たびびと

世界を楽しく旅しましょう!

世界遺産観光地から開発途上国まで、世界各地の心あたたまる、すてきな風をお届けします。

気づき

2013年08月14日 | コスタリカの風
妻と結婚してから一か月が経過する。
平穏とはいえないまでも、まあ、何とか新生活を無事にすごすことができていた。

そんな平和なある日、ぼくはあることに気づいた。

米、小豆、スパゲッティなどの減り方が極度に遅くなったのだ。


以前は1人で暮らしていた。
結婚して妻と2人になる。

食材の減り具合はどうなるか?

妻はぼくほどに食べる量は多くない。
でも、仕事の付き合いで外食の多いぼくと違い、妻はほとんどの食事を自宅でとる。

減るスピードは2倍になる。


実際は…

なぜか材料のもちが長くなった。


以前は毎週購入していた小豆が、2週間に一度ですむようになってしまった。


「何ということだ。
おかしいなー」


何が起こったのだろうか?

かしこい読者であるあなたは、もう気づいたと思う。




ぼくもすぐに気がついた。

とってもシャイなロシータさん。
糖尿病はよくなったのだろうか。

今でも彼女の作ったトマトソースベースの魚の味が忘れられない。

お別れ

2013年07月14日 | コスタリカの風
妻と結婚をした日の5日後のこと。

ロシータさんがいつものようにやってきた。
ドアを開けて中に入るロシータさん。

3階まで階段で上がってきたロシータさん。
少し息切れしながら、リビングにいるぼくたちと顔をあわせた。

「セニョール、こ、この娘は…」
驚いているというよりは、あっけにとられている。

「実は…」
ロシータさんに紹介をした。

「お、おめでとう、セニョール」
お祝いの言葉とともに、ギョッという目をしながら、ぼくの説明を聞いていた。

「仕事なんだけどさ。実は、これからも続けてもらいたいんだ。
自慢の料理や、掃除の仕方を彼女に教えてもらえうかな?」


結婚したことを伝えたとき、ロシータさんは解雇されると思っていたのかもしれない。

これまで1年以上ぼくとの付き合いがあるロシータさん。

食事、洗濯、掃除のぼくの好みを知りつくしている。
少しずつ、妻に教えていってほしかった。

「もちろんよ、セニョール。喜んで教えるわ」

「よろしくね」
ロシータさんにお願いをして、ぼくは仕事のために家を後にした。




妻とロシータさんが出会ったその日の夜。
妻に聞いてみた。

「どうだった。
いろいろと教えてもらったの?」

「ええ。でも、ロシータさんはもう来ないと言っていたわよ」

「え? …」

どういうことだろうか。
朝の話のときには、これからも続けて仕事をしてもらうことに同意していた。


すぐに電話をした。
「もしもし、ロシータさん。
ぼくだけど」

「あら、セニョール。今晩は。
どうしたのこんな夜遅くに」

「実は妻から聞いたんだけどさ…」
妻の聞き間違えだろうと思いながら、ロサさんに質問をした。

「セニョールごめんなさい。
その通りなの。

もう、奥さんには一通り仕事を教えたから、私が行く必要はないと思うの」

「でも、ロシータさんはたくさんの料理のレパートリーがあるよね。
これからも、ぼくの帰国までずっと来てほしいんだけど」

ロシータさんの意思は固かった。
手をかえ品をかえ慰留を試みたが、ムダだった。


相場の倍以上のアルバイト代を支払っていた。
毎朝元気に挨拶をしていた。

彼女は、仕事に満足しているように思えた。

にもかかわらず…




ロシータさんは嫉妬?? していたのだろうか…

未だに謎である。

びっくり仰天

2013年06月14日 | コスタリカの風
ある日の昼下がり。
この日もコスタリカの首都サンホセは雲一つない快晴だった。

家に書類を忘れてきたので、昼に家にもどることにした。
ちょうどロシータさんが家に来ている日だった。

家に帰るついでに、ロシータさん手作りのお昼も食べようかと思っていた。

家までは歩いて10分。往復で20分。
昼休みは1時間30分なので、家でゆっくり食事をとることができる。


突然のことなので、ロシータさんには連絡していない。


急ぐ必要はなかったが、とりあえず小走りで家に到着。食前のいい運動だ。
ベルは利用せず、自分の鍵で扉を開ける。


戸が開いた。
そして、リビングで見た光景は…


ソファーでごろ寝をしているロシータさん…だった。
体を横に、くつろいでテレビを見ている。

ドアが開いたことに気づく。
入口へ顔を向け、ロシータさんは叫んだ。
「セ、セニョール」

彼女はガバッと立ち上がる。

「ごめんなさいね。昼だから休んでいたの」
まるで犯罪者のような顔。

「いいさいいさ。そのまま寝ててよ。家に忘れ物があってね。
気にしないで。

昼には、もちろん休んでもいいよ。
仕事が終わったら、ロシータさんの家に帰るものいい。自由だよ。

ところで、料理はできてるかな。
今から家で食事をしていこうと思ってね」


恥ずかしそうに聞いている。
あまり気にすることはないということを繰り返すと、少しづ落ち着いてきたようだった。

大らかなラテン人にしては、珍しく謙虚な性格だった。




それ以来、何回か午後に帰宅する機会があった。
ロシータさんは…
仕事をしていた。

4時には仕事を終えて、家に帰っていることが多かった。
短時間の効率のよいアルバイトだったと思う。


そもそも、一人暮らしいの部屋の掃除、洗濯と食事の準備。
彼女にしてみれば、買い物がなければ、すぐに終わってしまう。


妻と結婚するまで、1年間来てもらえた。

自然現象

2013年06月12日 | コスタリカの風
お手伝いさんが家の炊事、洗濯、掃除を手伝ってくれる。
人件費は開発途上国なので、破格の安さ。
驚くことなかれ。1日約20ドル。何でもやってもらえる。

