たびびと

世界を楽しく旅しましょう!

世界遺産観光地から開発途上国まで、世界各地の心あたたまる、すてきな風をお届けします。

小さなボート 大きなボート

2012年08月30日 | ペルーの風
何か買ってあげたいと思ったが、何も買わなかった。
買うことができなかった。

特に欲しい物がなかったからだ。
また、誰かのおみやげにするには質か低すぎる。残念だ。

「買い物をしなくても、最後に、いろいろと島のことを説明してくれたお礼にチップでも払えばいいよ」
買い物を促す妻に言った。


島を散策していると、ノエリアが質問してきた。
「トトラでできた小舟に乗れるけど、どうする」

これはオプション。20ソルだという。日本円で約600円だ。

せっかく来たので乗ってみることにした。早くツアーを終了して空港に向かいたかったので、あまり気がすすまなかった。でも、島の経済を助ける寄付のつもりで乗ることを決めた。


島の端まで移動。わずか1分。早いものだ。
小さなトトラのボートが停泊していた。
日本の井之頭公園、湖などにある手漕ぎボートと同じ大きさ。トトラでできている。
これも手作りというから大したものだ。一そう作り上げるのに、一体、何日かるのだろう…

ボートに乗ると、出航する前に歌をうたってくれた。
お祝いの歌らしい。

スペイン語のようなそうでないような。意味はさっぱりわからないが、心がこもっている。

日本人グループがこちらを見て笑っている。少しはずかしい。


日本人グループも移動を開始。彼らもトトラボートに乗るようだ。でも20人。どうやって乗るのだろう。
岸の反対方向にお目見えしたのは、巨大なトトラのボート。2階建てだ。

「すごい。あの人数が乗れる」
全員が乗り込むと、少し横に傾いている。バランスが危ないような気がするが、まあ、風もないし大丈夫だろう。

彼らが乗船すると、やはり同じような歌が始まった。儀式のようなものらしい。


トトラのボートは手漕ぎだ。
1本のオールを使って、女性が一生懸命漕いでくれる。

途中で手が止まった。

「どうしたの」
「疲れたから休んでいるの」

まだ1分も漕いでいない。
やはり運動不足なのだろうか。

ノエリアはモータボートでぼくたちが向かう島へ向かっている。


トトラのボートで世間話をした。
彼女の家族、生活、収入のこと…

小さな島で毎日とても幸せに暮らしていた。


そうこうしているうちに、10分もたつと、隣の島についた。
このウル族の女性とのお別れだ。

「どうもありがとう」
料金を支払うと、彼女はしっかりポケットにしまい、もとの島に向かって漕ぎはじめた。

お客がいないので、今度は途中で休むことなく、スピードを出して移動していった。




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再開

2012年08月28日 | ペルーの風
南半球の、ある有名な美しい島の住人たちが、肥満に苦しんでいる。
なぜか ?

島で特別な資源が発見された。
外国資本が参入。外貨収入が飛躍的に増えた。
「おいしいもの」を輸入するようになった。
跳ね上がる収入。「おいしいもの」を「好きなだけ」「たくさん」食べることができるようになった。
いつの間にか伝統食が消えた。
みんな肥満になり、糖尿病などの病気が一般的になった。
資源が枯渇した。
政府の予算は火の車。
島民の収入も途絶えた。
政府の医療分野の社会福祉は消え、肥満の病気に苦しむ人だけが残った。

こんな図式を新聞で読んだ。

このウロス島からは何の資源もとれない。
特別な外貨収入にも縁はなさそうだった。

ではなぜ ?

疑問はますます深まった。




島内を案内してもらっていると、島にもう一隻のボートが到着する。
日本人観光客のグループだ。ぞろぞろとボートから降りる中に、なつかしい顔を発見。
朝、朝食で話をした男性だった。ガイドとして同行している。

「お元気ですか」

ぼくのボートは2人。あちらは、約20人。
同じ大きさのボートだ。

ぼくを担当する島の中年女性。(お姉さん? おばさん?)
20人の客を担当する別の女性。

商売的には、あちらの方がもうかるだろう。何となく、申し訳ないというか、引け目のようなものを感じてしまう。


トトラの椅子に座り、島の歴史の授業がスタートする。
続いて図画工作。葦の島のつくり方を実演してくれた。


「冷たい!」

おしりにイヤーな感覚。
水がパンツまでしみ込んだ。

すぐに立ち上がりおしりを確認。
まるでおもらしをしたように濡れている。

ガーン…
ずっと濡れたままで観光しないけといけない。
気持ち悪い。

パンツの替えはあるが、ズボンの着替えはない。
無駄な荷物をもたない主義なので、今回の旅行ではスペアズボンを持ってきていない。

暑い地域を訪問するときは、ズボンの替えがあった方がいい。汗がズボンにしみ込んで、においがすごい。
今回のペルー旅行は、高地ばかりなので汗の心配はない。だから、ズボンの替えは持ってこなかった。

