だいぶ間が空きましたが、三重旅行記。まだ続きがあります。
旅行記の前回の記事はこちらですが、今回の内容(四日市市)に関してはこちらもご参考に。
今回訪れるまで、四日市と言えば、工業地帯・コンビナートのイメージが強かった(しかなかった)。小学校で「四大公害」として習った、四日市ぜんそくの原因でもある。
そんなこともあり、どちらかといえば四日市に対して暗いイメージを持っていたが、今までの旅行記で紹介した通り、普通の暮らしが営まれる普通の街だし、市の産業・住民の雇用の場として工業地帯は重要なものだろう。
何よりも現在では、環境に対する厳しい基準があり、昔のような空気の悪い街ではない。(風向きによっては匂いが漂うことはあったけど、気分が悪くなるようなものではない)
そして今は、工業地帯の風景を鑑賞するという観光資源としても注目されている。本当に好きな方々は、照明が点く夜間に、きれいに見えるスポットへ行くようだが、僕は「四日市港ポートビル」へ行くことにした。
JR四日市駅の裏手も工場地帯だが、そこから関西本線の北隣の「富田浜(とみだはま)」駅が最寄り。路線バスはなく、駅から1.5キロくらい歩かないといけないけれど。
四日市駅構内。重連の機関車にひかれたタンク車
四日市駅からは関西本線の貨物支線(JR貨物管轄)、石油やセメント工場への引き込み線が出ているので、常に貨物列車がいる感じ。
富田浜駅は昼間の快速は通過するので、1時間に2本運行される名古屋行きの普通列車に乗る。2両編成のワンマン電車。4.2キロ(180円)で3~4分ほど。
富田浜駅は無人駅のため、ワンマン列車ではいちばん前のドアから降りる。
僕はSuica(TOICAと相互利用)で乗ったので、車内で運転士にカードを見せて降り、駅舎内のリーダー(正式には「簡易改札機」)にタッチして精算する。
ICカードで無人駅を利用するのは初めてだったが、やっぱり便利で楽。ただ、万一、駅のリーダーが故障していたら、(対処してくれる駅員がいないから)次回利用時の処理が面倒になりそう。
富田浜駅
降りたのは僕1人だけ。乗った人はなし。(帰りは一緒に2~3人乗った)
駅舎は線路を越えた向かい側だが跨線橋はなく、いわゆる「構内踏切」を渡る。(遮断機は付いている)
駅舎には昔は窓口があったのだろうが、今はだだっ広いだけで、何もない。
ぽつんと簡易改札機が置かれていた。黄色い方が出場用、緑が入場用
それにしてもJR東海の簡易改札機、ゴミ箱に見えてしょうがない。JR東日本のは足が細くてスマートなんだけどねー
「名古屋方面のおかたは…」
駅舎内にあった、上り名古屋方面の利用者は踏切を渡るように告げる掲示。
「名古屋方面のおかた」って言い回しがおもしろい。普通は「名古屋方面ご利用のお客様は」じゃないかしら。
富田浜駅の1日の平均乗車人員は150名前後。(秋田市交通政策室の資料によれば、羽越本線下浜駅並みで、奥羽本線の上飯島や四ツ小屋よりもかなり少ない)
元は海水浴用の臨時駅として開業したようだ。駅の西側は中学校で、駅舎・出口は東側(海側)だけにある。
駅前は旧街道のような家並みが並ぶ狭い道
200メートルほど東に進むと、名四国道こと国道23号線。通行量が多く、あまり歩きたい雰囲気の道ではない。(歩道や歩行者用信号はある)
南へ進んで国道を渡ると、川のような港の一部のようなものに架かる「霞大橋」を渡る。
「霞大橋」から
中部国際空港行きの旅客船ターミナルや公園などとともに、対岸にコンビナートと目指すポートビルがある。
この辺の位置関係は、秋田市の国道7号線-港大橋-県立スケート場のそれと似ている。
四日市港ポートビル
やっと着いた~
