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秋田中央交通 復刻塗装

2023-04-04 23:32:36 | 秋田のいろいろ
先日取り上げたように、秋田中央交通が、昔の車体塗装を再現した車両(いわゆる復刻塗装)を、路線バスとして運行し始めた。
現行塗装の先々代に当たるデザインで、1990年頃までの導入車両に施されていた。その後、廃車や塗り替えにより、2000年前後頃には、姿を消していたかと記憶する。

秋田魁新報の報道によれば、秋田(大川反車庫)・臨海・五城目の各営業所に計5台を導入予定。
現時点では、3月15日頃から「秋田200か1595(ノンステップ)」が秋田営業所、3月30日頃から「秋田200か1604(ワンステップ)」が臨海営業所で、それぞれ運用開始。どちらも、新しく入った中古車で、中型バス・いすゞエルガミオまたは縦2灯ヘッドライトで同設計の初期の日野レインボー2。
ネット上の情報によれば、15-95は元小田急のエルガミオ。16-04は元京阪(つり革が三角形)のレインボー2。
今のところ2台とも、固定運用などではなく、まんべんなく運用されていると思われる。秋田市中心部で、違う時間帯に何度か遭遇できた。今回掲載する写真は、すべて1595。

前回の記事で、鉄道やバスの復刻塗装のほとんどにおいて、現役当時の塗装の記憶と照らし合わせると、復刻時のほうが、色が濃く色鮮やかに感じられるとした。
今回も同じ感想
汚れていなくて、ツルツルに見えることもありそう。それを差し引いても、緑色部分が、復刻塗装では蛍光色に近い見えかただけど、昔はくすんでもっと白っぽい黄緑色だったような… それに、今思えば、昔の塗装は、ざらっと粗かったような…

この塗装の緑色は、「黄緑色」だと思っていたが、それよりは「白を混ぜた緑色」のような感じだった。現行塗装の黄緑色とは色味が違う。
1990年代初めに短期間採用された先代塗装の薄いほうの色も、同じ白っぽい緑色だった。ただし、先代塗装は2016年頃まで残っていたが、それと比べても、今回のほうが鮮やか。
正面のデザインは、今どきではないのは確かだけど、色合いとか側面のデザインは、さほど時代錯誤でもなく、悪くない。かわいらしいような雰囲気もある。

魁によれば、企画を発案した中央交通の整備工場長が、デザインも手がけた。
この塗装をまとうのが初めてとなる、いすゞエルガミオ系車体との相性。
後部
ネット上には、現役当時の後部の写真は見当たらないが、復刻では後部のグレーが広いと感じた。
昔のバスは、側窓の底辺と、リアウインドウの底辺の位置がそろっていた。現在のバスは、低床化の関係かリアウインドウが上に寄って、その下にスペースが空いているので、そこはグレーに塗らざるを得なかったようだ。

車体形状や費用の制約もあるのを思えば、違和感なく仕上がっている。仮にもし、2度の塗装変更がなく、30年前の塗装が現在まで続いていたら、これになっていただろう。


とはいうものの、やっぱりいくつか、好き勝手に指摘させてもらいます。
・前バンパー
中央交通の塗装では、昔も今もバンパーは車体色には塗らず、銀色(昔の一部)や黒。エルガミオでは黒。
今回の復刻塗装では、前バンパーも緑に塗って、白い線も引いており、車体と一体的に扱っている。後ろのバンパーは黒なので、前後でちぐはぐになってしまっている。【5日追記・上記のようにグレー部が広くなったのを補うため、後ろバンパーも緑にするのも一案では。】【7日追記・秋田市営バスの三菱ふそうエアロミディの一部で、前バンパーがグレーの車があったが、後バンパーは黒という“前例”はあった。】
これはバンパーを含めて塗らないと、車体部分が狭くて、白線の ) ( を完全に描ききれないための措置ではないだろうか。
エルガミオの前モデル、ジャーニーKでも、初期に旧塗装の車があったが、それではカーブが上半分程度まで途中で切れたデザインだった。