いずれにせよ、島では着替えはできなかったが,,,


民芸品があったが、どれも興味がない。

妻が目配せをする。
「何か買ってあげないと失礼よ」

ラテン人のくせに、妙に日本人くさいところがある。




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肥満の理由

2012年08月26日 | ペルーの風
岸から離れるにつれて、小さな島々が見えてきた。
トトラという葦(あし)をつみ重ねた浮き島だ。

船の両サイドには、葦の葉が見える。
ノエリアが、その葦の葉と島のつくり方を詳しく説明してくれる。

まず、トトラの根をまとめて縄でしばる。
次に、その上にトトラの葉を切ってのせていく。
3~4mほど積んでできあがり。

こんな簡単にできてしまう。
インスタントラーメンならぬ、インスタント島だ。


「今日、家族はどうしてるの」
元旦なので、気になってきいてみた。

「こんな日に仕事をするなんて信じられないって友達に言われたの。でも、誰かが、担当しないとね」

離婚をしたが、一人の小学生の男の子がいること。
働きながら大学の観光学科を卒業して今の仕事に就いたこと。
観光の仕事が大好きなことなどを話してくれた。

ボートから色鮮やかな民族衣装を着ている人たちが見える。ウル族という。
スペイン人におわれて、島で済むようになった。

島の住人は自治権が認められている。
税金を払わなくてよいそうだ。うらやましいかぎりだ。

島の住人は、湖で魚をとる。何と、島内には畑があり、いもなども栽培している。猫などの動物も飼っている。
小さな島ばかりが左右に広がっている。どこに畑があるのかと不思議に思った。

いわゆる、酋長とよばる人がいて、新しい島をつくるには、その人の認可がいる。
各島には代表者がいる。まあ、日本でいう自治会と同じような組織になっている。

観光でお金の収入がある。食べ物は自給できる。が、町に出稼ぎに行く人もいるとのこと。




話しをしているうちに、目的地に到着した。
半径20mもない小さな円形の島だ。


ウロス島観光と旅程表に書かれていた。でっかい島を想像していた。

「ここがウロス島?」
ノエリアに聞いたら、大小あわせたすべての島のことを総称してウロス島と呼んでいることがわかった。

観光に適した島がいくつかあり、そこを訪問する。何島かあるが、きちんと順番が決まっていて平等に訪問することになっている。


島に降りる。
島の地面は土ではなく、葦だ。柔らかい。ふわふわしている。
刈り取った稲の上を歩いていると想像してもらえればいい。

島には女性が数人。ニコニコ顔で出迎えてくれる。
なぜか、みんな太っている。


「糖尿病が流行っているのよ。小さな島にいるので運動しないからね」
ぼくの疑問に答えるかのように、ノエリアが解説してくれる。


確かに、島は散歩をするような広さはない。下がふわふわなので、ジョギングもできない。
でも、この女性の太り方は異常だ。

毎日おかしや甘いものを食べている様子はなかった。
家の中を見学させてもらったとき、家の横にごみ捨て場があった。でも、たいした量のおかしの袋はなかったからだ。


ではなぜこんなに太るのか ?

遺伝だろうか。
あいは、毎日の食生活が何かに偏っているためか。




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懐かしいタクシー

2012年08月24日 | ペルーの風
6時2分、再度ドアの音。
今度は、待っていたノエリアだった。

「おはよう。雨はふってないわね」

ノエリアはホテルのフロントで、宿泊のことなど問題がないことを確認。
こちらを見て、微笑む。
「さあ行きましょう」


外で待機していたのは、昨日、バスターミナルからホテルに移動した旅行会社のジープではなく、現地のタクシーだった。
今日は1月1日元旦の早朝。
新年早々ということもあり、専属ドライバーへの仕事の依頼を遠慮したのだろうか。あるいは、単にコスト削減のためなのか。理由はわからなかったが、とにかくタクシーへ乗り込む。

