たびびと

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嫌われる勇気

2015年08月23日 | 旅の友
かつて教員をしていたとき、衝撃的な指導法を学んだ。

ふつうの教師は子どもを叱って動かす。
プロの教師は子どもをほめて動かす。

しかし、この指導法によると、子どもをほめてはいけないという。

なぜか。

こどもをほめるということは、こどもをコントロールすることになる。
教師の期待する行動をとる子どもをほめることにより、教師が子どもを意図した方向へコントロールしてしまう。
子どもの自主性は失われ、教師にほめられたいがために行動する子どもをつくってしまうのだ。

この指導法のベースとなる心理学をアドラー心理学といった。
興味を持った私は関連書籍を読みふけることになる。




それから20年。
今、アドラー心理学ブームとなり、関連本の何冊かがベストセラーとなっている。


その中の一冊 嫌われる勇気 を手にとってみた。



久しぶりに読み応えのある本だった。

子どもをほめずにどう動かすのか、どう育てていくのかだけではない。
生きていくための指針も書かれている。
というか、もともとはこちらについて書かれた本である。

青年と哲人との対話形式で書かれた本書はとても読みやすい。

スピリチュアル、精神世界の書籍に書かれている感覚的な文章ではない。
重厚で論理的な展開で物語が展開していく。
こう書くと、とても難しいようだが、中学生でも読める平易でわかりやすい文章。だからベストセラーにもなっている。


序章における哲人の言葉がまず心に打ち響く。

自らの生について、あなたにできるのは「自分の信じる最前の道を選ぶこと」、それだけです。
一方で、その選択について他者がどのような評価を下すのか。これは他者の課題であって、あなたにはどうにもできない話です。


その後、自らの存在価値、究極の人生の意味などについて言及されていく。
仕事で疲れた電車の中でも、本書を読み進むペースが落ちることはない。


そして最後に2つ。

自由なる人生の大きな指針としての「導きの星」
「わたしの力は計り知れないほどに大きい」




この物語の主人公と同じく、すがすがしさとともに、人生の変化の予兆を感じながら、この対話を読み終えた。


人生に悩むすべての人のよき指針となる本にちがいない。