この「四日市港ポートビル」は、1999年にできた14階建て・地上100メートル(屋上)の三重県でいちばん高いビル。12階と14階の間は20メートルの吹き抜けになっていて、「13階」はないようだ。
ビルを運営するのは、三重県と四日市市が出資した「一部事務組合」である「四日市港管理組合」。
ビル内は管理組合や港湾関係企業のオフィスのほか、12階にレストランがあり、14階が「展望展示室“うみてらす14(フォーティーン)”」になっている。この展望室から風景を見たくて来たわけだ。入場料が300円かかるが、ここからしか見られない風景が楽しめるはず。
こうして書いてみると、このビルは秋田港の「秋田ポートタワー“セリオン”」とどことなく似ている気がする。
ただし、セリオンはビルでなく「タワー」、高さは143.6メートル(展望室が100メートル)、運営は当初は秋田市出資の第3セクターで現在は市有・指定管理者に委託、展望室は無料(当初は有料)といった点は異なる。
なんやかんや言われたセリオンだが、先日から道の駅化されたし、周辺に付帯施設や店もでき、路線バスも来る。それなりにお客さんに来てほしいという意欲は感じる。
その一方、この四日市港ポートビルは…
まず、上記の通り、駅から歩くしか公共交通のアクセス手段がない。
そして周辺には何もなく、12階のレストランもやっていけるのか心配なほど。
入場が有料なのは経営上やむを得ないとしても、なんと水曜日(通年)と月曜日(12月~6月)が定休日!
しかも17時で閉まってしまう!!(土曜日と7~11月の日祝日のみ21時まで延長)
お役所らしいというか、商売っ気がないというか、今時珍しい観光施設。
四日市市が作ったと思われる、工場地帯の夜景のポスターを市内で見かけたが、四日市港ポートビル展望室から見る工場の夜景も美しいようだ。
市も出資した組織の施設なんだから、せめて19時くらいまで開けて夜景を見てもらうとかすればいいのに…
国道から近いんだから、セリオンみたいに道の駅にする(セリオンも国道に面していない)とかしてもいいかもしれないし。
よそ者がとやかく申し訳ないけど、せっかく造ったのだから、もっと積極的に活用してはいかがでしょうか。
そんなわけで、僕が行った平日の夕方近くにほかに居たお客は、父子連れ1組と視察に来たどこかの自治体関係者っぽい一団のみ。
受付の職員さんもヒマだろうに、丁寧に応対してくれたのはよかった。
1フロアまるまる展望室なので、余裕がある
天候がよければ鈴鹿山脈や名古屋まで見えるようだが、この日は霞んでいて近くしか見えなかった。
住宅の向こうには田んぼもある
コンテナヤードが広がる
こんな風景は秋田のセリオンからも見える。
でも、
コンビナート
これは四日市だけの光景だろう。
たしかに芸術的と言えそうなほど繊細な構造で美しい。晴れた日や夜景を見てみたくなった。
火を噴く煙突
聖火台みたいだけど、石油の精製をしているんだろう。
昔、教育テレビの学校放送でこの光景を見た(海側からの空撮だったと思うが)のを思い出した。
周辺の道路の路面には、
「この先海」
14階から
落っこちるクルマがいるんだろう。
セリオンのある秋田市土崎は「港町」といった風情だが、四日市はそれよりも「工業地帯」の趣の方が強い印象を受けた。
もう一工夫もふた工夫もほしい気はしたが、四日市ならではの観光地としておもしろかった。
【12日追記】ほかにも、四日市市の海沿いの工業地帯には、明治時代に造られた「潮吹き防波堤」(国指定重要文化財)、現役最古の鉄道可動橋(国指定重要文化財)、大阪万博のオーストラリア展示館を移設したものなど、ちょっとした見所が多い。
だが、点在していてアクセスが悪く、いずれも見に行かれなかった。こういう所を巡るツアーがあってもいいと思う。
