広く浅く

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2014年の信号

2014-12-28 00:18:16 | 秋田のいろいろ
久しぶりに秋田県の信号機の話題。最近の変化をまとめて。

●今年のトレンド
2012年頃から、LED式車両用信号機の「積雪」対策に加えて吹雪などによる「着雪」への対策として、2つの方法による「無着雪型信号機」が本格的に導入されていた。
フード(庇)がないまっ平らな信号機をうつむかせて設置する「フラット型」と、従来の信号機のフードの代わりにカプセル状のカバーを取り付ける「球面型」である。1台の価格はどちらも、通常品+1万円の17万円だとか。
※「フラット型」はメーカーによる正式な呼称。「無着雪型信号機」、「球面型」、価格は秋田県警の取り組みを伝えた秋田魁新報の記事での表記。球面型のことは当ブログでは「カプセル型」と表記しています。
※フラット型には強風対策の意味もあり、積雪地以外でも横向きで設置されている。

秋田市中央部(秋田中央警察署管内?)に限れば、昨2013年に設置(更新)された信号機は、カプセル型が圧倒的に多かった。
フラット型と比べて、設置工事が従来と同じ(専用取付具が不要)、鋭角交差点や連続交差点で必要な視角制限に対応できるというメリットがありそう。ただ、昨冬気になったのは、吹雪いた直後は、カプセルの球面に雪が張り付きやすいこと。特に矢印信号が不安。
従来型よりは明らかに着雪が少なく、落ちるのも早いから、効果はあるにはある。主に北西向きの信号機に限定して起きるようで、限定的ではあるが、ある種の欠点だと感じた。

さて、2014年の“トレンド”は?
おそらく1週間ほど前に更新されたばかりの信号機
今年はフラット型が圧倒的。
方針としてカプセル型と毎年交互に採用しているのか、それとも何らかの理由で気が変わったのか?

また、上の写真では電線がゴチャゴチャしていて分かりにくいけれど、柱に取り付ける「アーム」も特徴的。
数年前の一時期、1本だけの太い鉄パイプ状のアームが採用されたことがあった以外は、おおむね昨年までは従来と同じ、平行ではない間が開いた(=一部がカーブした)2本の細いパイプ状のアームで設置されていた。【29日追記】信号機本体は横から縦、電球から薄型LEDと変化しても、アームは30年以上前から同じスタイル(取付金具を除く)だったことになる。
(再掲)以前の設置方法。上の棒が水平で、下がカーブしている

それが今年は、一直線の細いパイプが2本並行するタイプに変わった。従来と同じく、斜めの針金みたいなの(「弓」と呼ぶのかな?)で吊り上げて(?)いる。
スタイリッシュに見えるが、並行にするんだったら1本でも良さそうな気もするけど、バランス的にこうじゃないといけないのでしょうね。
なお、資料ではこのアームを指して「豪雪型」と呼んでいるようなので、積雪時に負荷がかかることは想定されているのでしょう。
今年のトレンドは、「フラット型を2本アームで設置」でした。

2009年に愛知県で撮影した、古い信号機(現在は更新済み)。おそらくフラット型と同じ小糸製
昔の信号機は、ボディは分厚い箱型でアームと一体化。アームは、上の写真のようにメーカーによっては下側が大きなアーチを描いていた。秋田でも、平成初期頃まではこういうのがぼちぼち見られたものだ。
昔の信号機もどことなくオシャレで嫌いではないが、今のコンパクトな信号機を見ると、隔世の感を禁じ得ない。


●着雪対策が進めば…
着雪対策の信号機に更新されるのは、従来電球式の信号機だった箇所ばかりではない。通常型のLED式から着雪対策のLEDへの更新も進んでいる。
それによって取り外された既存のLED信号機は、多くが他の地点へ転用されている。
電球式のままだった小さな交差点への移設が多く、「ボディを塗装し直して、(上記の)2本並行アームに交換の上、移設」というものもあり、見た目は悪くない。
こうした流れにより、秋田市内では「横型電球式の信号機はだいぶ少なくなり(といっても散在しているので数はそれなりにある)、縦型電球式も減りつつあり、LED式がおそらく過半数を越え、幹線道路を中心に着雪対策化が進んでいる」という状況。