・前面の黒をなくしたら
上記の通り、昔のバスはバンパーは黒かったが、それ以外に黒いものは少なかった。
今回の復刻では、バンパーのほか、ワイパーが取り付けられているフロントガラス直下も緑に塗られた。
それでも、昔と比べる黒い部分がまだある。そこも塗ってしまえば、よりリアルに昔っぽくなるかも。それは、ヘッドライトの周り(ヘッドライトベゼル)と、行き先表示左右(車椅子マークの背景)。
エルガミオは縦のヘッドライトが特徴的で存在感があるが、それが緩和されそう。
全国的には、復刻塗装でそのように塗っているバス会社がちらほらある。

・白い線の数
側面
側面には白い線が3本引かれている。うち上の2本は、前面の )V( につながり、後部にもつながる。
下の1本は、側面だけで終わっていて、途中で途切れ途切れ。こんな線あったっけ?
ネットで記録されている現役当時の写真を拝見すると、この線はない車のほうが多そう。ある車もあるが、塗装ではなく、棒状のものを取り付けているように見える。デザイン上のラインでなく、何らかの意味がある白い部品だったのではないだろうか。復刻塗装には不要だったのでは?
【5月3日追記・昔の車の下部の白い棒は「サイドバンパー」だそうだ。昔のバスでは一般的だったようで、例えば東急バスでは「昭和43年度上期の購入車まで両側面に付いていたサイドバンパー(メッキ)も徐々に外されていった。(2011年10月25日発行『東急バス 20周年記念誌』56ページ)」そうだ。】

・白い線の太さ
側面では、上2本は同じ太さ。
現役当時は、下の線ほうが細く、上の半分程度の幅だった。その下の線が正面に回りこんで )( になるわけだが、そこで一気に太くなるデザイン。
そんなところも再現していれば、メリハリがはっきりして、違う印象になっていたかもしれない。

・社名表記
側面窓下には、文字間隔を広く「秋田中央交通」。文字は、デジタルフォントと思われる丸ゴシック体。
現役当時は、表示位置が後ろ寄りなどばらつきがあったようだが、書体は活字ではない文字だったはず。現行塗装でも、2010年代初め頃までは「秋田中宍交通」に見える独特の書体が使われていた。そこも再現できたらおもしろい。
社章は、往時は金属製のものだったが、今回は印刷。これはやむを得ないでしょう。


すでに3台目も塗装ができ上がったようだ。【16日追記・3台目は1605で五城目営業所配置。】
新車や既存車の塗り替えでやらず、新規の中古譲受車を使っているのは、必ず塗り替える必要(=不要不急な塗り替えでなく)があり、それを自社工場【8日追記・もしくは懇意にしている地元整備工場】で行えるので、安く効率的に復刻塗装できるから、かもしれない。
残りも、前モデルのエルガミオ/レインボー2で実施されるのだろうか。欲を言えば、違う車種でも復刻塗装を見てみたいものだけど…

魁によれば、復刻塗装は、AkiCA1周年(3月26日)とシニアアキカ完全移行(4月1日)を記念したもの。その記念日を過ぎてしまったのに、5台がそろわないってのは、ちょっと格好悪い。それに、せっかくの復刻塗装なのだから、ホームページやバス停・車内外などで告知してもいいのに。【2024年1月25日追記・その後、車内には説明の紙が掲出された。】【2024年2月17日追記・車内掲示には「開業100周年を迎えることができました。」の文言もあるが、100周年記念で復刻塗装を実施したとは明記していない。100年が2022年、復刻塗装実施が2023年と1年ズレているからあいまいな表記にしたのだろうが、誤解を招きそう。】
2台目・3台目について

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10 コメント

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乗りました (FMEN)
2023-04-06 21:58:00
本日出勤で乗車。撮影しそびれましたが。
結局中身は自分は嫌いなジェイ・バス丸出しで仕方がないですが、見ると案外馴染むから不思議。
時代が違うモノコック向けなデザインなのに。
前より横にかなり気配りしたなと思いました。
かわりに除籍されたのは三平や中宍のやつでしょうか。

