着。対岸と言っても幅200メートルほどの千本松原と言われる堤防で、すぐ隣を揖斐川が流れる。
伊勢大橋方向。右が長良川、左が揖斐川

下流方向
川の境の堤防は徐々に細くなってなくなっている。そこが合流点で、長良川は終わりで揖斐川になるようだ。
アップ
赤いのは3キロ下流の国道23号揖斐長良大橋。上下線同じ構造の赤いトラス橋が2本並んで重なって見える。尾張大橋からも見えた河口のナガシマスパーランドのジェットコースターも見えて、おもしろい光景。
親水広場という水辺の公園があった
さて、これから伊勢大橋を渡るけど、この堤防は橋の途中。普通の橋なら、一本道で両岸からしか渡れない。
でも伊勢大橋は大丈夫。橋の下を潜り上流側に行くと、
アーチにぽっかり穴が開いていて、中に入れるのです!
車道があり、橋の中に信号機まで付いている(右の坂道は河口堰への=今歩いてきた 歩行者道)。
伊勢大橋の記事は後日アップします。

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2 コメント

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思い出しました (mugi-shochu)
2009-06-11 18:48:17
河口堰のゲートが順番に水柱を立てながら閉まっていった凄い映像を思い出しました。
堰が必要だったのかどうか私も分かりませんが・・・
水族館みたいな魚道が面白いですね。
セアカゴケグモも長良川だったんですね。
刺されなかったですか?
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衝撃的でした (taic02)
2009-06-11 20:04:06
下流の合流点付近から撮影した映像だと思いますが、衝撃的でしたよね。今は大きいけれど静かなたたずまいでした。
散歩していろいろ眺めるには良さそうな所でした。近くには温泉や花が楽しめる民間施設もあるので、じっくり滞在するのもいいかもしれません。
クモは10年以上前に関西で見つかり、昨年ここや隣の木曽川でも見つかったとか。今回は幸いお目にかからずに済みました。
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