帰国孤児へは、超法規的処置が必要

　永住帰国した首都圏の中国残留孤児４０人が、国に１人当たり３，３００万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は昨日国の賠償責任を認めず、原告の請求を棄却した。
　この判決には政治的な思惑が絡んでいるのではないか。戦没者補償、国内の犠牲者、外国人戦没者、外国人犠牲者、中国以外の残留孤児等との関係が、中国残留孤児への賠償を認めることにより、さまざまに影響してくることを想定した判断のような気がしてならない。もし、そうだとすると、あくまで中立でなければならない裁判官の判定としては疑問が生じる。
　実際、中国残留孤児は、帰国後、言葉の壁や生活習慣の違い、高年齢などにより、就職もままならず、苦しい生活を余儀なくされているようだ。
　残留孤児の帰国が、国の政策として進められている以上、帰国と賠償責任はリンクさせるべきである。生活保護を施しているからそれでよしとするのではなく、残留孤児が祖国に帰還して幸せを実感できるような施策を講じることが必要だ。
　政府は、今回の判決を受けて、法的論拠で一蹴するのではなく、場合によっては、超法規的処置を考えるべきである。