昨日の衆参両院で、野田佳彦民主党新代表が第95代首相に選任された。戦後31人目の首相で、54歳での首相就任は、安倍晋三、田中角栄氏に次ぐ3人目の若さとのことだ。
野田氏は、さっそく党役員の要幹事長に輿石東参議院議員会長を起用、政策審議会長には、ライバル前原誠司前外相、樽床伸二元国対委員長を幹事長代行、国会対策委員長には平野博文元官房長官の起用を決めた。
情報では、野田新首相は明後日までには組閣を済ませ、野田内閣をスタートさせる予定だが、閣僚に、岡田克也前幹事長、海江田万里経産相、鹿野道彦農水相を起用するとのことだ。
このような顔触れを見ると、野田氏が党内融和を訴え、「ノーサイドにしましょう、もう」と言った言葉を忠実に守った形の党、内閣人事になりそうだ。
しかし、小沢一郎元代表に最も近い1人の輿石氏が、党の人事、資金を一手につかみ、もし背後にいる小沢色が色濃く出ると、逆に、反小沢ののろしが再燃し、党内融和どころではなくなる可能性を含んでいる。また、輿石氏は、小沢、鳩山由紀夫元首相が拘っているマニフェストに固執すると、たちどころに野党との対立が激化する危うさを残している。
また、輿石氏は、参議院議員で75歳の高齢なので、イメージ的にも国民受けしない。党役員だから関係ないといっても、テレビに出る機会も多くなるので、色あせているとは言え、清新を売り物の民主党のイメージにほど遠いキャラクターではなかろうか。良い悪いは別に、自民党の比較的若い、石原伸晃幹事長と比べると、どちらの方が若さを売り物にする党なのか見分けがつかなくなる。
別の見方をすると、小沢グループには、党内で手腕をふるえる人材が居ない証拠とも言える。野田新首相は、党内融和に余り神経を使いし過ぎると、反小沢勢力の反発を誘発し、逆に党内融和を崩す要因を生み出すことになりかねない。
まだ、新役員人事は始まったばかりだが、どうも野田新首相は、党内重要ポストの経験もなく、閣僚も財務相を少しばかり経験しただけなので、早くも党、内閣運営に未熟さが出ている感じが拭いきれない。「関連:8月29日」