たびびと

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お別れ

2013年07月14日 | コスタリカの風
妻と結婚をした日の5日後のこと。

ロシータさんがいつものようにやってきた。
ドアを開けて中に入るロシータさん。

3階まで階段で上がってきたロシータさん。
少し息切れしながら、リビングにいるぼくたちと顔をあわせた。

「セニョール、こ、この娘は…」
驚いているというよりは、あっけにとられている。

「実は…」
ロシータさんに紹介をした。

「お、おめでとう、セニョール」
お祝いの言葉とともに、ギョッという目をしながら、ぼくの説明を聞いていた。

「仕事なんだけどさ。実は、これからも続けてもらいたいんだ。
自慢の料理や、掃除の仕方を彼女に教えてもらえうかな?」


結婚したことを伝えたとき、ロシータさんは解雇されると思っていたのかもしれない。

これまで1年以上ぼくとの付き合いがあるロシータさん。

食事、洗濯、掃除のぼくの好みを知りつくしている。
少しずつ、妻に教えていってほしかった。

「もちろんよ、セニョール。喜んで教えるわ」

「よろしくね」
ロシータさんにお願いをして、ぼくは仕事のために家を後にした。




妻とロシータさんが出会ったその日の夜。
妻に聞いてみた。

「どうだった。
いろいろと教えてもらったの?」

「ええ。でも、ロシータさんはもう来ないと言っていたわよ」

「え? …」

どういうことだろうか。
朝の話のときには、これからも続けて仕事をしてもらうことに同意していた。


すぐに電話をした。
「もしもし、ロシータさん。
ぼくだけど」

「あら、セニョール。今晩は。
どうしたのこんな夜遅くに」

「実は妻から聞いたんだけどさ…」
妻の聞き間違えだろうと思いながら、ロサさんに質問をした。

「セニョールごめんなさい。
その通りなの。

もう、奥さんには一通り仕事を教えたから、私が行く必要はないと思うの」

「でも、ロシータさんはたくさんの料理のレパートリーがあるよね。
これからも、ぼくの帰国までずっと来てほしいんだけど」

ロシータさんの意思は固かった。
手をかえ品をかえ慰留を試みたが、ムダだった。


相場の倍以上のアルバイト代を支払っていた。
毎朝元気に挨拶をしていた。

彼女は、仕事に満足しているように思えた。

にもかかわらず…




ロシータさんは嫉妬?? していたのだろうか…

未だに謎である。


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