10月9日、ノーベル平和賞について、ノルウェーのオスロにある選考委員会は、チュニジアの民主化に貢献した4団体からなる「国民対話カルテット」を選んだ。チュニジアの事例が民主化を目指す中東やアフリカなどの他の国々の手本となってほしい」としている。
チュニジアでは、2010年12月、一青年の焼身自殺事件に端を発する反政府デモが国内全土に拡大し、軍部の離反によりベンアリ大統領がサウジアラビアに亡命し、23年間続いた政権が崩壊したいわゆるジャスミン革命が起った。
この成功に誘発されエジプト、リビア、イエメンなど次々とデモ行動によって、時の長期独裁政権が崩壊、その他の中東、アフリカ諸国でも様々な方策で独裁政権を追放しいわゆるアラブの春が席巻した。
しかし、アラブの春を謳歌した時期は短く、エジプトでは1年後には軍事政権が復活、シリアでは、アサド政権打倒が失敗した後、イラクで発生したIS(イスラミックステート)がシリアにも潜入、今では泥沼の内戦に陥っている。
今や中東、アフリカなどがISの脅威にさらされ、民主化も停滞している中で、政情は不安定ながらなんとか民主化を持続させようと努力しているチュニジアの民主団体「国民対話カルテット」が奨励の意味を含めてノーベル賞に選ばれたようだ。
ただ、チュニジアの首都チュニスでは今回の受賞について「平和賞はふさわしくない」との市民の冷めた反応が見られ、背景には今年に入ってからテロが続き、殊に6月27日のホテルのテロでは37人が死亡するなど、国民が治安悪化や失業の増加を肌で感じている事情がある。
今年のノーベル平和賞には、シリア難民の受け入れに努力しているドイツのメルケル首相や、日本の「憲法9条にノーベル平和賞を」なども候補として名が挙げられた。
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