明暗差が激しいですが山王大通り
山王大通りの秋田県庁・秋田市役所付近でも、1か月ほど前に従来型LED式(一部は電球式)からフラット型へ更新された。デザイン化された信号柱への設置なので、アームは既存のものを継続。
従来の信号機や柱の色に合わせて、上の写真手前の「県庁西」交差点では茶色、奥の市役所~県庁間の横断歩道用は緑色のボディカラー。

奥の市役所と県庁の間の車両用信号機は、以前は特徴的なLED式信号機だった。
LEDの粒が見えず、消灯時は白く見える「プロジェクター方式」と呼ばれる、LED信号機登場直後に見られたタイプだった。コストの問題なのか主流とはならず、少数派に終わった。【2015年1月5日訂正】コメントでご指摘いただいたように、県庁前のは「ユニットレンズ」方式とのこと。
(再掲)右の自転車用もプロジェクター式のはず
プロジェクター式は転用されず廃棄されたようだ。
LED信号機登場から10年近く経つわけで、しぶとく残る電球式もある一方、役目を終えるLED式が出てくる頃になった。


●試験終了?
コイト製のフラット型と同コンセプトだと思われる、「信号電材」製のフラット型っぽい信号機が、秋田市内の2か所に1台ずつ設置されていた。※この記事後半
(再掲)
山王大通り「運動公園前」では↓
従来型に戻された
フラット型っぽい信号は取り外され、通常タイプのLED式が設置されていた。(おそらくもう1か所でも同様)
塗装が剥がれたりしているので、以前ここにあったものが復活したのだろうか。上の県庁西交差点の隣なので、その更新といっしょに工事したのだろうか。(運動公園前交差点の他の信号機は変化なし)

交差点内の1台だけという設置方法からして、試験的な設置だったのだろう。試験結果はどうだったのでしょうか。
※試験結果が反映されたのかは分からないけれど、その後2018年の信号電材の信号機について。


●減る信号機
交差点の車両用信号機は、同じ方向に1台か2台付いていることが多い。
広かったり、車線や交通量が多かったりする道には2台以上設置される傾向があるが、これは、見落としを防止したり、万一1台が故障した時の予備(冗長化)の目的があるのだろう。
結局は各県警や個々の場所ごとの判断なんだろうけど。

これも今年のトレンドに入れてもいいかと思うが、秋田市内では、一方向当たりの信号機が2台から1台に減らされる箇所が出ている。
横型が正面と右手前の計2台の丁字路突き当り
フラット型への更新工事後は↓(微妙にアングルがズレてすみません。以下同)
正面に1台だけ(アームが短くなった)
更新工事に際し、2台あった信号機が撤去され、1台だけ新設された。

そればかりか、
十字路の細いほうの道。両面設置×2
これが↓
両方向とも、右手前となる信号機が取り外された
更新工事とは関係なしに、単に取り外して1台だけにする工事も行われている。
このような箇所では、アームの取付金具が両面用のまま残っている。取り外された信号機は、上記のように他の交差点に転用されたり、同じ交差点内の違う向きの古い信号機の更新に転用されるものもある。

このように、ある程度の規模以下の道路や交差点において、主に「補助灯器」と呼ばれるメインでないほうの信号機を取り外し、1方向につき1台の信号機に減らす、“信号機減らし”が進んでいる。


信号機減らしは、秋田県警が独自にやっているわけではなさそう。
昨2013年末、警察庁から各都道府県警など宛てに出された「「信号機設置の指針」の試行について(通達)」に基づくものだと思われる。

この通達では、「財政状況が厳しい中、信号機を始めとする交通安全施設は大量更新期を迎えていることなどから、交通の安全と円滑を確保するため、より効果の高いものに予算を効果的かつ効率的に措置することなどにより、持続可能な交通安全施設の整備を推進し、これについての国民の理解を確保する必要がある。」としていて、要は必要な場所には信号機を設置し、必要でない(必要でなくなった)場所からは撤去するよう、柔軟にやりなさいということ。

交差点ごとでは、「1流入路につき1つの車両用灯器の設置を原則とする。また、道路の形状、車道の幅員等を勘案し、特に車両用灯器の視認性を確保する必要がある場合は、2つ以上の車両用灯器を設置するものとするが、車両用灯器のLED化や道路改良等で視認性が向上した場合は、現場の状況に応じて車両用灯器の撤去を検討するものとする。」としている。
つまり、形式上は「1方向につき信号機1台」が原則で、1方向2台は特例なのだ。

LED化により電球のような球切れは起きないし、各種機器の信頼性が向上したことも、こうした変化の原因だろう。設置や電気代の節約にもなる。
ただ、気になるのは、上記のような着雪で見えなくなった時のこと。2台あれば、もう1台で確認できる場合もあるけれど、1台だとどうしようもない。(最近は歩車分離式で、歩行者信号を見ても、車は判断できない所もある)
まあ、これもフラット型のような形状や設置方法の対策でなんとかできるか。

通達は「平成27年3月末まで試行」するそうだが、その後、どうなるでしょう。


●詳しく表示
以前から、気になる交差点の信号があった。
車両用信号機に「時差式」と表示があるのだが、どう見ても時差式の動作をしていない。

信号機ボックスへ申し出てみたら、「時間を限定して時差式になってるんだよ」とのこと。
なるほど。と思っていたら、
こんな表示板に替わった
「時差式信号7.30-9.00(日曜・休日を除く)」と、通学路の道路標識の補助標識ような、詳しい表示が設置された。
これなら納得できるが、ちょっと仰々しい。(信号機ボックスに言ったばっかりに、お手間を取らせてしまって、ちょっと申し訳なくもある)【28日追記】過去には、神奈川県警が時差式の表示をしていなかったから交通事故になったと裁判になって、県が負けたことがあった。時差式動作時の交通事故では、過失割合の按分でもめることもあるらしい。そうしたことを踏まえて、より正確な表示に踏み切ったのだとも思う。

矢印信号や歩車分離において同様の時間の限定が行われる場合、2011年頃の秋田県警では「深夜等矢印運用なし」「歩車分離時間別運用」という、分かりづらくてぼやかした言い回しの表示だった。
 (再掲)
しかし、警察庁の通達(2002年「歩車分離式信号に関する指針の制定について」)では、実際の作動時間を明示するものを例示(強制ではないらしい)しており、今回の時差式の表示は、それに従っている。

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13 コメント

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積雪地域にフラットが伝わりつつ.... (B’zライブトラック)
2014-12-28 14:03:16
最初フラットを見た時は貴重なものかと思いましたが、勘違いでした。
今回の秋田県内の電材薄型の設置例が少なかったみたいですね。
もともと縦型設置の地域はコイトの設置例が多いのでしょうか?
来年もフラットが増えるのでしょう。
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Unknown (マキオ)
2014-12-30 10:04:14
信号と言えば、
千秋トンネル前のぼろい信号がようやく変わったようです。
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コメントありがとうございます (taic02)
2014-12-30 20:09:08
>B’zライブトラックさん
フラット型の普及は早かったですね。
たしかに昔から小糸は一定のシェアがありましたが、その安定感が引き継がれたのか、それとも斬新な形状による効果が絶大なのか。
信号電材はじめ他社がどう追いかけるでしょうか。

>マキオさん
そうですね。トンネルの保戸野側の感応式が茶色の中古、手形側(千秋城下町)は通常色の中古ですが、以前記事にした外旭川のフードが点灯するものが回されてきました。
この道路の信号機は、道路ができた昭和50年代前半~中頃のままでした。樹脂製なので近年は劣化が激しかったのですが、これでやっとほぼ一掃された感じです。
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やっぱ京三が1番。 (B’zライブトラック)
2015-01-03 01:17:40
フラットより短いフードがほとんどの北海道。
京三とコイトが通常短いフードで、日本信号はショートフード、電材は赤点滅は赤だけロングフードで後の物は日本信号と同様ショートフード。
やっぱり信号で1番は、京三分割と京三カマボコと京三オマルですね。
ちなみに北海道内の京三分割赤点滅1灯(網目レンズ)は試験設置ではありません(当然レンズで分かるだろう)。
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意味がない。 (B’zライブトラック)
2015-01-04 19:03:19
最近の北海道はコイト厚型(深いフード)から電材薄型に交換が多く他の社はあまり減りません。コイト厚型は新しめも関係なく交換されています。理由は深いフードが原因かと思われますね。
正直コイト厚型(深いフード)大量に設置された意味がないと思います。
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あけましておめでとうございます (シチ)
2015-01-04 22:11:36
ご無沙汰しておりますm(__)m
少々遅くなりましたがあけましておめでとうございます。。

