参議院選挙が告示されて、各紙が序盤の予想を発表したが、自民・公明の与党が改選議席の過半数を取る勢いをみせているとのことだ。
また、自公与党に、日本維新の会、無所属数人を加え、改憲勢力が86議席以上を取り、改選前の三分の二を維持するとの予測も出ている。
この分でいくと、安倍晋三政権は依然として続き、史上最長の桂太郎内閣を上回り、明治からの憲政史上最長になる可能性が濃厚だ。
そうなると、ただ長いだけでは能がないと言われかねない安倍首相は、いよいよ、戦後不変の平和憲法を改正し、戦後初めて憲法を変えた首相として、歴史に名を刻みたいと、いっそう、憲法改正に前のめりになる可能性が強くなりそうだ。
従って、今回の参議院選挙は、実質的に憲法改正の是非を問う選挙だという捉え方が、野党の中で弱いような感じを受ける。
実際、有権者は、今度の参議院選挙の争点に、憲法改正を上げた比率は小さい。しかし、安倍政権は、公約に憲法改正を掲げているので、もし、自公維+無所属で86議席以上取れば、改憲が容認されたと受け止め、その後、憲法改正について、護憲勢力に大きなプレッシャーを掛けてくることは間違いない。
それなのに、野党は、憲法改正を、今回の選挙で真っ向から勝負する気配がないのは、世論が、改憲には余り関心がなく、護憲野党としても、相手のペースにはまりたくないという考え方があるからだろう。
しかし、前述の観点からも、敢えて憲法改正を選挙の重要課題として、争点に掲げざるを得なくなっており、改憲勢力の自公と真っ向から勝負する必要に追い込まれてきた。
安倍首相は、憲法第9条3項に自衛隊を掲げたいとしている。その理由は、未だに自衛隊を憲法違反だという考え方が国民の中にあるので、自衛隊員の名誉や、モチベーションを高めるためにも、自衛隊を憲法に明記する必要性があるとしている。
しかし、考えて見たい。当初、警察予備隊、自衛隊を憲法違反だとする多くの世論に対し、憲法違反ではないとして強弁し、長い期間を掛けて徐々に国民の中に染み込ませてきたのは、他ならない政府・自民党である。
もし、政府、自民党が、憲法違反を認めれば、今日の自衛隊の存在は有り得ない。かつては、自衛隊は憲法違反でないと言っていた自民党が、なぜ、事立てて憲法に自衛隊を明記しなければならないのか、全く矛盾している。
野党は、その前の議論として、今、なぜ、憲法改正ありきなのか。から議論に入るよう今回の選挙の中でも、政府・自公に投げかけるべきだ。
その上で、なぜ、第9条に自衛隊を明記する必要性があるのか、過去の経過との矛盾を突いて、そのまやかしをえぐり出さなければならない「関連:7月5日」