弘南バスでは、三菱ふそう製のバスをけっこうな台数保有している。
観光タイプ(貸切より高速用が多いかな)から、弘南バスならではの路線仕様のマイクロバス、さらに以前はどこで誰が使っていたか想像もつかないような、自家用バスを転用した中型路線バスまでさまざま。
近年、新車で導入される一般路線バスは、マイクロバスは三菱、中型は日野で固定されているため、「三菱ふそうの中型(=エアロミディ)の新車」は永らく導入されていない。
秋田の中央交通は、三菱とはそれほど親密な取り引きはなく、路線用は中古車が多い。新車では、2004年にエアロミディ2台を入れたのが最後だが、弘南バスはそれよりも前が最後だった。
9月に弘前で見かけた、弘南バス生え抜きのエアロミディを導入順に紹介。
今年正月にも紹介した、1993年製の2台のエアロミディは、9月時点でも元気に走っていた。
904
いずれも弘前営業所の「青森22か904(30501-2)」と「905(30502-2)」。
905
2台を比べると、バンパーや正面の外板は、905のほうがちょっときれい。車検は904が11月、905が12月まで。
フロントガラス下の「K KONAN BUS」ロゴも905のほうがきれいだけど、大きさは控えめ。というより(この2台以外も含めて全体的に見れば)904が特に大きい。
905には、向かって右のヘッドライトの上に、三菱マークと「FUSO」の小さいエンブレムがある。
一方、904には側面・前輪の上に小さい「MMC」エンブレムがある(正月の記事参照)が、905にはないようだ。
(再掲)904の狼森行き
運用は固定されておらず、相馬、大鰐・碇ヶ関などあちこちの路線で見かけるが、富田大通り経由狼森(おいのもり)行きにわりと入っている感じ。
ちなみに、弘前駅前10時45分発の狼森行きの車両は、その後同日16時00分発の狼森行きにも再度充当される運用。
904と905では、狼森行きの行き先表示(方向幕)の書体が違う。以前取り上げたように、弘南バスでは方向幕を大事に使い続けているが、書体は新旧2タイプある。(昔と最近とで書体が違うのは、全国的に見られる)
(再掲)
904は「弘前駅」も「狼森」も新しい書体。
905の「狼森」が古い書体だけど、「狼」のけものへんが丸っこくてなんかかわいい。かつての秋田市営バスの幕の書体に雰囲気は似ているが、市営バスのほうがやや太い感じ。市営バスに「狼」があったら、どんな文字だっただろうか。
弘南バスの方向幕は、自動停止でなく、裏(車内)の覗き窓から確認しながら、手動でスイッチを操作する方式。それなのに、904と905には、自動停止に使うセンサーらしきものが見える(幕右辺の小さい四角)。センサーがあるだけで使わない(使えない)のか。
ここで、1990年製の秋田市営バスのエアロミディ(現在は廃車)と比較。
秋田市営バスでは、エアロミディを大量に導入しており、中型バスでは最多勢力だった。
秋田市営バスの三菱車はエンブレム類が一切なかった(他社製ではあるものも)
なるほど。ウインカーの位置が違う。秋田市営バスはヘッドライトの脇で、弘南バスでは独立して上にある。
弘南バスでは日野レインボー、青森市営バスでもいすゞLVキュービックなどで同様の仕様があり、積雪時の視認性向上を狙ったもの(中古車や最近の車両などは標準のまま)。エアロミディでもそうだったとは、気付かなかった。
エアロミディは1993年9月にモデルチェンジされ、ヘッドライト周りやボディラインが少し変わった。上記2台はその直前の製造と考えられる。
1995年に導入したのが、先日の城東安原線の記事に登場した車。
弘前駅中央口-さくら野-弘前駅城東口という経路の福田線の運用
「10-47(30701-9)」と「10-48(30702-9)」の2台が、五所川原、青森を経て、今春から弘前市内の和徳車庫所属。一般路線のほか、城東環状100円バスに入ることもあるようだ。
行灯があり(今は埋められたが青森営業所時代は「弘南バス」と表示されていた)、寸詰まりで、非常口が昔のバスのように前寄りの中央部にあるといった、ちょっと変わった車で、てっきり自家用バスの中古車かと思っていたが、ナンバープレート、社番、座席の形状から判断すると、新車で購入したものであった。
ウインカーはヘッドライトの脇で標準仕様に変更。
