「土じょう」は地球の皮膚
土と砂、何がちがう?
「土壌(どじょう)」は身近にありながらよく分かっていないものです。土と砂はどう違うのでしょう。
土には有機質が含まれていて、長い年月をかけて形成されていきます。その元になるのは、風化した岩石、火山灰などです。そこに落ち葉や枯れた草が混じって、微生物によって分解され徐々に土が形成されていきます。基本的には岩石が風化したり、堆積した火山灰が微生物の作用によって土が形成されていきます。そのスピードはきわめて遅く、条件によって違いますが100年で数mmと言われています。また、約6000万年より前の新生代以前の土は、地球表面には存在していません。
ウクライナの黒土、チェルノーゼム
現在、ウクライナ戦争によって、アフリカなどで食糧危機が危惧されているのは、黒海の北側の地域が世界でもっとも肥沃な土じょうで、世界の穀倉地帯となっているからです。
ウクライナでは、春に収穫された小麦が倉庫に山積みとなり、輸出できない状態にあるとニュースで報じられ、鉄道を使ってポーランド経由で輸出が試みられていますが。順調とはいえません。
このウクライナの肥沃な土は、色が黒いので「チェルノーゼムчернозём」(黒土)と呼ばれます。"черно"(チェルノ)と"зём"(ゼム)は、それぞれロシア語で「黒い」を意味する語と「地、土地」などを意味する語に由来する。また、その肥沃さから、「土の皇帝」とも呼ばれる。(Wikipediaより)
日本の土は黒ボク土。日本では31%、でも世界では1%以下の希少な土
黒土は腐植層が厚く、厚いところでは1mにもなります。日本では土は普通に目にし、畑には、柔らかい土がありますが、これは世界でも恵まれています。日本の土は黒ボク土(くろぼくど)という独特なもので、特に団粒という土のかたまりが多く含まれています。厚さも60cmほどあり、世界でも有数の腐植層といえます。
上の地図は、黒ボク土の分布です。
この土は、火山灰に由来します。火山灰の上に生えていた植物の腐植によって、生成された土です。名前の由来は、黒くてホクホクしていることから、そう呼ばれているそうです。
分布地域を見ると、火山の多い九州の中・南部、関東地方、東北北部、北海道南部に広がっています。また河川によって土が流される為に、山岳地帯だけでなく、平地部分もこの土壌となっています。
つまり、地形の構造上、巨大淡水湖跡という地形的な水田適地であったとしても、地質という点では低地とは異なる状態という事になってしまいます。
この黒ボク土の日本での割合は31%と最も高いのですが、世界的にみると1%にも満たない希少な土です。火山国・日本ならではの土と言えます。
世界にはいろいろな種類の土がある
米国のプレーリー土やアルゼンチンのパンパ土もウクライナと同じ黒土と言えます。これらの地域も小麦やトウモロコシの大産地で、世界の穀倉地帯となっています。
土壌が形成される条件は気温と降水量によって決まってきます。気温が高いと腐食層となる草などが早く分解されて有機質となります。この有機質が降水が多ければ流れ出し、少なければその場にとどまります。気温と降水量のバランスによって腐食層の厚さが決定されます。また、土のもととなる岩石の種類によっても土の特徴が決まっていきます。インドのデカン高原には、玄武岩が風化した肥沃な黒い土があり、レグール土と呼ばれて、綿花栽培にむいています。
関東平野や千葉県の台地上には関東ローム層と呼ばれる赤土が広がっています。関東ローム層の起源はさまざまで、火山灰や遠くの粒の小さな砂が風で運ばれて土壌化したと言われています。身近な赤土ですが、形成プロセスは複雑で、また、台地面を関東ローム層が覆ったため侵食されにくく、台地の地形形成にも影響を与えています。
日本のほとんどの土は耕地としての利用に適していますが、世界を見ると栄養分がなく、やせた土も多く分布しています。灰白色のポドソルは寒冷な冷帯気候に分布し、夏に生えたわずかな草などが堆積しても分解が進まず、腐食層がほとんど形成されません。
さらに寒冷な地域にはツンドラ土というやせた土が分布していて、地下には永久凍土層という凍りついた地層が見られる地域もあります。
酸性の土、アルカリ性の土で、とれる野菜も違ってくる
砂漠は雨が少なく、植物の生育が見られないので腐食層が形成されず、アルカリ性の岩石が風化した砂漠土が広がっています。熱帯では気温が高く、腐食が急速に進み、その有機質は雨によって流されてしまい、やせた土地で農耕には余り適していません。一般的に気温の高い亜熱帯や熱帯では土に含まれた鉄分やアルミナで土は赤くなります。日本では亜熱帯の沖縄が赤い土でアルカリ性の土ではパイナップルが、酸性の土ではサトウキビが栽培されています。
農耕の条件が悪いところで生まれた知恵、三圃式農業や混合農業
身近な土はさまざまで、特徴も大きく違います。日本などでは土の層が厚く分布していますが、ヨーロッパなどではかつて、氷河によって表層の土は削りとられ、数cmほどの薄い土壌しかありません。農耕の条件が悪いので、収穫を維持するための工夫が必要で、三圃(さんぽ)式農業や混合農業などが行われています。
(近)
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