広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

2014年春ダイヤ改正

2013-12-21 23:34:20 | 秋田のいろいろ
20日、JRグループ各社から来年3月14日のダイヤ改正について発表があった。
JR東日本では、秋田新幹線「こまち」の320km/h運転開始、北陸新幹線開業に先立って新型車両E7系が長野新幹線で営業運転されることが目玉。リリースではひっそりとしか触れていないが、青森-上野を秋田経由で結ぶ寝台特急「あけぼの」が廃止(臨時列車化)されることが、報道では大きめに取り上げられている。
JR東日本の各支社のホームページでも、それぞれの管内関係のダイヤ改正の詳細が明らかになっているのだが、秋田支社だけは未発表。(恒例の少し遅れて掲載だろうか。「E3系写真集発売」などは20日付でアップされているけど)※ホームページ自体が存在しない横浜支社は別として

各支社の発表も含めて、個人的に気になったもの(主に秋田周辺関連)をまとめてみる。
・秋田新幹線の全列車E6系化に伴い「スーパーこまち」が「こまち」に(「スーパーこまち」という列車名がなくなる
秋田の報道などでは以前から言われていたことだが、混乱する人が出そう。特急料金は現行は「こまち」より「スーパーこまち」のほうが高く、来春からは全列車が高いほうの料金が適用されるため、実質的な値上げになることも忘れてはいけない(さらに消費税増税分も値上げされる)

・新青森-仙台・東京の東北新幹線はすべて「はやぶさ」に
「はやぶさ」も現「スーパーこまち」と同じ高い料金が適用されている。したがって、秋田同様青森でも、新幹線特急料金が実質値上げ
新青森-盛岡だけ運転の1往復は「はやて」が残る。(東京方面からの「はやて」は盛岡止まりになる)

・中央本線(八王子支社)と長野地区の普通列車用115系電車の代替として211系電車を追加投入
211系は新車ではなく、国鉄時代から使われる首都圏のお古で、秋田総合車両センターで改造されていた電車。八王子支社、長野支社のリリースでは「省エネルギー」の電車であることを謳っている。たしかに115系よりは省エネなんでしょうけど。

・特急「いなほ」にE653系電車を追加投入(新潟支社発表)
現在の新潟-秋田1往復に加え、新潟-秋田2往復、新潟-酒田2往復もE653系化。
これにより、秋田まで来るいなほ3往復はすべてE653系になり、485系電車が使われるのは酒田止まりの2往復だけとなる。
秋田駅から、秋田県内から485系電車が姿を消すことになる。※以下で触れる「つがる」代走や臨時列車では、今後も来ることがあるでしょう。

・「毎日運転の臨時列車」として大館-青森で2往復運転されている「つがる51~54号」を弘前-青森に短縮して普通列車化(盛岡支社発表)【22日補足】正確には1往復が普通列車、1往復が快速列車として運転
(再掲・485系電車での運転時)大館行きつがるは見納め
2010年12月の新青森開業時から3年ちょっとの「大館つがる」だった。
リリースでは「ご利用の減少に伴い」としている。あの乗車率では予想し得たし、むしろよく今まで持ったなという気さえする。弘前-大館では2往復減となってしまうが、近い時間帯に普通列車が運行されているものが多いはずなので、あまり影響はなさそう。
【22日補足】置き換えのうち1往復は快速列車。朝の時間帯以外に弘前-青森で快速が運転されるのは久々。快速「岩木」→「いわき」以来だろうか?
これにより、「つがる」用E751系の車両運用が1つ減ることになるが、関連して次の項目。(というかこのために普通列車化したのかも)

あけぼの廃止に伴い、同時間帯で特急「つがる」を増発(盛岡支社発表)
「秋田~青森間ご利用のお客さまの利便確保のため、新たに臨時特急「つがる」号を増設し、当分の間、毎日運転」として、秋田-青森で「つがる1号/10号」が運転される。
「あけぼの」は羽後本荘-青森間では昼間の特急の代わりとして座席扱いで乗車(通称「ヒルネ」、下りは立席特急券、上りは指定席特急券が必要)できる。
同様だった「日本海」が廃止された時は代替措置はなく、近い時間の普通列車を利用しなければならなかった。「あけぼの」は日本海よりはヒルネ利用が多く、通勤通学時間と重なることもあって代替として「つがる」を増やすことにしたのだろう。妥当な措置だと思う。
青森で乗り換えて北海道方面の行き来にも利用できるダイヤだったが、あけぼののヒルネ利用では、他人の寝床にお邪魔しているようで居心地が悪くて、あまり乗りたくなかった。E751系なら快適だろう。