ただ、この時期のエアロミディのヘッドライトとはデザインがちょっと違う(次項で紹介するのが標準ライトで、ロービームとハイビームがはっきりと分かり、ウインカーが外側に突き出ている)。おそらく、エアロバス・エアロクイーンなど観光バス用のライト。だから行灯があるのかもしれない。短尺車ではこのライトしか設定がなかったのかもしれないが、この点も自家用バスっぽさを醸し出す。
写真はないけれど、テールランプや後部ウインカーはリアウィンドウの直下に大型の四角いもの。普通サイズのエアロミディでは、このモデルチェンジの時に、位置が下げられバンパーの中に移ったのだが、短尺版は違うようだ。
リアウィンドウに三菱マークと「FUSO」表示。
行き先表示の設置方法も異なり、フロントガラスの中。これも自家用バスかと思いこんでいた一因
この福田線は、経由地が分数のような表示、行き先が「弘前駅/城東口」と2行に分けているのが独特。経由地の“分母”に「さくら野弘前店」と詰めて略さず表示するのが律儀。
この車にも、方向幕自動停止用のセンサーっぽいものがある。
座席は、布地が緑色に黒い縦線(昔の東北新幹線の色違いみたいだ)、背もたれ裏側がグレーのプラスチックでカバーされ、それと一体化した太いとってが上に突き出しているのは、2000年前後の日野レインボーと共通。これが自社発注と判断できた決め手。JR東日本の最近の普通電車並みの硬い座席なんだよね…【5日補足】三菱の座席には座ったことがないから分からないけれど、日野レインボーは硬い。
つり革は三角形のようだ。客席の側窓は引違い窓。
1998年。弘南バスとしては最後の新車エアロミディ導入。
「12-80(31002-2)」弘前営業所所属
「12-70(31002-3)」が五所川原営業所にいるらしい。【2018年6月3日訂正】初回アップ時の勘違いか入力ミスか、12-70は別の車種で既に廃車済み。五所川原のエアロミディは「12-71(31001-3)」だった。ナンバーが9番も飛んでいて、五所川原のほうに先に導入されているのがおもしろい。テレビで車内が映ったが、下記の通り1人掛けメインの硬い座席。運転席側後方に短い網棚があった。
再び、一般的なサイズの中型バス。ヘッドライト・ウインカーもやっと完全な標準スタイルになった。したがって、下の写真の秋田市営バスの同型車と差がなくなった。
1995年車と同じ硬い座席・三角つり革で、ツーステップ。側窓も以前と同じ上下2分割の上昇窓になったが、モデルチェンジで天地方向にやや拡大。
なぜか正面にロゴマークがなくてすっきりしている。その代わりか中央に小さい三菱マークがぽつんとあり、右ヘッドライト上に「FUSO」。中央交通の2004年車にも、三菱マークが同じ位置にある。
行き先表示は、「回送」は古い書体、自動停止のセンサーはなさそう。
(再掲)秋田市営バスが最後に導入した1995年度のエアロミディ
このモデルではカラードバンパーが標準(モデルチェンジ直後は黒バンパーだったのか、秋田市営バスの1993年度車では黒い)になったのか、秋田市営バスではバンパーが黒からグレーに変わり、従来と印象が変わった。
弘南バスではバンパーからヘッドライト部分までが銀色になった。ロゴマークがないのと合わせて、間延びした印象。
一方、秋田市営バスでは、ヘッドライト上に段差がついているのが目立ってやや不自然だったものだが、弘南バスでは色の境目であるため、段差は目立たない。
【2023年3月14日補足・写真の通り、弘南バスではバンパーは前後とも銀色。秋田市営バスでは前だけグレーで、後ろは黒いままだった。】
側窓の後ろ2つが幅が狭い。中ドアがない分の調整か
灯火が収納された後部バンパーは前部と同じ銀色、リアウィンドウ右下には三菱マークと「FUSO」。秋田市営バスでは後ろは黒いバンパーで、窓のロゴはなし。
1998年車は、弘前市内では1台だけということもあるのかもしれないが、同じ弘前営業所所属の904・905と比べて、印象が薄い。見たことはあるけれど、何線を走っているか連想できない。
弘南バスの新車エアロミディで現存するは、上記3世代・6台だけだろうか。どれも乗ったことはない。
1999年からは中型車の新車には、ワンステップ低床の日野レインボーを導入するようになり、それが現在まで続いている(昨年からノンステップに。2017年のマイナーチェンジ車も購入したとか)ことになる。
高速やマイクロといった、弘南バスにとって三菱ふそうでないといけない車種・用途もあって、エアロミディまで新車で買えないのかもしれないけれど、エアロミディの新車も見てみたい(秋田でも同じく)。