「家にもぜひ…」
というあなた、世の中はそんなに甘くはない。


お手伝いさんを雇用することは、よいことばかりではない。


ぼくの場合、数か月もすると、異変を感じるようになった。


週に2回ほど来てもらっていた。
マカロニサラダ、小豆を煮て塩味をつけた中米の主食フリホーレスなどの作り置きをしてもらう。


異変とは何か?


マカロニ、小豆の減り方が異常に早いのだ。

作ってある料理の量と、材料の減り具合を比較する。
どうみても釣り合わない。

タッパ一つ分のスパゲッティーサラダ。
パスタの減った量は1kg。

「ロシータさん、質問なんだけどさ。
このマカロニサラダの量なんだけど…」
とは聞かなかった。

いや、聞けなかった。
疑うのが申し訳なかった。

「昼ごはんは好きなだけ食べていいよ」
と言ってあった。

お昼に、マカロニサラダなどをたくさん食べていたのかもしれない。
と自分自身を納得させた。




本当のところ、なぜ異常な減り方をしたのかはわからない。
様々な可能性が考えられた。
一つ言えることは、このまま見過ごすわけにはいかなかった。


そこで対策をたてる。


異変に気づいた翌日、ぼくは調理してもらう材料のみを机の上に用意。
ロシータさんには、その材料のみを使うようにお願いした。
おまけに、棚にある在庫の量をロシータさんと確認。

「これで不自然な量の材料が減ることはないな」
完璧な対策をたてたと思っていた。

ところがどっこい、いくらでも持ち出しのチャンスがあることにすぐに気づく。




台所の棚に置かれた保管場所から持ち出すことは可能である。
料理を作る材料の中から持ち出すことも。

というわけで、とりあえずはロシータさんを信頼し、在庫の確認をすることはやめた。

気持ちの良い降参といったところだ。

ロシータさん以上に信頼できる人物を見つけることができなかった。
機嫌をそこねて、良好な人間関係を壊してしまうことにも不安があった。

アクシデント

2013年06月10日 | コスタリカの風
ロシータさんが炊事、洗濯、掃除に来てくれるようになってから、一か月が経過した。

ある日、朝、いつもより10分ほど早めにドアのベルが鳴る。
「今日は早いな…」
と思いつつ、ドアを開ける。

おはようのあいさつもそこそこに、ロシータさんは急いで口を開いた。
ぼくが出勤しなければならないことを知っていたからだ。

部屋に入ることも忘れて、入口にて早口でまくしたてる。

「セニョール、申し訳ない。
前回、靴下の一つがないのに気付いたでしょ?

仕事が終わって帰るときに気がついたのよ。

帰りに、管理人室に行って、靴下の片方が洗濯機周辺に落ちていないか聞いてみたの。

でも…
残念なことに見つからなかったわ。

大切な靴下をなくしてしまってごめんなさい」


そうだ。その通りだ。
すっかり忘れていた。


ロシータさんの言う通り。

前回ロシータさんがお手伝いに来てくれた翌々日。
靴下一足の片割れが消えていることに気がついた。

洗濯物は室内ハンガーにかかっている。
乾燥機は利用しない。皮膚にかゆみがでるからだ。

20畳以上ある巨大なリビングがある。
そこに巨大な組み立て式の室内物干しが置いてある。
室内物干しセットは前任者から無料で譲り受けたもの。

ロシータさんが来る翌日、洗濯した洋服はすっかり乾いている。
でも、ぼくは洗濯物をたたんでタンスにしまったりはしない。

そのままハンガーにかけたままにしておく。
下着、ワイシャツなど、かわいてから、ハンガーから取り、そのまま使っていく。


なぜかって?


たたむ、しまうの手間が省けるからだ。
生活の知恵だ。

ロシータさんがお手伝いにきた次の次の日。
2足目の靴下をはこうとすると、日本から持参した綿100%の黒い靴下の片割れが消えていることに気づいた。

翌日は、たまたま選択した靴下がそろっていた。
2日目に選択した靴下に問題があった。


ロシータさんの話をきいた後、次回から洗濯物を干すときの工夫についてお願いした。


ハンガーにかけるときに、靴下一足を隣同士にする。
不足に気づいたら、すぐに、洗濯機を貸してくれている管理人さんに靴下の紛失について質問する。

管理人さんはすぐに探してくれる。
洗濯機の中に残っているに違いない。

洗濯機は管理人さんから有料で借りていた。




その日の夜、マンションに到着。
しっかりとペアになってハンガーにかかっている靴下さんを確認。
安心して床に就いた。




効果はてきめん。

それからの約2年間、一度も靴下が紛失することはなかった。