たびびと

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水責め ホンジュラスの風

2010年03月07日 | 旅行
入院開始後、数日が経ちました。

ある朝のこと。
首都テグシガルパはその日も快晴です。
窓からは、明るい太陽の光がさしこんでいました。

看護師さんが、いつもの明るい笑顔で入室してきます。
「これから検査をしましょうね。検査のため、この水を全部飲んでください」

何と手に持っているのはガラスの大型ピッチェル!
1リットル以上あります。

コップに入れて、とりあえず少しばかり飲んでみます。

「もしかしてこれ全部飲むのですか?」

「そうよ」
ニコニコしながら答えます。

再度頑張って飲んでみます。
ようやく3分の1ほど減りました。

特にのどが渇いているわけではありません。

「今すぐでないと駄目ですか」
「ええ。これから検査だもの。今すぐ飲んで」

とりあえず数分かけながら、すごい量の水を飲みました。
まるで拷問です。

「さあ、すぐに行きましょう」
彼女は急いでいるように見えました。
水を飲むのに時間がかかってしまい、検査の予定時間が迫っていたのかもしれません。

用意されていた車椅子に座り、病室の外に出ます。

エレベーターで地下の検査室まで降りました。

ホンジュラスでエレベーターに乗ったのは、この病院が初めてでした。
当時はエレベーター自体が国内にほとんど存在しないのです。当然、高層ビルもありません。

大量の水を飲みました。
地階についてすぐにトイレに行きたくなります。

「ちょっとトイレに行かせてください」
「いいわよ」

大量の小便が出ました。
半端な量ではありません。

トイレから戻ります。そして検査室に入ります。

検査技師さんがニコニコしながら僕を待っていました。
彼は医師であったかもしれません。

みな笑顔が素晴らしいです。

そしてスペイン語特有のフレーズで会話が始まります。
「調子はどうだい」
「まあまあですよ」

そして彼は続けます。
「水は全部飲んだ」
「はい。辛かったですよ」
「よく頑張ったね」

「トイレには行ってないよね」
「え? 今行ったばかりですけど…」

「それじゃ検査できないよ。もう一回同じ量の水を飲んでくれるかな」
「…」

沈黙の中、数秒が経過します。


多くの方に楽しい旅をしていただければと思います。
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