広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

バスの日

2010-09-20 14:46:35 | 秋田のいろいろ
今日、9月20日は「バスの日」。
1903(明治36)年のこの日、京都で日本初の乗合バスが走ったことにちなむ。
全国一斉に何かされることはないようだが、各バス会社や各県ごとにイベントを行うところは多い。

秋田県では、秋田駅前の「アゴラ広場」で社団法人秋田県バス協会主催の「秋田バスまつり」が例年開催されている。今年で15回目で18日・土曜日に行われた。
今年はバス会社公式サイトでの告知はなく(県バス協会はサイト自体なし)、なぜか秋田県庁のサイトで告知が行われた(県政記者クラブを通してリリースした関係だろうか)。
秋田市内の路線バス車内やテレビの週末イベント情報コーナーなどでは告知された。
(なお、大館市では、秋北バスが別に独自のイベントを行った)

僕は昨年初めて行ったが、今年もちょっとだけ覗いてみた。
路線バス車両の展示、抽選会、ブラスバンドや太鼓の演奏、バスグッズバザーなど、ざっと見た感じ、昨年と変わりなし。

バスまつりは恒例のイベントになっており、訪れる人は多いが、この日は他のイベントも近くで開催されていたこともあり、たいへん賑わっていた。
広場から西武入口まで続く大行列
たぶん抽選会だと思うが、すごい行列ができていた。
「東京往復高速バスチケット、当選の方が出ました!」と放送が流れていたが、そんなモノ(と言っては失礼だけど)目当てでこんなに並ぶの?


路線バスの展示は、昨年同様、県内の路線バス事業者から中型バスが1台ずつ展示され、運転席を含む車内に立ち入りもできた。
昨年は、3台とも、車体(実際は白いシートを貼っている)に各社の地元小学生とまつり来場者による“落書き”をしてもらい、9月いっぱい、各地域をそのままの姿で運行した。今年は、羽後交通と秋北バスの2台だけが落書き対象になった。
小田急バスに似た塗装の「羽後交通」(本社横手市)
行き先表示の「羽後交通」のロゴが素敵。

国際興業グループの「秋北(しゅうほく)バス」(本社大館市)
こちらは「北秋田市民病院・合川経由 沖田面(おきたおもて)」という行き先表示。北秋田市内(鷹ノ巣駅前?)と上小阿仁村を結ぶ路線か。
秋北バスは、順次、国際興業グループ共通の白と緑色の塗装に塗り替えているのだが、一部車両は旧来の赤とラクダ色みたいな塗装を残している。昨年に続き、今年も旧塗装の車が来た。落書きスペースで塞がれたため、肝心の塗装はあまり見えないけど。


そして、秋田市のバス会社が展示したのは
これ
「スパーリゾートハワイアンズの旅」の広告、展示の時くらい外したら?(宣伝のつもりか)
なんとなくきれいで、新しいバスかな? と感じる方は多いと思うが、それだけではなく、この車は秋田では画期的なバス。

今年初めに、秋田県内の一般路線バス用車両としては初めて導入した、「ノンステップバス」なのです!
「このバスにはらくがきできません」そりゃそうだ。シートを貼ってないもん

昔のバスは、車内に入るのに2段のステップ(段)があった。現在は、床を低くして段が1段の「ワンステップバス」が主流になり、これは秋田でも多い。
だが、バリアフリーに対して特に有効な、ステップのない「ノンステップバス」は、秋田では極めて少ない。おそらく、大曲と本荘の市街地循環バス用の各1台しかないと思われるが、それは自治体が車両を購入してバス会社に委託運行してもらっている車両なので、純粋な路線バスとはやや違う。

国土交通省発表の2008年3月末現在の都道府県別ノンステップバス導入比率(http://www.mlit.go.jp/common/000024130.pdf)は、東京都が56.30%なのに対し、秋田県は0.28%と、青森・大分に次いで下から2番目。
(この0.28%分が、上記の大曲と本荘のバスだと思われる)
ノンステップバスは高価なので、導入費用の面と、積雪時の運行障害を恐れてのことだろう。


そんな中、やっと秋田に導入されたノンステップ車両だ。
導入された同型の2台は、普段は新国道経由追分・天王方面の路線などに限定されて使用されており(おそらく自治体の補助金の関係か?)、僕は乗ったことはもちろん、見たことすらほとんどなかった。
展示では、車体のエアを抜いて(ニーリング機能)車高を低くした状態にし、さらに中ドア下に収納されている車椅子用スロープを引き出していた。
事前の告知では「乗降が容易な「ノンステップバス」の展示」などとあり、それをPRするためだろうが、それを示す表示もなければ説明する人もいない。

したがって、来場者の多くは、これがノンステップバスであることなど知る由もなく、「あっちのバス(他の2台)と同じだよ。中に入らなくていいでしょ」と子どもを連れて行ってしまったお母さんもいた。
これでは、ただ「路線バスを置いているだけ」だ。

車内に出入りする人で混雑していたタイミングもあったので、誘導と説明を兼ねたスタッフを1台に1人くらいは配置した方がいいと思う。
(よそでヒマそうにしていたスタッフが何人もいらっしゃいましたよ)


ちなみに、同じ車種(いすゞ・エルガミオ)のワンステップ仕様がこちら。
このタイプはたくさん走っている
僕には、外見上、両者(ノンステップとワンステップ)の区別がつかない。
【追記】正面上部の車椅子マークが異なる(地面が坂になっているのと平らなのと)のに気付いた! でもなんで?

全国的に多くのバス会社では、ノンステップバスには、前や側面に大きく「Non-Step」と表示したり、塗装のデザインそのものを従来と異なるものにするなど、ノンステップバスであることが分かるようにしている。
(再掲)リラックマバスにもちゃんと表示がある
だが、秋田のバス会社は、前面・側面は従来とまったく同一。
後部に地味な表示があるだけ(矢印部分)
せっかく買ったノンステップバスなんだから、塗装変更は無理にしても、もっと大きく書いたらいかがでしょう。

ノンステップバスの車内
中ドアより後ろは、エンジン等があるため2段高くなっているが、前方はフルフラット。
僕は中型ノンステップバスの中を見るのはたぶん初めて(大型や小型は経験あり)だが、居住性は従来の車両と変わらない印象。

ただ、オレンジ色のパイプが非常に目立つ。
実は全国的には、今はこれが主流なのだが、鮮やかな色あいが秋田のバスとしては珍しい。
とっさにつかみやすいよう棒の本数を増やすとともに、視力の弱い人にも分かる目立つ色あい(昔は黄色だったが、今はオレンジになった)を採用している事業者が多いのだが(国交省などが推奨してるのかも)、秋田でもやっと時代の流れに追いついたということか。

「とまります」のボタン(降車合図ボタン)も新しいものになった。従来と同じ「オージ」製だけど、
壁や窓枠のボタン
ボタンの枠が黄色、押す部分がオレンジ色と、非常に目立つ配色。
車両やボタン自体のメーカーや製造年代によってボタンの配置が異なるため、ボタンを一瞬探してしまった経験をお持ちの方もおられると思う。夜間や視力の弱い方ならなおさら。
この色あいのボタンなら、いつでも誰でも、ボタンの位置を把握できるだろう。ユニバーサルデザインってやつですな。

以前のバージョンのボタン(横向きタイプ)
新しいボタンの大きさは、上の写真の1つ前の世代のボタン(旧秋田市交通局は1992年から採用)より少し小さくなり、押し込む深さも若干深い感じがしたが、これも人間工学とかその辺を考慮してのデザインなのだろう。


従来は、通路に立っている人は天井などかなり高い位置のボタンか座っている人の頭越しに壁のボタンを押すしかなく、押しづらいことが多かった。
だけど、このバスは、
オレンジ色の棒の途中に設置されている(これも全国的には珍しくもないけど)
これなら、パイプにつかまったままで押すことが可能だ。
上の2つの新しいボタンの写真は、最大まで押し込んだ状態で撮影したが、壁用と棒用では、ボタンの押し込みの深さが異なる。黄色い枠の高さも違い、ガードの役目をしているようだ。
押しやすく、かつ設置場所によっては間違って押してしまわないよう、デザインは同一ながら、微妙に種類を変えているのだ。なるほどねー

こういうことも会場で説明すれば、「人に優しいバス」の本当の意味を知ってもらえ、バスに対する理解が深まると思うんだけど…



この「バスまつり」はバスに親しんでもらい、理解してもらい、そして乗ってもらうのが目的なのだと思う。
果たして、ここに来た人のどれだけが、バスを利用するんだろう。

“お祭り”だからいいのかもしれないが、公共交通を取り巻く厳しい状況の中、おカネをかけてイベントをするからには、抽選をやって演奏を聴かせてバスに落書きさせておしまいでなく、多くの人にもっとバスのことを知ってもらうよう努力すべきではないだろうか。

秋田以外のいくつかの地域では、「バスまつり」など実施せず、シンポジウムを実施したり、回数券購入者に記念品を贈呈したりするところもある。(秋田でもまつり会場で購入すればババヘラアイスは無料で食べられたようだが)
啓発とか利用者還元という意味ではその方がいいかもしれない。(バスまつりをやめろと言っているわけではありません)

最近、日本バス協会が熱心にやっている「車内事故防止(走行中の車内移動をやめて)」とか、車を運転する時は「バスの発車・車線変更に協力を」とか、「平日昼間・休日のお出かけはおトクな“買物回数券”でエコなバス利用を」とか、まだまだ宣伝・啓発すべきことはある。
コメント (2)
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