「つがる」もついに5往復・「10号」まで達することになる。(今も大館止まりを含めれば6往復ですが)
「1号」「10号」だと定期列車の号数のようにも見えるが、リリースには「臨時特急」として「当分の間、毎日運転」とある。これだと「大館つがる」と同じ扱いだ。
これは、何年か運転して「ご利用の減少に伴い」と理由づけて廃止されてしまう含みがあるとも考えられなくもない。(逆に定期列車化される可能性もある)
多客期に「あけぼの」が臨時運転される日は、この「つがる」は運休になるかなと考えたが、客車列車では無理な速いダイヤだし、過去の例を見ても臨時の寝台列車でヒルネ扱いをすることはないようだ。あけぼのとつがるが別々に運行される形になりそう。
あと、車両の運用としては、上記大館2往復分の廃止で浮いた車両(E751系または485系3000番台4両編成)が使われると思われるが、秋田で一夜を明かすことになる。
※「毎日運転の臨時列車」のことを、国鉄時代は「α(アルファー)列車」と呼んでいたのを、また思い出した。(以前の記事後半参照)

快速「深浦」廃止(盛岡支社発表)
青森県内の五能線と奥羽本線の列車だからほとんどが秋田支社管内だけど、ちょっとだけ盛岡支社管内を走るから掲載されたようだ。
深浦-川部-青森を結ぶ快速「深浦」という列車が、朝に下り、夕方に上り各1本運転されている。(朝の下りは川部まで弘前行きの普通列車を併結し、実際には青森行きの車両は途中の鰺ケ沢で連結されるらしい)快速といっても五能線内は各駅停車で、通過するのは奥羽本線の大釈迦と鶴ケ坂の2駅だけ。

この川部-青森が廃止され、普通列車弘前行きになる。青森方面へは川部駅で奥羽本線の普通列車との接続を確保。五能線内-青森の所要時間は朝の下りは若干短縮されるが、夕方の上りは川部駅での待ち時間が増えて10分以上余計にかかる。
五能線から奥羽本線下り青森方面へ直通する列車がなくなることになる。(リゾートしらかみはいったん弘前へ立ち寄るので)
【24日追記】後日分かった秋田支社のリリースも参考にすれば、川部駅で接続する奥羽本線の普通列車は、701系電車を使い弘前-青森間で新設。

・田沢湖線大曲→盛岡直通列車1本増(盛岡支社発表)
田沢湖で分割していた列車を接続させてまとめて、大曲16時52分発→盛岡18時56分という列車ができる。これにより、田沢湖線の普通列車で全区間を走破するのは上下とも3本になる。
というか、昔は3往復だった記憶がある(ミニ新幹線化以前に日本テレビ「追跡」で田沢湖線が取り上げられた時、「今日の数字」の「3」がこれだった)ので、いつの間にか分断された1本がまたつながったということに過ぎないようだ。

・八戸線 八戸-鮫で1.5往復、北上線で上下各1本が廃止または短縮(盛岡支社発表)
いずれも「ご利用の減少」が理由。
北上線では、横手発12時00分の上りが廃止され、北上発21時32分→横手着22時47分着の下り最終が、途中のほっとゆだ止まりになる。
秋田県内は北上発20時台が最終となり、東北新幹線から乗り継ぐ人は不便になる場合もあるはず。(大曲まで秋田新幹線、あるいは新庄まで山形新幹線をご利用くださいということなんだろうけど…)
都会の交通が便利になり、地方でも道路は発達する一方で、地方の公共交通はこうして少しずつ不便になっていくのだろう。


以上、各支社リリースより。※見間違い等があったらすみません。利用の際は最新の時刻表等でご確認ください。
秋田支社管内分の特急列車に関しては上記から全貌が見えてきたが、秋田支社内完結の普通列車がどう変わるか気になるところ。秋田支社さん、リリースを早くお願いしますよ!
【24日追記】秋田支社のリリースは、12月20日付ながら24日午後にホームページにアップされた。
その結果、新たに分かった秋田支社管内での変更点は、接続改善(時刻変更)を中心とした小規模なもの。普通列車の廃止はなし。


以下は、新聞報道から。
先日、中途半端な記事が出た朝日新聞秋田版。鉄道好きの記者がいるのか、最近は妙にマニアックな鉄道ニュースが載る。
まず、20日付秋田版の大部分を割いて、2つの鉄道の記事。
1つは「こまち、つばさに転用」。
やはり、秋田新幹線用だったE3系の一部が山形新幹線へ転用されることが「関係者への取材で分かった」
「これまでに少なくとも2編成を秋田から神奈川県内にある関連会社の車両工場に移動させている」というのが、先日の記事のことを指しているわけだが、それとの関連には言及していない。
続けて山形新幹線への改造について詳しく書いているけれど、朝日新聞山形版や交通新聞ならともかく、ただでさえスペースが少ない朝日新聞秋田版に必要な情報でしょうか?