※1年後の状況。
※2018年には中古ながら路線仕様エアロミディが久々に導入。
観光タイプ(貸切より高速用が多いかな)から、弘南バスならではの路線仕様のマイクロバス、さらに以前はどこで誰が使っていたか想像もつかないような、自家用バスを転用した中型路線バスまでさまざま。
近年、新車で導入される一般路線バスは、マイクロバスは三菱、中型は日野で固定されているため、「三菱ふそうの中型(=エアロミディ)の新車」は永らく導入されていない。
秋田の中央交通は、三菱とはそれほど親密な取り引きはなく、路線用は中古車が多い。新車では、2004年にエアロミディ2台を入れたのが最後だが、弘南バスはそれよりも前が最後だった。
9月に弘前で見かけた、弘南バス生え抜きのエアロミディを導入順に紹介。
今年正月にも紹介した、1993年製の2台のエアロミディは、9月時点でも元気に走っていた。
904
いずれも弘前営業所の「青森22か904(30501-2)」と「905(30502-2)」。
905
2台を比べると、バンパーや正面の外板は、905のほうがちょっときれい。車検は904が11月、905が12月まで。
フロントガラス下の「K KONAN BUS」ロゴも905のほうがきれいだけど、大きさは控えめ。というより(この2台以外も含めて全体的に見れば)904が特に大きい。
905には、向かって右のヘッドライトの上に、三菱マークと「FUSO」の小さいエンブレムがある。
一方、904には側面・前輪の上に小さい「MMC」エンブレムがある(正月の記事参照)が、905にはないようだ。
(再掲)904の狼森行き
運用は固定されておらず、相馬、大鰐・碇ヶ関などあちこちの路線で見かけるが、富田大通り経由狼森(おいのもり)行きにわりと入っている感じ。
ちなみに、弘前駅前10時45分発の狼森行きの車両は、その後同日16時00分発の狼森行きにも再度充当される運用。
904と905では、狼森行きの行き先表示(方向幕)の書体が違う。以前取り上げたように、弘南バスでは方向幕を大事に使い続けているが、書体は新旧2タイプある。(昔と最近とで書体が違うのは、全国的に見られる)
(再掲)
904は「弘前駅」も「狼森」も新しい書体。
905の「狼森」が古い書体だけど、「狼」のけものへんが丸っこくてなんかかわいい。かつての秋田市営バスの幕の書体に雰囲気は似ているが、市営バスのほうがやや太い感じ。市営バスに「狼」があったら、どんな文字だっただろうか。
弘南バスの方向幕は、自動停止でなく、裏(車内)の覗き窓から確認しながら、手動でスイッチを操作する方式。それなのに、904と905には、自動停止に使うセンサーらしきものが見える(幕右辺の小さい四角)。センサーがあるだけで使わない(使えない)のか。
ここで、1990年製の秋田市営バスのエアロミディ(現在は廃車)と比較。
秋田市営バスでは、エアロミディを大量に導入しており、中型バスでは最多勢力だった。
秋田市営バスの三菱車はエンブレム類が一切なかった(他社製ではあるものも)
なるほど。ウインカーの位置が違う。秋田市営バスはヘッドライトの脇で、弘南バスでは独立して上にある。
弘南バスでは日野レインボー、青森市営バスでもいすゞLVキュービックなどで同様の仕様があり、積雪時の視認性向上を狙ったもの(中古車や最近の車両などは標準のまま)。エアロミディでもそうだったとは、気付かなかった。
エアロミディは1993年9月にモデルチェンジされ、ヘッドライト周りやボディラインが少し変わった。上記2台はその直前の製造と考えられる。
1995年に導入したのが、先日の城東安原線の記事に登場した車。
弘前駅中央口-さくら野-弘前駅城東口という経路の福田線の運用
「10-47(30701-9)」と「10-48(30702-9)」の2台が、五所川原、青森を経て、今春から弘前市内の和徳車庫所属。一般路線のほか、城東環状100円バスに入ることもあるようだ。
行灯があり(今は埋められたが青森営業所時代は「弘南バス」と表示されていた)、寸詰まりで、非常口が昔のバスのように前寄りの中央部にあるといった、ちょっと変わった車で、てっきり自家用バスの中古車かと思っていたが、ナンバープレート、社番、座席の形状から判断すると、新車で購入したものであった。
ウインカーはヘッドライトの脇で標準仕様に変更。