こうなると幕も再現してほしいですが、生え抜き路線はほとんど廃止なのと、系統番号あるから厳しいか。
復刻記念?で旧塗装の写真があちこちにあがってますが、「東北防災」の広告の変化の無さ、パールライスのサザエさん?のバスマスク、今は潰れた市場の肉屋など懐かしさ。
そのなかで大川反に「直通土崎飯島一区」なる車も見つけましたが、これはなんなんでしょうか。
市営の飯島秋商スクールみたいなもん?
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小田急中古なので (taic02)
2023-04-06 22:44:03
中は普通の古いエルガミオでしょうからね。
元三平バスより古い車もあるし、新しくても状態によって廃車されたり、最近は他営業所への移籍も盛ん。三平バスはしぶとくまだ残りそうです。

21世紀の車種、LED表示と、往時はなかったものとの組み合わせを楽しむのも、復刻塗装のおもしろさかもしれません。塗装だけが昔という。
分かりませんが、中央における牛島方面の「直通」表示を踏まえれば、やはり大川反車庫発新国道経由ではないでしょうか。
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Unknown (最近秋田に帰省した者)
2023-04-07 01:08:08
実車をどちらも毎朝見ました。
率直な意見ですが、バンパーは黒がいいと思います。
折角なので、次回新車のLRかKRでもやって欲しいですね。
実現は不可能と思いますが、観光車の旧塗装車と
秋田市交通局カラーの中型も見てみたいです。
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バンパーの色 (taic02)
2023-04-07 18:56:11
下が黒いと引き締まって見えるのか、悪くなさそうですよね。実際にはグレーやシルバーの車もありましたが。
市営バス塗装を中央交通がまとうのは、心理的には少々抵抗がありますが、青いラインの観光車はたしかに見てみたいです。
せっかく複数台で実施するのならば、手間でしょうが、いろんなバリエーションで復刻塗装してくれると、さらに楽しくなると思います。
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Unknown (網地 耕部、)
2023-04-11 22:32:59
>観光車の旧塗装車と秋田市交通局カラーの中型も見てみたいです。

あれ、いいかもしれませんね。秋田市交通局廃止から今年で17年目の節目を迎えて、そろそろ秋田市営バスの存在すらも忘れている事でしょうね。

だったら、中央交通の先代塗装の復刻はもちろんですが、今度は秋田市営バスの赤・ベージュ・グレーの3トーンカラー、秋田八丈カラーの復刻塗装もあればなと思いました。

また、市営バス時代でよく見かけたステッカー広告も、いくつか復刻してくれたらなと思いました。
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Unknown (網地 耕部、)
2023-04-13 21:08:59
先々代塗装のエルガミオが登場し盛り上がりを見せつつあります秋田中央交通の路線バスですが、最近になり、一部のエルガミオの後部に「秋田中央交通 ゆずってくれてありがとう」と書かれたイラスト付きのラッピングも見掛けるようになりましたし、後部右下に縦長で「発進時ゆずってくれてありがとう!」のステッカーが貼れている車両も、あちこちで見かけるようになりました。
それほどにして、現在の中央交通はこの2台ラッピングで勝負に挑んできたのではないかと思いました。
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ゆずってくれてありがとう (taic02)
2023-04-13 22:13:02
実は秋北バスでも、同じ後部ラッピング(1267号車)や縦長表示が実施されているそうです。
というわけで、秋田県バス協会辺りが主導しているのではないでしょうか。県協会、日本バス協会のホームページには特に何も出ていませんが。
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Unknown (Unknown)
2023-04-15 13:49:53
TPに廻される車両もありますから、男鹿や五城目で余生を過ごすものもあるかもしれません。

令和5年度時点でも、元交通局車両も現役で余生を過ごすケースもあるようです。
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元三平バス車の現状 (網地 耕部、)
2023-05-18 19:08:05
未だに元三平バスデザインだった車両が何台か現役で存在しているが、未だに秋田営業所から転属・貸出の情報が来ていません。

臨海営業所とかの転属して、臨海の路線でも元三平車での運用したら面白そうですが、現状は全台とも転属一切なしで、秋田営業所(導入当初は旧秋田東営業所)のまま余生を過ごすと言う感じでしょうか。
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いずれは (taic02)
2023-05-19 00:02:45
復刻塗装があと2台入れば、現行車両が2台落ちることでしょう。
経年からして、元三平バスがその対象となる可能性は低くないでしょうね。
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