もう1つは「「あけぼの」廃止へ きょうにも発表」。廃止の一報は11月上旬に報道済みだったし、翌日まで待っても良かったのでは?

そして21日付では、「東京夜行さらば」と大きく報道。「スーパーこまち「こまち」に統一」が少々。
少々引っかかるのが、あけぼの廃止を受けての鉄道写真家のコメント「「昔は食堂車もあって、人との交流や車内で飲む酒が楽しみだった」と懐かしむ。」。
「あけぼの」に食堂車があったとは初耳。「あけぼの」に限らず、所要時間が比較的短い(九州方面などと異なり、運行が夕食時間帯にかからない)東北方面の寝台列車には、食堂車はなかったような??
調べてみると、1973年頃までは上野発着の寝台列車でも食堂車があったそうだ。国鉄の財政状況や火災事故、利用状況から合理化されたらしい。
「あけぼの」という列車名は1970年7月に登場しているので、最初の3年間ほどは食堂車があったことになる。そのわずかな時期を指してのコメントなんだろうか。秋田からだと時間的に乗ってもすぐに寝たり、起きてすぐ降りたりで、あまり食堂車に行っている時間はないと思うが…

秋田魁新報では、朝日秋田版より小さく、ダイヤ改正の概要を1面左上で写真なしの4段で取り上げた。山形新幹線に転用される秋田新幹線E3系が「4編成は改装され」と数を明示している。



以下は、2014年より先も含めた個人的な考察など。
●「あけぼの」のおもひで
今回廃止される「あけぼの」は今は上越線、信越本線、羽越本線、奥羽本線を経由して走っている。
廃止のニュースを伝えるマスコミは「1970年に運行開始」と伝えていることが多いので、素直に聞けば1970年からずっとこの経路を走っていると思ってしまう人がいるはず。

しかし、ご存じの方も多いかと思うが、元々の「あけぼの」は東北本線、奥羽本線経由、つまり宇都宮、福島、山形、湯沢、横手、大曲駅などを通っていた。=急行「津軽」と同じ経路(さらに一時期は陸羽東線経由)
今の日本海側のルートを走るのは寝台特急では「鳥海」や「出羽」であり、1997年の秋田新幹線開業時に統合される形で、「あけぼの」の経路が現在のものに変わっている。
いずれにしても、「あけぼの」が上野と秋田・青森を結ぶ最後のブルートレインであり、それがなくなってしまうことには違いはない。


ところで、1991年のスタジオジブリのアニメ映画「おもひでぽろぽろ」(原作・岡本螢・刀根夕子)というのがある。個人的にはジブリアニメの中でいちばん好き。※宮崎作品ではなく、高畑勲監督・脚本
冒頭で主人公が東京から山形に旅に出かける時に乗ったのが、福島回りだった頃の「あけぼの」。
24系客車の車内の造作だけでなく、板谷峠通過時に機関車が交換されることもしっかりと描写(通過前後で機関車が正しく替わっている)されており、あけぼのの貴重な記録でもある。
【23日追記】作品の舞台は1982年の夏。2段式B寝台に乗っている設定だが、当時のあけぼのは3段式だったそうだ(同年秋から一部2段化)。また、最後のシーンで仙山線をディーゼルカーが走るなど、明らかに事実と異なる描写もある(意図的なのかもしれない)。だけど、あけぼのの機関車交換は、物語上はどうでもいい点なのに正確に緻密に描かれていて、感心させられる。


