牧師室だより 2009年12月13日 クリスマスにも流行がある?
クリスマスのお祝いの仕方にも長い歴史の中では流行?があったようです。中世のクリスマスは、しばしば俗化し、歓楽の温床とされてきました。特に6世紀はじめのイギリスで、アーサー王の宮廷でのクリスマスはその最たる例でした。豪華な飾り付けの中で、ぜいたくなご馳走、賭け事、仮装舞踏会などが催され、乱痴気騒ぎの祭りとなりました。どこかの国のクリスマスに似ていませんか?
17-18世紀になりますとクリスマスのドンチャン騒ぎも薄らぎましたが、同時に宗教的意味合いも薄れてきました。そんな中で、キリスト教音楽がクリスマスを豊かに飾るものとして、人々に深い感動を与えてきました。なかでもクリスマス・キャロルは数多く作られ、教会の讃美歌集に採用されました。
また、バッハ(1685-1750)の「クリスマス・オラトリオ」やヘンデル(1685-1759)の「メサイア」もこの時代に作曲されました。「クリスマス・オラトリオ」は6曲のカンタータの集合で、第一部の歓喜の讃美、第二部の幼子イエスへの子守歌は有名です。ヘンデルの「メサイア」の「わが民を慰めよ」から始まる第一部は、失意のどん底にある者をどんなに慰め、力づけてきたことでしょう。
19世紀中頃になると、クリスマスは隣人愛や慈善の意味が加えられ、特に家庭でのクリスマスが盛んになりました。クリスマス・ツリーやサンタクロース、クリスマス・カードなどが取り入れられるようになり、現代のクリスマスの形が定まってきました。
このようなクリスマスの慈善の理念を普及させるための大きな力となったのはチャ―ルス・ディケンズの『クリスマス・キャロル』(1843)であったと言われます。この作品には、社会改革の基本は、個人の回心と愛にあるというディケンズの信念が表されています。クリスマスの本質をイエスの愛に認める意義を示しています。
クリスマスに、バッハやヘンデルの曲を聴いたり、ディケンズの作品を読んだりすることはいっそうクリスマスを意義深いものにすることでしょう。