もう2時過ぎ。お昼の時間はとうに過ぎていた。
客はぼくたちの他に2組のカップルのみ。
店内は、あまりきれいじゃない。
ずばり言おう。ハッキリ言って不潔だ。ハエも飛んでいる。
テーブルクロスはビニール製でしみもついている。
要するに、この店はデートに使うような店ではない。家族連れだって、この店は利用したくはないだろう。そんな店だった。
Zona viva というZona9、Zona10の流行りの店で食事をすればよかったと後悔していた。
彼女は何も気にすることなく、メニューをじっと見ていた。
「私はワンタンスープにする。ホンジュラスでもよく食べたのよ。とってもおいしかった」
ぼくはシーフードチャーハンを注文した。
待つこと5分。料理がきた。客が少ないせいもあるが、とにかく料理がくるのが早すぎる。まるでインスタント食品。注文する料理があらかじめわかっていたかのような速度だ。
まあ、ベースになるものを作り置きしているのだろうが…
「おいしそー」
彼女はおいしそうにワンタンを食べ始めた。
「お母さんといっしょによく中華料理店に行ったの」
彼女の無邪気な笑顔を見ているうちに、店のことはどうでもよくなった。
お腹がすいていたので、ぼくもチャーハンを食べ始めた。
彼女は出稼ぎのことを話してくれた。
グアテマラに来たのは、半年前。先にグアテマラに来ていた友人を頼ってきたそうだ。でも、そのホンジュラス人女性はグアテマラが肌に合わず、すぐにホンジュラスへ帰国した。
グアテマラでは、1ドル7ケツァル。ホンジュラスでは1ドル14レンピーラ。
アンジェラは一度ホンジュラスへ帰ったが、1ケツァルが2レンピーラに交換される。彼女はそれがとても「お得」だと信じていた。
物価が異なるので、そう単純にはいかない。でも、ぼくは反論することなく彼女の話をただただうなずきながら聞いていた。
彼女には病弱な母親がいる。有名なコパン遺跡の近くの田舎に住んでいる。その母親の養育費をグアテマラで稼いでいる。
「どうしてホンジュラスのナイトクラブで仕事をしないの」
「ホンジュラスは小さな国だから、ナイトクラブで仕事をしたら、すぐに誰かに知られてしまうの」
「サンペドロは大きい都市でしょ。あそこなら大丈夫だよ」
「そんなことないのよ。この世界はとっても狭いの」
ホンジュラスの話で盛り上がる。
時がたつのは早い。ナイトクラブで話をしているときの比ではなかった。
「5時には家にもどって仕事の準備をしないといけないの」
「そうか。残念だね。行こう」
タクシーで送った。
「楽しかった。またどっか行きましょう。今度お店にも来てね」
彼女は抱きついてきた。そして、痛いぐらいにぼくを強く抱きしめた。
「今日はどうもありがとう」
お店での別れとは違う、彼女の中の熱い何かをぼくは感じた。
彼女は、何回も何回も振り返りながら、家の中へと消えていった。
長い髪の毛が腰まで届いていて、歩く度に揺れていた。
「彼女と一緒に住むのは難しいよな…
現実的ではないが、チャレンジしてみるものいいな…」
そんなことを考えながら、タクシーに乗り込んだ。
多くの方に楽しい旅をしていただければと思います。
応援のクリックをどうもありがとうございます。
客はぼくたちの他に2組のカップルのみ。
店内は、あまりきれいじゃない。
ずばり言おう。ハッキリ言って不潔だ。ハエも飛んでいる。
テーブルクロスはビニール製でしみもついている。
要するに、この店はデートに使うような店ではない。家族連れだって、この店は利用したくはないだろう。そんな店だった。
Zona viva というZona9、Zona10の流行りの店で食事をすればよかったと後悔していた。
彼女は何も気にすることなく、メニューをじっと見ていた。
「私はワンタンスープにする。ホンジュラスでもよく食べたのよ。とってもおいしかった」
ぼくはシーフードチャーハンを注文した。
待つこと5分。料理がきた。客が少ないせいもあるが、とにかく料理がくるのが早すぎる。まるでインスタント食品。注文する料理があらかじめわかっていたかのような速度だ。
まあ、ベースになるものを作り置きしているのだろうが…
「おいしそー」
彼女はおいしそうにワンタンを食べ始めた。
「お母さんといっしょによく中華料理店に行ったの」
彼女の無邪気な笑顔を見ているうちに、店のことはどうでもよくなった。
お腹がすいていたので、ぼくもチャーハンを食べ始めた。
彼女は出稼ぎのことを話してくれた。
グアテマラに来たのは、半年前。先にグアテマラに来ていた友人を頼ってきたそうだ。でも、そのホンジュラス人女性はグアテマラが肌に合わず、すぐにホンジュラスへ帰国した。
グアテマラでは、1ドル7ケツァル。ホンジュラスでは1ドル14レンピーラ。
アンジェラは一度ホンジュラスへ帰ったが、1ケツァルが2レンピーラに交換される。彼女はそれがとても「お得」だと信じていた。
物価が異なるので、そう単純にはいかない。でも、ぼくは反論することなく彼女の話をただただうなずきながら聞いていた。
彼女には病弱な母親がいる。有名なコパン遺跡の近くの田舎に住んでいる。その母親の養育費をグアテマラで稼いでいる。
「どうしてホンジュラスのナイトクラブで仕事をしないの」
「ホンジュラスは小さな国だから、ナイトクラブで仕事をしたら、すぐに誰かに知られてしまうの」
「サンペドロは大きい都市でしょ。あそこなら大丈夫だよ」
「そんなことないのよ。この世界はとっても狭いの」
ホンジュラスの話で盛り上がる。
時がたつのは早い。ナイトクラブで話をしているときの比ではなかった。
「5時には家にもどって仕事の準備をしないといけないの」
「そうか。残念だね。行こう」
タクシーで送った。
「楽しかった。またどっか行きましょう。今度お店にも来てね」
彼女は抱きついてきた。そして、痛いぐらいにぼくを強く抱きしめた。
「今日はどうもありがとう」
お店での別れとは違う、彼女の中の熱い何かをぼくは感じた。
彼女は、何回も何回も振り返りながら、家の中へと消えていった。
長い髪の毛が腰まで届いていて、歩く度に揺れていた。
「彼女と一緒に住むのは難しいよな…
現実的ではないが、チャレンジしてみるものいいな…」
そんなことを考えながら、タクシーに乗り込んだ。
多くの方に楽しい旅をしていただければと思います。
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