旅行記の前回の記事はこちらですが、今回の内容(四日市市)に関してはこちらもご参考に。
今回訪れるまで、四日市と言えば、工業地帯・コンビナートのイメージが強かった(しかなかった)。小学校で「四大公害」として習った、四日市ぜんそくの原因でもある。
そんなこともあり、どちらかといえば四日市に対して暗いイメージを持っていたが、今までの旅行記で紹介した通り、普通の暮らしが営まれる普通の街だし、市の産業・住民の雇用の場として工業地帯は重要なものだろう。
何よりも現在では、環境に対する厳しい基準があり、昔のような空気の悪い街ではない。(風向きによっては匂いが漂うことはあったけど、気分が悪くなるようなものではない)
そして今は、工業地帯の風景を鑑賞するという観光資源としても注目されている。本当に好きな方々は、照明が点く夜間に、きれいに見えるスポットへ行くようだが、僕は「四日市港ポートビル」へ行くことにした。
JR四日市駅の裏手も工場地帯だが、そこから関西本線の北隣の「富田浜(とみだはま)」駅が最寄り。路線バスはなく、駅から1.5キロくらい歩かないといけないけれど。
四日市駅構内。重連の機関車にひかれたタンク車
四日市駅からは関西本線の貨物支線(JR貨物管轄)、石油やセメント工場への引き込み線が出ているので、常に貨物列車がいる感じ。
富田浜駅は昼間の快速は通過するので、1時間に2本運行される名古屋行きの普通列車に乗る。2両編成のワンマン電車。4.2キロ(180円)で3~4分ほど。
富田浜駅は無人駅のため、ワンマン列車ではいちばん前のドアから降りる。
僕はSuica(TOICAと相互利用)で乗ったので、車内で運転士にカードを見せて降り、駅舎内のリーダー(正式には「簡易改札機」)にタッチして精算する。
ICカードで無人駅を利用するのは初めてだったが、やっぱり便利で楽。ただ、万一、駅のリーダーが故障していたら、(対処してくれる駅員がいないから)次回利用時の処理が面倒になりそう。
富田浜駅
降りたのは僕1人だけ。乗った人はなし。(帰りは一緒に2~3人乗った)
駅舎は線路を越えた向かい側だが跨線橋はなく、いわゆる「構内踏切」を渡る。(遮断機は付いている)
駅舎には昔は窓口があったのだろうが、今はだだっ広いだけで、何もない。
ぽつんと簡易改札機が置かれていた。黄色い方が出場用、緑が入場用
それにしてもJR東海の簡易改札機、ゴミ箱に見えてしょうがない。JR東日本のは足が細くてスマートなんだけどねー
「名古屋方面のおかたは…」
駅舎内にあった、上り名古屋方面の利用者は踏切を渡るように告げる掲示。
「名古屋方面のおかた」って言い回しがおもしろい。普通は「名古屋方面ご利用のお客様は」じゃないかしら。
富田浜駅の1日の平均乗車人員は150名前後。(秋田市交通政策室の資料によれば、羽越本線下浜駅並みで、奥羽本線の上飯島や四ツ小屋よりもかなり少ない)
元は海水浴用の臨時駅として開業したようだ。駅の西側は中学校で、駅舎・出口は東側(海側)だけにある。
駅前は旧街道のような家並みが並ぶ狭い道
200メートルほど東に進むと、名四国道こと国道23号線。通行量が多く、あまり歩きたい雰囲気の道ではない。(歩道や歩行者用信号はある)
南へ進んで国道を渡ると、川のような港の一部のようなものに架かる「霞大橋」を渡る。
「霞大橋」から
中部国際空港行きの旅客船ターミナルや公園などとともに、対岸にコンビナートと目指すポートビルがある。
この辺の位置関係は、秋田市の国道7号線-港大橋-県立スケート場のそれと似ている。
四日市港ポートビル
やっと着いた~
