7月18日に行われた”私の国はミャンマーです”の会で発言したミャンマー人のロウさんのことが「詩人会議」という雑誌に掲載されました。
ロウ君のこと 戸田志香
多民族国家と言われるミャンマーだ。大きく八つーカチン、カヤー、ラカイン、チン、モン、ビルマ、シャン、カレンなどの部族があり、ビルマを除きそれぞれの州をもっている。
八つの部族は全体で135に及ぶ民族があり、異なる言語を持ち存在する。
チン族はミャンマーの北西部、インド洋沿いのラカイン州の東部、内陸部にある。
「ぼくはチン族のロウです」。
ロウ君が話し出した。
スクリーンに、ハート型の池の写真が映された。
「これはヤンマーで有名な池です。外国の人も来ます。水がどこから来ているのかわからない謎の池です」。
三人のミャンマー人が語る会”私の国はミャンマーです”(7月18日・習志野市内、約30名参加)は、まず自己紹介から始まった。
チン族には53の民族があり、ロウ君の町ミンダットにはムン、ダイ、マカイの3部族がいるとか。ロウ君はダイ部族だ。
「ヴィクトリア山です。ミャンマーでは三番目に高い山で、ミンダットからは川まで降りて、三時間登ると頂上に着きます」。
「これはしゃくなげです。3月になると、この花でヴィクトリア山が埋まります」。チン州の花だ。
最後はダイ民族の衣装をつけた女性とロウ君が紹介された。
ロウ君は技能実習生。今年の冬ごろから挨拶をするようになり、2月1日の軍クーデターのあとは、ご両親のことなど初めは「はい、元気です」だったが、ミンダット町は軍による空爆を受け、「家は壊され、両親と弟、妹たちは一日かけて森に逃げました」。
毎晩一時間近くの日本語会話の勉強が始まったのは、”私の国はミャンマーです”の一週間前。
当日話すことを繰り返し練習したが、合間合間にロウ君は町のこと、部族のことなど、進んで話し出した。言葉に、顔に愛郷心が濃くにじみ出てくるのを感じた。それが、自己紹介での最後の言葉になった。
「みなさん、ぼくの大好きなチン州に来てください。ぼくが案内をします」。誇らしげなロウ君だった。
日本で働いているミンダット町の仲間と連絡をとりあって、「町でコロナに感染した人たちのために酸素ボンベを送ろう」と話している、とロウ君から聞いた。十八日の会でその話をしたところ、たくさんの応援金が寄せられた。
しかし、酸素ボンベは軍が回収し、軍の病院に運び入れ、一般人は使うことが出来ない状態とか。
そしてその数日後だ。「ぼくの友だちが死にました:と、ロウ君が言った。ミンダット町で銃撃戦があったのだろうか。詳しいことはわからないが、銃で撃たれたそうだ。
見事な包丁さばきで料理が得意なロウ君。「大工になって自分で家を建て、レストランを開きたい」と。実現できる日が必ず来ることを信じ、一緒に日本語の勉強を続けていこう。
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