●将来は北斗星も廃止。それはいつ?
「あけぼの」の廃止は、最初は11月2日の河北新報が報道。6~7日には他社が「北斗星も廃止の方向で検討されている」という件とともに伝えた。
「北斗星」の廃止時期については複数の情報があり、共同通信配信と思われる各社は「2015年度末」なのに対し、毎日新聞は「2014年度末」。
また、青函トンネルを通る寝台列車である「トワイライトエクスプレス」や「カシオペア」について、共同通信では「今後も運行を続ける」なのに対し、毎日では「2015年度末には姿を消す見通し」で食い違う。
さらに、共同通信では、北海道新幹線と共用する青函トンネル内において寝台列車を走らせるには、電圧に対応した新たな機関車を製造しなければならないが「乗客減で機関車を新造するコストに見合わない」としている。一方、毎日は2015年度以降も「「北斗星」は年末年始やお盆期間中に限って臨時運行する。」と完全には廃止されないような書きぶりで、それだと機関車はどうするんだという話になる。(客車もどこから持ってくるか疑問だが、これはまだ古くない旧「カシオペア」用を転用するとも考えられる)

●北斗星廃止で困ること
青森県では、「北斗星」の廃止により、別の面での問題が発生しそうだという。それは、第3セクター鉄道「青い森鉄道」の収入が減ること。(確認していないが、おそらく岩手県の「IGRいわて銀河鉄道」でも同様のはず)
東北新幹線の開業に伴い、在来線の東北本線を第3セクター化した青い森鉄道とIGRには、「北斗星」などの長距離列車と貨物列車は、引き続きJR線から乗り入れている。
この場合、「JRの列車が3セクの線路を使わせてもらう」という形になって、JRから3セクに対して線路使用料が発生する。特急の場合は特急料金相当の割増もあるようで、ただ通過するだけの北斗星も、3セクにとってはいいお客さま。
廃止されればその収入がなくなって、経営の厳しい3セク鉄道にとって、痛手になりそうだという話が出ている。


※その後、ダイヤ改正時の記事はこちら
【2014年5月30日追記】その後の寝台列車廃止の動きなどについて。
この後、2014年5月28日には「トワイライトエクスプレス」の2015年春での廃止が明らかになった。
2014年5月29日付朝日新聞社会面によれば、「北斗星」と「カシオペア」も廃止が検討されているという。
青函トンネルの新幹線化で電圧が変更されるが、やはりJR北海道は新たな機関車を製造しない方針とのこと。

通過する第3セクターの使用料収入にも触れている。「青い森鉄道は年間旅客収入約19億円のうち4億円、いわて銀河鉄道は同約15億円のうち3億円が寝台特急の収入」とのこと。



最後に、ダイヤ改正とは別の今の話。
ネットの情報によれば現在の秋田周辺のJRでちょっとした変化が2つ起こっているそうだが、まだ自分で確認できていない。
・青いEF510出現
JR貨物の新しい電気機関車「EF510」形が勢力を拡大している。
(再掲)EF510形電気機関車
EF510は赤い機関車なのだけど、今週から青いEF510が出現している。
これは「EF510-511」で、元はJR東日本が所有・田端機関区所属で寝台特急「北斗星」などをひいていた。ブルートレインに合わせて青い塗装だった。しかし、首都圏での運用が変わって余剰となり、JR貨物に売却されたものが出たという。
その1両が511号機で、青い塗装のまま、日本海縦貫線で貨物列車をひいているそうだ。
将来的には赤に塗り替えられると思われるが、ブルートレイン廃止が決まった沿線を、ブルートレイン塗装の機関車が貨物列車をひいて走るとは、なんか皮肉。※この記事後半参照

・黄色ボタン登場
奥羽本線・羽越本線の普通列車用701系電車のドアは、客がボタンを押して開閉する半自動式。特に寒い時期は車内保温に威力を発揮する。
20年前の製造時から設置されている、あまり目立たないデザインのボタンなので、不慣れな人はボタンの存在に気づかなかったり、開けようとして「閉」ボタンを一生懸命押している人がいたりしていた。
一方、後から導入された仙台地区のE721系電車などでは、でっかく黄色で縁取られ、さらにボタンが使える時はボタンの縁でLEDも点灯するという、派手なドアボタンが設置されていた。

1週間ほど前から、秋田の701系電車の中に、この黄色いドアボタンが設置された車両が登場したらしい。【24日追記】2両編成の「N32」編成の模様。
701系も登場当初の装備のままではなく、行き先表示のLED化、運賃表示器の液晶化等々、徐々に変化が生じているから、ドアボタンが変わってもおかしくない。今までのボタンは特に車外側は親指でぐっと押し込むくらいの力でないと反応しなかったが、新しいタイプのボタンは内外とも押す時の力は小さくて済むはずだし、歓迎するべきことだろう。※詳細はこちらにて
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする