田神六兎の明るい日記帳

田神六兎の過去、現在、そして起こるであろう出来事を楽しく明るくお伝えします。

ハンドボールの思い出

2018年07月06日 | 日記
 高校時代の思い出、同じクラスのH君は文武両道、ハンドボール部のキャプテンで、格別のシューター、クラスの信望も厚い男でした。大柄な日焼け顔は、頼りがいのあるモアイ像のようでした。
 
 彼は幼い頃、父親が操る機械に指先を挟まれ、右手の人差指か、中指の爪先部分を切断しました。幼い頃からの彼の癖は、握りこぶしで、その指を隠すことでした。体育祭の組運動、彼と倒立のペアを組みましたが、体を支える両腕の右手を軽く握っていました。それで体重を支えるのは、さぞかし苦痛だったことと思います。
 
 私達の高校のハンドボールは強豪でした。インターハイでは、隣県のS高校に勝ったり負けたり、どちらかと言えばS高校の方が強く、もっぱらS高校との練習試合が多く組まれていました。
 
 土曜日の午後、当時は半ドン(午後休日)クラブ活動に力がそそがれました。ある日、ハンドボールの練習試合がありました。対戦はS高校、H君から聞かされていましたので、ぶらっと途中から観戦しました。
 
 試合が止められ、審判(私達の体育教官)が全選手を呼び注意しました。私は勝負の結果が知りたかっただけなので、二度目の試合停止を見て、下宿に帰ってしまいました。
 
 休み明け、友人から土曜の練習試合の試合中断の様子を聞きました。S高校の選手が『ボールに血がついている。怪我人がいる』と審判に申し出て中断したそうです。審判から「怪我したら無理するな」と注意を受け、再開したそうですが、ボールの血はますます多くなり、再度中断したそうです。先生が聞くも怪我の申し出はなく、結果的に我が校はボロ負けだったそうです。
 
 その後、H君は爪が欠損した指先に、血豆ができやすく、簡単に破れるそうで、試合中に保護テープが取れてしまったそうです。ボールに付く血はH君の指先から出た血だったそうです。
 
 H君が隠そうとしていることを、チームメートは知っていました。皆も隠しました。敵チームのS高校の選手は、相手高校に怪我人がいることを思いやってくれ、審判に申し出ました。当時の高校生プレーヤーってこんなものでした。肘打ちハンドボール事件を知って悲しくなった私です。

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