こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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静かな週末

2010-09-26 23:51:41 | 訪問看護、緩和ケア
緊急当番でしたが、この土日は退院の報告電話が1件だけでした。

本当は、血圧がずっと超低空飛行の方がいて、ほとんど水分も摂れていませんし、傾眠状態が続いていますので、心配していたのですが、週明けまで頑張れそうです。

うちのステーションでは、いわゆる老衰という形で、ご家族のもとで静かに逝かれる方がとても多いです。

もう長いこと、家で大切に介護されていた患者さんです。

息子さんご夫婦も、遠くにいる息子さんたちも定期的に顔を出して、とても大事にされてきました。

ベットが嫌いで、布団の上であっちゴロゴロこっちゴロゴロ・・
一度はひらひらと、階段から落ちてきたことがあって、息子さんが手作りの柵を階段に取り付けたりしていましたが、今はもうほとんど体を動かすことはできません。

もう高齢ですし、「今病院になど入れたら、それだけでショック死しちゃいます。ここで最後まで僕が看取ります。もう、痛いこと、苦しいことはしないでください。」

そうして、息子さんはいつも手を取って話しかけ、少しずつ水を含ませ、時にはゼリーを一口食べたといっては喜び、おむつを替え、そばに寄り添って過ごされてきました。


よく、終末期に点滴を希望されるご家族がいらっしゃいます。

何もしないで、見ているのはつらい。
まるで、餓死させるような気がする。

そんな言葉を聞いたこともあります。

もちろん、ご希望があれば先生方も処方されますが、本当に絞って最低限にすることがほとんどです。
なぜなら、衰弱しきった心臓や腎臓に多くの水分は負担にしかならないからです。
ひどくむくんだり、淡が増えたり、吐き気の原因にもなります。

人は、ずっとずっと昔から、死が近ずくと自分の体を枯らしていくのだそうです。

負担のあるものを避け、水分を出し切って、最後に大量に便を出し切って、余分なものを一切出すことで、身体の苦痛を最小限にとどめるのだそうです。

高僧が即身成仏となるために入場するときには、入場前に断食をして薬草で体の中の腐敗を抑える処置をして入場したそうです。
少しでもだべたり飲んだりして、入場すると後で激しい苦痛でのたうちまわることになったと聞きます。

最新医療がどれほどのものかはわかりませんが、自然の形で最後を望むのであれば、衰弱した体に水分や栄養ばかりを流し込むことがいいことだとは限りません。

そういうお話も、病状の進む中で時々しながら、少しずつその時を受け入れ、イメージして、最後の時間を静かに過ごすことができるのだと思います。

ですから、多少のことではご家族も動じなくなりますし、きちんと辛い時の対症療法も理解されています。

そうして、最後の時間を今も過ごされているのだと思います。

最後まで、静かに穏やかにすごせますように・・。