No.2428のつづきです。
ほぼ今週の「たまご新聞」から抜き書きです。
写真は、冷たい強い風が吹きすさぶ畑。頬っかぶりで鈴木サトさんが収穫しているのが「バサ菜」です。スーパーなどでは買えない、産直ならではの野菜かもしれません。わかりやすく言えば、ハクサイのできそこないですから。でもね・・・
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ふつうに見かけるハクサイは、初秋に種をまき、たっぷりの肥料を効かして育てます。そうすると、冬を前にして、結球し、皆さんが知っている形になります。ただし視点を変えれば、それはブクブクと過保護に育てられた肥満体なのです。冬の寒さには耐えられなくて、そのまま畑においたのでは凍みて腐ってしまいます。
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いっぽう、種まきや定植が遅かったり、あるいは畑に肥料が足りなかったりすると、白菜は結球してくれません。「効率的」な経営であれば、さっさと土にうない込まれるなど、廃棄処分されることになります。ところが、そのまま畑において冬を迎えると、ハクサイは結球とは逆に、ロゼット化(下記)してきます。それが「バサ菜」です。
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ちょっと調べてみると、“ロゼットとは、「小さなバラ」という意味。多年生の草の、冬越しの形で、茎がなく、葉が地面にへばりつくように広がっています” などと説明されます。緑の葉を幾重にも広げ、太陽の光を体いっぱいに受けようとする、たくましい姿なのです。
このとき植物体内では、樹液濃度を高めて耐寒性を上げているため、厳冬期にも凍みたり腐ったりすることはありません。そして、それが食べたときの甘み、美味しさにつながります。
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さて、ここからが本題なのですが、バサ菜という「できそこない」の強さ、美味しさを考えるとき、つい人間の成長に思いをはせてしまいます。ハクサイという商品作物だって、せっかちな育て方をしなければ、別の特性を見せてくれるのです。ましてや人間は棚に並べる商品ではありません。早く早くと追い立てて、ブクブクの規格品ばかりをめざすのでなく、もっと伸び伸び、ゆっくり見まもったら、たくましさや個性や、人としての輝きを身につけてくれるんじゃないかなぁ、と。
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