この「四日市港ポートビル」は、1999年にできた14階建て・地上100メートル(屋上)の三重県でいちばん高いビル。12階と14階の間は20メートルの吹き抜けになっていて、「13階」はないようだ。
ビルを運営するのは、三重県と四日市市が出資した「一部事務組合」である「四日市港管理組合」。
ビル内は管理組合や港湾関係企業のオフィスのほか、12階にレストランがあり、14階が「展望展示室“うみてらす14(フォーティーン)”」になっている。この展望室から風景を見たくて来たわけだ。入場料が300円かかるが、ここからしか見られない風景が楽しめるはず。
こうして書いてみると、このビルは秋田港の「秋田ポートタワー“セリオン”」とどことなく似ている気がする。
ただし、セリオンはビルでなく「タワー」、高さは143.6メートル(展望室が100メートル)、運営は当初は秋田市出資の第3セクターで現在は市有・指定管理者に委託、展望室は無料(当初は有料)といった点は異なる。
なんやかんや言われたセリオンだが、先日から道の駅化されたし、周辺に付帯施設や店もでき、路線バスも来る。それなりにお客さんに来てほしいという意欲は感じる。
その一方、この四日市港ポートビルは…
まず、上記の通り、駅から歩くしか公共交通のアクセス手段がない。
そして周辺には何もなく、12階のレストランもやっていけるのか心配なほど。
入場が有料なのは経営上やむを得ないとしても、なんと水曜日(通年)と月曜日(12月~6月)が定休日!
しかも17時で閉まってしまう!!(土曜日と7~11月の日祝日のみ21時まで延長)
お役所らしいというか、商売っ気がないというか、今時珍しい観光施設。
四日市市が作ったと思われる、工場地帯の夜景のポスターを市内で見かけたが、四日市港ポートビル展望室から見る工場の夜景も美しいようだ。
市も出資した組織の施設なんだから、せめて19時くらいまで開けて夜景を見てもらうとかすればいいのに…
国道から近いんだから、セリオンみたいに道の駅にする(セリオンも国道に面していない)とかしてもいいかもしれないし。
よそ者がとやかく申し訳ないけど、せっかく造ったのだから、もっと積極的に活用してはいかがでしょうか。
そんなわけで、僕が行った平日の夕方近くにほかに居たお客は、父子連れ1組と視察に来たどこかの自治体関係者っぽい一団のみ。
受付の職員さんもヒマだろうに、丁寧に応対してくれたのはよかった。
1フロアまるまる展望室なので、余裕がある
天候がよければ鈴鹿山脈や名古屋まで見えるようだが、この日は霞んでいて近くしか見えなかった。
住宅の向こうには田んぼもある
コンテナヤードが広がる
こんな風景は秋田のセリオンからも見える。
でも、
コンビナート
これは四日市だけの光景だろう。
たしかに芸術的と言えそうなほど繊細な構造で美しい。晴れた日や夜景を見てみたくなった。
火を噴く煙突
聖火台みたいだけど、石油の精製をしているんだろう。
昔、教育テレビの学校放送でこの光景を見た(海側からの空撮だったと思うが)のを思い出した。
周辺の道路の路面には、
「この先海」
14階から
落っこちるクルマがいるんだろう。
セリオンのある秋田市土崎は「港町」といった風情だが、四日市はそれよりも「工業地帯」の趣の方が強い印象を受けた。
もう一工夫もふた工夫もほしい気はしたが、四日市ならではの観光地としておもしろかった。
【12日追記】ほかにも、四日市市の海沿いの工業地帯には、明治時代に造られた「潮吹き防波堤」(国指定重要文化財)、現役最古の鉄道可動橋(国指定重要文化財)、大阪万博のオーストラリア展示館を移設したものなど、ちょっとした見所が多い。
だが、点在していてアクセスが悪く、いずれも見に行かれなかった。こういう所を巡るツアーがあってもいいと思う。