たびびと

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紙幣詐欺再び チリの風

2010年10月11日 | チリの風
今回の出張先はチリの首都サンチアゴ。
事務所からホテルまでの帰り道、通りでタクシーを拾った。中南米生活7年、特にタクシーに乗ることに抵抗と不安はなかった。

タクシードライバーとの会話ははずむ。
そしてホテルに到着。勘定だ。

「7200ペソだよ」

ぼくは10000ペソ紙幣を差し出した。
ドライバーは紙幣を受け取ると、その紙幣をぼくに見せた。

「これは5000ペソだよ。これじゃあ足りないな」
「ごめんごめん」

ぼくは5000ペソ紙幣を受け取り、財布から10000ペソを取り、手渡す。
彼は再度その紙幣を受け取ると、ぼくに突き返してきた。

「この紙幣は半分切れているから使えない。他の紙幣にしてくれ」

紙幣を見ると確かに端の部分が切れている。
しかし、その紙幣は、明らかにぼくが支払ったものではない。手渡す時に、10000ペソであることを確認したし、切れていればそのときに気がついたからだ。

「このお札はぼくが払ったものじゃないよ」
「そうか…」
彼は反論することなく、ぼくに釣り銭を渡した。

タクシーを降りるとハッと気がついた。
「詐欺だ」

メキシコでの経験があったにもかかわらず、そのことをすっかり忘れていた。
ドライバーがぼくに紙幣を突き返したとき、例のイヤーな感覚がこのときもあった。まったく同じ不快感だ。
しかし、詐欺に気づいたのはタクシーを降りてしばらくしてからのこと。お金を取り返すことはできない。

ところが、ぼくはこのタクシードライバーの携帯電話番号をメモしていた。
また彼を利用したいと頼んだら、快く携帯電話の番号を教えてくれたのだ。

この詐欺について警察に通報しようかどうか迷ったが、証拠がないのでそのままにすることにした。

それにしても、詐欺をしておきながら、電話番号を終えるとは。
一体何を考えているのだろう。
そこがラテン人の面白いところである。

タクシー詐欺でもう一つ。
ウルグアイ旅行でのこと。

市内移動で、同じく流しのタクシーを利用してみる。バスでも移動できたのだが、試しに乗ってみることにした。
市内のことなど質問するといろいろと話をしてくれる。ラテン人はみな社交的だ。

そしてホテルに到着。勘定だ。
彼はメーターの数字と料金表を見せて、ぼくに値段を説明した。
メーターの数字がそのまま料金になるのではないらしい。
彼は親切で、観光客であるぼくに丁寧に説明をしてくれた。

「親切なドライバーがいて、でいい国だな」

そして午後に参加した市内観光ツアー。バスガイドさんが一言。
「外国人観光客の人は気をつけてくださいね。タクシードライバーの人は、昼間なのに、必要のない夜の料金表を見せて、高額のタクシー代金を騙し取る人がいます」

メキシコ、そして南米。
大国では詐欺が巧妙化している。

タクシードライバーではないが、日本のオレオレ詐欺に至っては、超知能犯だ。
免許更新のときにオレオレ詐欺のDVDを見ていた。あまりの巧妙さに開いた口が広がらなかった。どうしてあんなに被害者が出ているのか納得ができた。

それに比べて、中米小国でのタクシードライバーはとても可愛い。

ホンジュラスのタクシー料金は交渉制。

「中央公園までいくら」
「40レンピーラでどうだ」
「いや、20」
「よし、30でどうだ」

こんな感じだ。

相場を知っているぼくを騙すことはできない。
まれに、相場の倍をふっかけてくるドライバーもいる。

「80だよ」
「いつもは40で行くけど、おかしいな」

そう言うと、ドライバーは、少しはにかむような、恥ずかしいような表情を見せる。
そして付け加える。
「40でいいよ。乗りな」

こんな中米がぼくは大好きである。