ただ、この時期のエアロミディのヘッドライトとはデザインがちょっと違う(次項で紹介するのが標準ライトで、ロービームとハイビームがはっきりと分かり、ウインカーが外側に突き出ている)。おそらく、エアロバス・エアロクイーンなど観光バス用のライト。だから行灯があるのかもしれない。短尺車ではこのライトしか設定がなかったのかもしれないが、この点も自家用バスっぽさを醸し出す。
写真はないけれど、テールランプや後部ウインカーはリアウィンドウの直下に大型の四角いもの。普通サイズのエアロミディでは、このモデルチェンジの時に、位置が下げられバンパーの中に移ったのだが、短尺版は違うようだ。
リアウィンドウに三菱マークと「FUSO」表示。
行き先表示の設置方法も異なり、フロントガラスの中。これも自家用バスかと思いこんでいた一因
この福田線は、経由地が分数のような表示、行き先が「弘前駅/城東口」と2行に分けているのが独特。経由地の“分母”に「さくら野弘前店」と詰めて略さず表示するのが律儀。
この車にも、方向幕自動停止用のセンサーっぽいものがある。
座席は、布地が緑色に黒い縦線(昔の東北新幹線の色違いみたいだ)、背もたれ裏側がグレーのプラスチックでカバーされ、それと一体化した太いとってが上に突き出しているのは、2000年前後の日野レインボーと共通。これが自社発注と判断できた決め手。JR東日本の最近の普通電車並みの硬い座席なんだよね…【5日補足】三菱の座席には座ったことがないから分からないけれど、日野レインボーは硬い。
つり革は三角形のようだ。客席の側窓は引違い窓。
1998年。弘南バスとしては最後の新車エアロミディ導入。
「12-80(31002-2)」弘前営業所所属
再び、一般的なサイズの中型バス。ヘッドライト・ウインカーもやっと完全な標準スタイルになった。したがって、下の写真の秋田市営バスの同型車と差がなくなった。
1995年車と同じ硬い座席・三角つり革で、ツーステップ。側窓も以前と同じ上下2分割の上昇窓になったが、モデルチェンジで天地方向にやや拡大。
なぜか正面にロゴマークがなくてすっきりしている。その代わりか中央に小さい三菱マークがぽつんとあり、右ヘッドライト上に「FUSO」。中央交通の2004年車にも、三菱マークが同じ位置にある。
行き先表示は、「回送」は古い書体、自動停止のセンサーはなさそう。
(再掲)秋田市営バスが最後に導入した1995年度のエアロミディ
このモデルではカラードバンパーが標準(モデルチェンジ直後は黒バンパーだったのか、秋田市営バスの1993年度車では黒い)になったのか、秋田市営バスではバンパーが黒からグレーに変わり、従来と印象が変わった。
弘南バスではバンパーからヘッドライト部分までが銀色になった。ロゴマークがないのと合わせて、間延びした印象。
一方、秋田市営バスでは、ヘッドライト上に段差がついているのが目立ってやや不自然だったものだが、弘南バスでは色の境目であるため、段差は目立たない。
【2023年3月14日補足・写真の通り、弘南バスではバンパーは前後とも銀色。秋田市営バスでは前だけグレーで、後ろは黒いままだった。】
側窓の後ろ2つが幅が狭い。中ドアがない分の調整か
灯火が収納された後部バンパーは前部と同じ銀色、リアウィンドウ右下には三菱マークと「FUSO」。秋田市営バスでは後ろは黒いバンパーで、窓のロゴはなし。
1998年車は、弘前市内では1台だけということもあるのかもしれないが、同じ弘前営業所所属の904・905と比べて、印象が薄い。見たことはあるけれど、何線を走っているか連想できない。
弘南バスの新車エアロミディで現存するは、上記3世代・6台だけだろうか。どれも乗ったことはない。
1999年からは中型車の新車には、ワンステップ低床の日野レインボーを導入するようになり、それが現在まで続いている(昨年からノンステップに。2017年のマイナーチェンジ車も購入したとか)ことになる。
高速やマイクロといった、弘南バスにとって三菱ふそうでないといけない車種・用途もあって、エアロミディまで新車で買えないのかもしれないけれど、エアロミディの新車も見てみたい(秋田でも同じく)。
※1年後の状況。
※2018年には中古ながら路線仕様エアロミディが久々に導入。
ただし、状況によっては製造再開ということもなくはなさそうで、ほのかに期待しておきます。
エアロミディは尺が短い車もありますね。以前は、弘南バス904・905と同タイプの丸いヘッドライトの車もいましたが、もうなくなったでしょうね。弘南バスでは2018年9月時点でまだ現役でした。