久しぶりに乗る中南米の汚いタクシー。日本のタクシー、乗用車を思い浮かべてはいけない。

20年も走っているような奇跡の車体。ところどころ塗装がはげている。光沢もない。もちろんエンジンは頻繁にオーバーホールの手入れをしている。

シートには間違いなくダニがいる。すごい汚れとしみ。更にほこり。
かよわい日本人女性は、このタクシーには乗れないだろう。

車で移動すること10分。湖の港に到着した。
港には、早朝にもかかわらず、ちらほらと白人の観光客が見える。

「さあ、あそこのモーターボートまで移動して」

彼女が指差したのは、手前から6台ほど先のモーターボートだ。
モーターボートといっても、屋根付きで2階にも人が登れる展望台つきの中型ボート。船の定員は、20人程度に思われる。

ボートの間は隙間がある。といっても、わずか数十センチ。
移動のとき、ボートが揺れるので、その隙間がかなり広がる。この寒さで湖に落ちると、心臓麻痺の可能性がある。

一歩ずつ着実にボートを移動。妻の手をとることも忘れない。


無事、指示されたボートに到着。ホッとした。

「おはようございます。よろしくお願いします」
運転手さんに挨拶をする。


「他の観光客はまだか…」

「さあ、出発しましょう」
ノエリアが運転手に言う。

何と客はぼくと妻の2人だけだった。
日本の旅行会社アムネットが、現地の旅行会社ミッキーツアーに業務を委託。そのミッキーツアーがこのボートと契約し、運転手にいくらかを支払う。2人だけの客で、ボートの運転手さんにもうけがあるのか心配になった。ガソリン代だけでも結構かかるはずだ。


プーノの港をゆっくりと旋回する白いモーターボート。速度は50km程度まで上がる。

左手には、大型リゾートホテルが見える。船でしかそのホテルには行けないようだ。建設するときは、さぞ大変だっただろう。窓から客が湖を眺めている姿が見える。



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油の恐怖

2012年08月22日 | ペルーの風
調味料(アミノ酸)だけでなく、他にも「体によくない、おいしいもの」を食べると、食後にのどが渇くことを書いた。

家での食事だけではない。外食でも同じだ。


化学調味料に関しての面白いエピソードがある。
有名な中華料理コックさんへのTVインタビューでの一コマだ。

「どうしてあなたの店の中華料理はこんなにおいしいんですか」
「企業秘密はないよ。たくさん化学調味料と油を使うからだよ」

この料理人の正直な発言に大爆笑した。


中米の中華料理レストランで、よく中料理の持ち帰りをお願いした。
店で買って家でゆっくり食べる。
中米のレストランでは、どこでも気軽にテイクアウトできる。

量が多いので、食べ残すことがある。
お昼に買う。残ったので、夜に食べようとケースに入れたまま冷蔵庫に入れる。

夕食時にどうなるか。

まずくて食べられない。
特にチャーハン。

ご飯が冷めると、溶けていた油が白くなってごはんの表面に現れる。
すごい量。まるで、コーティングされているようだ。米料理ではなく、油にご飯をからめているような料理に思えてくる。

その一件以来、中華料理店では、しゅうまいなど油を使っていない料理を注文するようになった。




いつもの脱線が長くなった。
さてさてホテルの話にもどろう。

朝食を食べて歯磨きをするために部屋にもどる。

歯磨き粉はつけない。歯の矯正をしていたときに、歯科医院の先生が歯の磨き方をていねいに教えてくれた。
「歯磨き粉をつけると、清涼感にだまされて、かえってよく磨けていない場合が多い」
とのことだった。

トイレをすませて、受け付けに。
5時50分にはチェックアウトが完了。

窓から外を見る。空は曇っていて、雨がふりそうだった。

ホテルのフロントのお兄さんに、おいしい朝食のお礼を言った。
チチャモラターダも飲むことができて大満足。たった3人の客しかいなかったが、ホテルの精一杯の心遣いを感じた。

ロビーに座り、ノエリアを待つ。昨晩よりは幾分あたたかい。

トントントン

誰かが入口のドアをノックした。
目をやると、ノエリアではなく他の女性が立っていた。従業員が出勤してきたようだ。
セキュリティーのためにホテル入り口の鍵が閉まっている。フロントには誰もいない。さっきまでいた男性従業員は食事の準備を手伝いにいってしまった。

怪しげな人ではないので、ぼくが鍵を開けた。