今年度はコイトフラット一色という感じですね・・・。
唯一明田地下道の東側くらいでしょうか。。
もしかしたら県警の方でコイトフラットにするように指定しているのかもしれませんね・・
またカプセルフードは
http://7signal.web.fc2.com/sn-ns001.html(宣伝のようですみません。。。。。)
のようになってしまうのも原因かと思われます・・

県庁と市役所前のあの灯器は実はプロジェクタレンズではなく、、ユニットレンズというタイプです。。
主にプロジェクターは日本信号・京三でユニットレンズが小糸という感じになっています。。
気にして見ていただくとわかるかと思いますが、プロジェクターが端の方まではっきり点灯しているのに対してユニットレンズは端の方がややぼんやりとしています。。

信号電材のフードレス灯器ですが、、秋田県では四機設置されたようですが、それら全てが交換されているのを確認しました。。
全て同じような条件で一年で交換されたのでやはり試験設置だったのでしょうね・・

>>1流入路につき1つの車両用灯器の設置を原則
これは知りませんでしたφ(..)メモメモ

長文失礼しましたm(__)m
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コメントありがとうございます (taic02)
2015-01-05 23:02:59
>B’zライブトラックさん
雪質とか風にもよるのでしょうが、こちらでは短いフードは逆効果というか、縁に雪がこびりつくこともあるように思います。
かえって長いほうが、吹雪を避けるにはいいような気もします。フードに積もってしまうと、長いのはまずいのでしょうけど。

>シチさん
こちらこそ、ご無沙汰しておりました。ご丁寧にありがとうございます。
たしかに、カプセルで北西向きのものなどは付着してしまうことがありますね。

県庁前はユニットレンズでしたか。ご指摘ありがとうございます。
白いものは珍しいとだけ覚えてしまっていました。

警察庁のホームページで、各県宛ての通達を見ることができます。
たまにチェックしておくと、いいかもしれません。
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他でも見ましたよ (ハロール)
2015-01-10 12:50:46
 元、信号乱歩だった者です。表示名、ハロールに変えました。 
 秋田の信ちゃんファンサイトでも見ましたが、続々とフラットやカプセルに交換されてますね。大通りでも通常のLEDを着雪対策に取り換えるなど。秋田県、フラットによりコイト、通常薄型時代に比べ増加してますね。そのかわり、電材が鈍り気味の印象ですね。
 秋田でも最近、見通しの良い交差点では両面から片面に変えてますか、着雪対策に更新した場所でも両面から片面に。関東でも栃木や神奈川でも近年、見通しの良い直線道路ではLED更新時に両面だったのを片面にする所がかなり増えてますね。LEDにより視認性が上がったのと予算でしょうね。いやあ、秋田の着雪対策灯器の増加の実況見させていただきました。
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秋田の近況 (taic02)
2015-01-10 23:40:00
一時期は信号電材を好んでいた秋田県警でしたが、めっきり少なくなりましたね。押しボタン箱は今年度も電材製が入っています。

ここ数年でLED化が急激に進みましたし、秋田では信号柱の建て替えも盛んです。だいぶおカネがかかっているだろうなと思っていましたが、警察庁からのお達しもあり、1か所ごとの灯器を減らしているのでしょうね。
たしかに、この道路に2基も不要と思っていた場所もある一方、街路樹や緩いカーブがあっても減らされた箇所もあり、若干不安もあります。
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電材薄型 (B’zライブトラック)
2015-01-11 16:26:55
北海道内では、最近は厚型薄型関係なく電材薄型に交換が多くなってきています。コイト標準灯器より意外と電材薄型が安いからね。
ちなみにコイト厚型深いフードは最近そこそこ撤去が多くコイト厚型選んだのが失敗だと思いました。
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